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セガ、新経営方針――DCソフト開発はやめない

2000年11月15日 23時32分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)セガは15日、今後の新経営方針に関する説明会を本社内で行なった。

セガは、11月1日付で社名を“株式会社セガ・エンタープライゼス”から“株式会社セガ”に変更するとともに新経営方針を決定、本日同社役員らより“プラットフォーム戦略”“コンテンツ戦略”“アミューズメント戦略”“ネットワークサービス戦略”について説明がなされた。

戦略説明を行なった同社役員陣

プラットフォーム戦略

セガは、プラットフォームプロバイダーからフォーマットプロバイダーへ転換するとし、DCフォーマットをPCやSTB、PDAなどさまざまな機器にロイヤリティーベースで提供する。DCフォーマットとは、DC用ソフトがそのまま、あるいは若干のモディフィケーションによりDC以外の機器で動作できるというもので、PCの場合はDCカードを組み込むことで可能になる。DCカードにはDCアーキテクチャーをコンバインしたチップセットが搭載される。また、チップセットだけではなく、DCアーキテクチャーやソフトウェア開発環境も合わせて提供するとしている。

コンテンツ戦略

セガは、“世界一のネットワーク・ゲーム・サービス・プロバイダーになる”をビジョンとして掲げ、それを具現化するために同社の最大資産であるコンテンツを活用すると発表。いままでのスタンドアローンのゲームを引き続き出荷すると同時に、コンテンツを供給するハードの多角化を進める。まず現時点で行なっているPCや携帯電話、PDAへのコンテンツ供給、続いてSTBや次世代携帯電話へのDCアーキテクチャーの組み込み、そして他ゲームコンソールへの供給だ。

同社は、コンテンツを、業務用ビデオゲーム系、DCフォーマット系(ネットワークゲーム系)、メタフォーマット系(例としてIMT2000フォーマットとDCフォーマットを組み合わせるなどまったく新しい遊びが誕生する、このメタフォーマット系ソフトが市場に登場するのは2002年以降になる)、他フォーマット系(上記の他ゲームコンソールへのコンテンツ供給)の4つに分類している。同社は他社フォーマットはサポートせず、他ゲームコンソールのハード的特徴やそのユーザー特性、経済条件などから個別に評価し、供給するハードを決定するとし、現在は各ハードをどう把握するかというレベルだという。

同社は、ソフトの開発に300億円を投資しているが、現在、開発投資内訳の見直しや、ネットワークゲームとパッケージゲームのバランスの見直しを行なっており、これらを11月中に実施するとしている。

コンテンツ戦略について説明した特別顧問の香山哲氏。「分社化したソフトウェア開発会社はすべて、DCソフトに集中し、クオリティーの高いソフトを作っている。10月末にセガはDCソフトをやめるといった報道がなされたが、その点は心配御無用だ。2001年1月にはDCソフトの新製品を発表したい」

アミューズメント戦略

セガのアミューズメント施設運営事業は、市場全体が低迷している中、自社開発の人気製品『ダービーオーナーズクラブ』の成果で店舗の売上が前期比100%を維持しているという。機器販売事業も順調で、国内アミューズメント事業はセガ内部では回復基調にあるとしている。今後は、オーナーシップ制も導入し、地域に密着した店舗運営を行なうほか、異業種との融合も図るとしている。

海外事業については、一部地域を除き施設運営を撤退、店舗資産を売却するなど整理損は前期で完了したとしている。現地法人の縮小化と清算もすでに前期で終わっており、確実に収益を取れる体制を構築するという。

アミューズメント戦略を説明した専務取締役の永井明氏。「店舗売上が前期比100%を維持しているのはセガだけだ」

ネットワークサービス戦略

セガ傘下のネットワークサービス会社は、データ課金、付加価値サービス課金、スポンサー広告を含めた広告料で収益を得るとしている。付加価値サービスとは、現在運営しているネットワークゲーム上で、全国トーナメントなどを開催し、参戦料や観戦料金、ベッティング料などを付加するというもの。また、このトーナメントに協賛したいという他社メーカーがあるため、スポンサー料などを含む広告料が今後増える見込みという。

また、一般のネットワーク事業者とパートナーシップを組み、ユーザーの相互乗り入れを行なうという。提携パートナーとなるISPは近々発表するとしている。

ネットワークサービス戦略を説明した専務取締役兼(株)イサオ代表取締役社長の大山俊道氏。「いままでは基盤構築準備の段階だった。今後は新しい収益モデルをグローバルに展開する」

セガのすべてがネットワーク事業にシフト

セガ全体の事業戦略については、11月1日付けで代表取締役副社長に就任した佐藤秀樹氏が説明した。同氏は、「世界的に“セガ”ブランドで通っているので、すきっとした形で社名変更した。現在、ゲーム業界は厳しい状態。市場が成熟化し、ビジネスモデルそのものが変わってきた。その中でわれわれが手に入れた武器はネットワーク。ネットワーク対応ゲーム機のDC出荷台数は全世界で600万台、ネットワークサービス会員は150万人を超える。現在ブロードバンド時代へ流れているが、他社に先駆けてネットワークを使った新しい切り口のゲームを提供するべく努力してきたおかげで、1年半~2年のアドバンテージを有していると考える」

代表取締役副社長の佐藤秀樹氏

「これからさらにそれを推し進めていく。2001年3月末でDCを1000万台普及させ、300万人のネットワーク会員を獲得する。11月から新たな挑戦として新生セガのビジョンが“世界一のネットワーク・ゲーム・サービス・プロバイダーになる”。今後は最大資産であるコンテンツを多角的に供給する。新たなネットワークゲームサービスも提案する。例えば、ユーザーの思考によってゲームストーリーを変えたり、月単位でゲームを連続配信するといったアプローチが可能だ。課金やサーバー運営管理などを含むサーバーシステム構築はCSKグループと協力してやっていく」と語った。

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