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ダブルクリック、電子メール配信やeCRM事業を開始

2001年05月09日 00時04分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ダブルクリック(株)は8日、東京・港区の本社で記者説明会を開催し、代表取締役会長兼CEOの木戸孝氏らが、同社の現状と今後の事業展開について説明した。席上、米ダブルクリック社が4月に買収を完了した、カナダの電子メール配信サービス会社FloNetwork社の電子メール配信システムを日本語化し、7月に配信サービスを開始することなどを明らかにした。

代表取締役会長兼CEOの木戸孝氏
代表取締役会長兼CEOの木戸孝氏

きめ細かい広告配信・管理で付加サービスを提供

ダブルクリックは'97年9月に設立した、ウェブ上や電子メールなどのインターネット広告を専門に扱う広告代理店(本社:東京都港区、資本金8億7910万2000円)。米ダブルクリックが開発したDART(Dynamic Advertising Reporting & Targeting)と呼ぶ広告配信・管理技術のライセンス(日本における独占使用権)を得る形で、DART技術を核とした広告事業を行なっているという。

ダブルクリックが配信する広告は、配信専用のサーバーを経由する形で行なわれ、DART技術によって、細かい配信管理が可能で、高いクリックレート(※1)が得られることが特徴という。DARTではバナー広告(※2)をクリックした後のユーザーの行動を追跡し、レポートできるため、例えば、広告バナーをクリックして商品カタログの請求まで行なった有望なユーザーがどのような行動をとりながらカタログ請求に至ったかを記録して、マーケティングに生かすことができるという。

※1 クリックレート:バナー広告において、広告がクリックされた回数(クリック数)を、広告をウェブを見に来たユーザーに見せた数(インプレッション数)で割った値。

※2 バナー広告:商用ウェブページの上/下部によく見られる、リンクが張られた横長の広告グラフィック画像。

また、地域や時間、配信頻度を限定したり、ユーザーの環境に合わせた広告配信も可能。情報を求めるユーザーに対して絞り込んだ広告を配信することを“ターゲッティング”と呼ぶが、ダブルクリックではターゲッティングを行なうことで、通常0.3%程度のクリックレートを、0.7%以上に引き上げられるとしている。

バナー広告とメール広告の効果の違い
バナー広告とメール広告の効果の違い。メール広告ではより絞り込んだユーザーに適した送ることができ、効果も高いという

記者説明会ではこのターゲッティングの例としてポータルサイトのデモを行なった。このデモでは、ポータルサイトのトップページからユーザーが旅行に関するページを見たことに対応して、旅行関連ページのバナー広告が旅行に関係するものになるのは当然として、ユーザーがトップページに戻った場合でも、トップページのバナー広告が旅行関連のものになることを見せた。さらに、ユーザーがサイト内でなにかのアンケートに答えて年齢を入力した場合に、トップページに用意している広告の内容が、ユーザーの年齢層に合わせて変わることなどが示された。

ダブルクリックではこのシステムをインターネットビジネスを行なう企業に対し、eCRM(eカスタマー・リレーションシップ・マネージメント)のツールとして提供するとしている。現在準備中ということで企業名は明らかにしていないが、大手通信販売会社や都市銀行などへの導入が決まっているという。

電子メール配信事業を強化

今後の事業展開については、まず7月をめどに、FloNetworkの電子メール配信システムの日本語化と配信サービスを開始する。FloNetworkのシステムは、一般的な電子メール配信システムの5~10倍に当たる1時間に100万通の電子メール配信、広告メールのユーザー行動についての高度なレポーティング機能、顧客企業が自分でシステム開発可能なXMLベースのインターフェース提供、といった特徴を持っており、米CNET Networks社、米Barns & Noble社、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社、米L.L.ビーン社など150社以上の採用実績があるという。ダブルクリックはすでに半年ほど前から電子メールサービスを開始しているが、FloNetworkのシステムを利用することで、より付加価値の高いサービスを提供できるとしている。

次に、2000年12月に発表した(株)アクセスとの、携帯電話やPDAなどを対象にした広告配信システム開発について説明した。それによると、現時点でシステムの商品化が最終決定しているわけではないが、年内に商品化の方向で開発を続けているという。対象とするノンPC端末、特に携帯電話では同じユーザーが持っていても、その場所や状況によって、ユーザーが期待する広告がまったく異なるという特性を踏まえたシステムを開発するとしている。同社では、携帯電話に関しては日本、PDAに関しては米国、双方向デジタルTVに関してはヨーロッパがそれぞれ先行しているとし、それぞれの地域のグループ会社が開発を進めていると説明した。

携帯電話を対象にした広告配信では、8日付で、携帯電話向けコンテンツプロバイダーの(株)エムティーアイと戦略的提携を行なったことも発表した。これによってダブルクリックはエムティーアイが運営する16サイトを加えた、全33サイトで携帯電話向け広告の配信を行なうという。

ダブルクリックでは、これまでのウェブ上での広告配信サービスに加えて電子メールサービスを本格的に開始し、携帯電話やPDA、インターネット家電も視野に入れた大きな範囲で広告ビジネスを展開していく考えだ。

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