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イー・アクセスと日本テレコム、ADSLで業務提携――「単独ではブロードバンドの拡大に間に合わない」


2001年8月30日

イー・アクセス(株)と日本テレコム(株)は30日、情報通信インフラの分野において業務提携を行なうことで合意したと発表した。また、イー・アクセスは第三者割り当て増資を行ない、日本テレコムは40億円を出資して、保有率15%の単独筆頭株主となる。

イー・アクセスと日本テレコムの会見
イー・アクセスと日本テレコムの会見。左から2人目が村上春雄代表取締役社長、3人目が千本倖生代表取締役社長

同日行なった記者会見で、日本テレコムの村上春雄代表取締役社長は「単独ではブロードバンドの拡大に間に合わない」ことが、業務提携を行なう理由であることを語った。

日本テレコムの村上春雄代表取締役社長
日本テレコムの村上春雄代表取締役社長

村上社長によると、日本テレコムは3月にADSL接続サービス“J-DSL”を開始して年度内20万人の利用者獲得を目指したが、競争に勝つためには回線速度を上げる必要があり、そのための十分なノウハウ、リソースが同社にはなかったという。自社ですべてを行なうにはコストがかかりすぎるため、それらを持っているイー・アクセスと提携し、イー・アクセスの回線を利用することで、コストの低減を狙う。また、村上社長は、同社が「ホールセールがあまり得意ではない」事を認め、その点でもイー・アクセスのノウハウを活用することになる。

イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長の挙げた協力内容は、両社のネットワークの相互利用、それぞれの販売チャンネルを生かした営業協力、xDSL事業におけるノウハウの共有、VoIPなどの回線の上のサービスやコンテンツ、アプリケーションを共同開発することなど。詳しい内容は、現在、作業チームでつめている最中だという。

イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長
イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長

また、千本社長はアメリカでADSL事業者が次々と経営難に陥っていることについて、日本とアメリカでは環境も、法制度もまったく違うこと、また人口の密集度もちがうことを述べ、必ずしもアメリカのADSL事業者のような状態にならないと語った。千本社長によると、日本は人間の密集度が高く局間距離も近いため、回線あたりの投資がアメリカの数十分の一ですむという。しかし、今年に入ってからの競争激化・価格引き下げはイー・アクセスにとっても厳しく、提供地域を広げるための投資が重荷になってきたが、今回の提携によって、日本テレコムの回線が利用できることになる。

また、今回の第三者割り当てについては日本テレコムが40億円出資するほか、米カーライル・グループや米ゴールドマン・サックス証券などといった投資会社などが出資に応じ、総額で90億円から100億円となる。イー・アクセスによると、未公開企業では日本最大級の増資だという。この増資で得た資金の用途について千本社長は、ADSLの急激な値下げによって加入者が予想を上回って増加しているため、それに対応する投資と、コンテンツやVoIPなどの「将来の主戦場」への投資に使うとしている。

FTTHについては、千本社長はかつて日本電信電話(株)で光ファイバーを展開するプロジェクトにいた経験から、「7年後は光が本命」としながらも、「実際に1件1件引くのは難しい。光でカバーできるかなりの部分は、高速化したADSLでカバーできる」とするなど、xDSLの効率のよさや優位性を語った。

会見は100人を超える報道陣でいっぱいだった
会見は100人を超える報道陣でいっぱいだった

会見では両社長とも、両社は補完的な関係にあることを強調した。大手通信キャリアーとベンチャー、コンシューマー向けのホールセールとリテール販売、全国展開とほぼ東名阪のみの展開、それぞれの特徴を生かせば「ブロードバンドにおいて強力なプレーヤー」(千本社長)になれるとしている。

29日に“フレッツ・ADSL”が値下げし、9月1日からは“Yahoo! BB”が商用サービスを開始する。ADSL事業者間の価格競争は、当分続きそうであり、増資で財政的にゆとりのできたイー・アクセスがどのような手を打ってくるのか、注目したい。

(編集部 中西祥智)


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