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三洋とコダック、携帯機器の次世代ディスプレー開発に向け提携

1999年02月04日 00時00分更新

文● 報道局 桑本美鈴

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 三洋電機(株)と米イーストマン・コダック社は、有機EL(Electroluminescence)表示技術を用いた次世代有機ELディスプレーに関する協業契約を締結したことを発表した。

 有機ELディスプレーは、LCDに比べて高輝度であり、また自己発光するためバックライトを必要とせず、消費電力の削減やディスプレーの薄型化、軽量化が図れるというもの。両社は有機ELディスプレーのターゲット市場として、携帯電話やデジタルカメラ、携帯情報端末、カーアプリケーションなど主にアウトドアで使用する製品に利用できるとしている。

 今回の合意に基づき、三洋はアクティブ型有機EL駆動用低温ポリシリコンTFT基板の開発を、コダックは有機EL材料および有機ELプロセスの開発を行なうほか、両社共同でTFT/有機ELインターフェースプロセスを開発する。パネル/モジュールの製造は三洋が行ない、有機EL材料はコダックが三洋に供給する形となる。販売に関しては、すべて三洋が同社の販売網を通じて行なう。

 また、両社が保有するアクティブ型有機ELディスプレーの生産および販売を行なうために必要な技術を、コダックが第3者に対してライセンス供与する。

 両社は今後の予定として、製品開発ロードマップを発表。まずカーアプリケーション用や携帯情報端末用、携帯電話用にパッシブ型の単色/多色/フルカラー有機ELディスプレーおよび駆動用IC/システムLSIの開発を行ない、2000年に順次製品化する予定。また、カーアプリケーション用、デジタルカメラ用、デジタルビデオカメラ用のアクティブ型フルカラー有機ELディスプレーを開発、2001年に製品化するという。

握手を交わす三洋の近藤社長とコダックのCarl Kohrt執行副社長
握手を交わす三洋の近藤社長とコダックのCarl Kohrt執行副社長



 発表会場にて三洋の代表取締役社長である近藤定男氏は、「われわれは、アクティブマトリクス構造の有機ELディスプレーの開発/製品化を目的としている。三洋の低温ポリシリコンTFT基板に関する実績と技術力、コダックの有機ELデバイス研究開発力を融合することにより、アクティブマトリクスの有機ELディスプレーが実現可能となる」と説明。

 また、コダックの執行副社長であるCarl F.Kohrt(カール・コート)氏は「三洋とコダックの技術により、極めて競争力のある製品を提供できる。有機ELディスプレーの実用化はもちろん、両社の技術陣の協力や、技術ライセンスビジネスを展開できることも重要だ」としている。

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