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オリンパス、デジタルカメラを中心に事業再編――銀塩カメラのビジネスモデルで黒字化へ

2002年01月07日 21時37分更新

文● 編集部 田口敏之

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オリンパス光学工業(株)は7日、都内で記者発表会を開き、デジタルカメラを中心として、銀塩カメラやICレコーダー、双眼鏡などを扱う映像事業の収益構造を改善するために、4月1日付けで事業再編を行なうと発表した。

オリンパス光学工業代表取締役の菊川剛氏
オリンパス光学工業代表取締役の菊川剛氏

同社映像システムカンパニーのデジタルカメラの業績は、2000年半ばから赤字となっている。2001年3月期には27億9000万円の赤字を計上し、2002年3月期には78億円の赤字が見込まれている。発表会において、同社代表取締役社長の菊川剛氏は「原因はいろいろある。デジタルカメラは、非常に競争が激しい市場だ。順調に売り上げてはいるが、価格軟化が激しく、赤字になる。これまでもスピードを重視した経営を行なってきたが、さらに、ユーザーの要望に応える製品を、迅速かつ低コストで市場に送り出さなければならない」と述べた。

同社はすでに、開発を国内で行ない、製造を中国広東省の深セン工場で行なうという、銀塩カメラのビジネスモデルを確立し、黒字を計上している。これにならって、デジタルカメラも製造拠点を中国に置き、国内に開発拠点を置いて、販売や営業などとの連携を密にするという生産体制の改革を行なう。

同社によれば、付加価値の高い製品を開発する“創”の部分を国内の開発拠点が担当し、高品質でローコストの製造を行なう“造”の部分を中国の拠点が担当するということになる。

“創”と“造”による新生産体制の位置づけ
“創”と“造”による新生産体制の位置づけ

具体的には、国内の映像システム関連製品の生産拠点である、オリンパス光学工業 辰野事業場、オリンパス光電子(株)東京事業場、大町オリンパス(株)、坂城オリンパス(株)の4つの工場の機能を統合する。さらに、光学技術開発機能と生産技術開発機能を取り込み、一元化した開発体制を構築する。これによって、各部門が一体となって開発した製品を、ユーザーに提供していくという。

統合された工場を独立した別会社にするのか、映像システム事業部内に取り込むのかについては、現在のところ未定だという。

新販売体制
新販売体制

また、国内向けの販売会社であるオリンパス プロマーケティング(株)の映像情報部門を、営業譲渡によりオリンパス光学工業の映像システムカンパニーに統合する。同部門は、デジタルカメラやICレコーダーのほか、MOドライブや眼鏡型ディスプレー“Eye-Trek”、デジタルカメラの防水プロテクターやスマートメディアなどといったコンシューマー向け製品を扱っている。これにより、顧客のニーズに迅速に対応できる市場対応力の強化を図るという。

同社 映像システムカンパニー長の小宮弘氏
同社 映像システムカンパニー長の小宮弘氏

映像システムカンパニー長の小宮弘氏は「高品質かつローコストで生産を行なうために、デジタルカメラの製造も、銀塩カメラ同様に中国で行なう。しかし“創”の部分、技術開発や企画などを日本でしっかりやっていかなければならない。国内と海外とで役割分担をはっきりさせることが重要だ。ビジネスにおける約束事を明確にし、生産体制の一元化による業務スピードの向上やコスト削減を目指す」

「市場の状況は非常に厳しい。売り上げを20%伸ばしても、利益が出る保証がない。競争の激しい市場の仲で、我々が戦うとしたらコスト面しかない。さらに、業務スピードをアップして、競争力もつけていく」と語った。

同社はこれらの事業再編によって、マーケティングと製品開発、販売の流れを一元化し、開発の強化とトータルコストの削減、市場に即応できる業務スピードの向上を目指すという。2003年3月までには、これまで1年間かけて行なっていた業務を約3ヵ月で行なえるようにし、また最低10%のコスト削減を目指すという。さらに2003年3月期において、50億円の黒字を達成するとしている。

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