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電子商取引推進協議会、“東京XML/EDI普及説明会”を開催

2002年01月11日 23時52分更新

文● 編集部 田口敏之

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経済産業省と電子商取引推進協議会(ECOM)は11日、“標準XML/EDI(ebXML)”の普及促進のための説明会“東京XML/EDI普及説明会”を開催した。同説明会は、ebXMLの最新動向と、XML/EDIを実装するためのベンダー各社のウェブサービスなどを紹介するというもの。XML/EDIを自社の電子商取引に役立てたいと考えるITベンダー、および業界EDI標準化に携わる管理者・担当者などを対象にしている。

EDI(Electric Data Interchange:電子データ交換)とは、旧通商産業省が'88年に定めた定義によれば、「異なる組織間で、取引のためのメッセージを、通信回線を介して標準的な規約(可能な限り広く合意された各種規約)を用いて、コンピューター(端末を含む)間で交換すること」という。受発注などの商流や、輸送・保管などの物流、決済などの金流のほか、図面などの技術データの送受信にも用いられる。今や、EDIは単なる“技術”や事務合理化の仕組みから、“経営ツール”として欠かせないものになりつつあるという。

経済産業省の久米孝氏
経済産業省の久米孝氏

説明会の冒頭で、経済産業省商務情報政策局、情報経済課長補佐の久米孝氏は「経済活性化のためにITの有効活用が叫ばれているが、インターネットを使って取引をすれば、ITを活用している、ということになってしまっている。電子商取引は、手段であって目的ではない。事業のスピードや付加価値を高め、顧客満足を満たし、また企業の資産を生かすために、EDIを発展させていかねばならない。今回はebXMLをテーマにしているが、これまでのEDIが重要でないというわけではない。適切な手段は、ビジネスモデルによって変わってくる。この説明会で、事業の付加価値を高めるにはどのような手段が有効か、研究していただきたい」と述べた。

EDIの歴史を表わす図。企業間を専用線で結ぶネットワークから、業界VAN、標準EDIを経て、インターネットを利用するウェブEDI、そしてXML/EDIと推移しているが、現在もすべての方式が使われているという
EDIの歴史を表わす図。企業間を専用線で結ぶネットワークから、業界VAN、標準EDIを経て、インターネットを利用するウェブEDI、そしてXML/EDIと推移しているが、現在もすべての方式が使われているという

最初のプログラム“ベーシックEDIの概要”では、これまでのEDIについて解説を行なった。それによると、国内では'70年代以前からEDIが利用されてきたという。また'85年に“通信の自由化”が行なわれ、各業界内でネットワークが発展し、業界が独自のEDI標準規格を策定するようになったという。代表的なものに“CII標準”などがあり、現在ほとんどの産業で、何らかの“EDI標準”を策定している。こういった従来型のEDIは、一般に“レガシーEDI”と呼ばれる。

しかしレガシーEDIは、受注者と発注者の双方に専用の情報システムの構築が必要で、EDIを実施しているのは大企業が中心だという。中小企業では取引量や事務作業量が少ないため、EDIによる合理化の効果が小さく、EDIで取引を自動化できるほど社内の情報化が進んでいないという。同協会ではこのように、企業間のデジタルデバイド(情報化格差)は大きく、中小企業へのEDIの普及は不十分であるとしている。

ベーシックEDIの利用例。石油化学業界の標準“JPCA”を、XMLに変換して用いている
ベーシックEDIの利用例。石油化学業界の標準“JPCA”を、XMLに変換して用いている

この問題を解決する手段として、“ベーシックEDI(XML/EDI)”がある。これは、各業界のレガシーEDIで、メッセージの記述に用いられる構文規則をXML化するというもの。これによって、情報システムを持たない企業と、高度に情報化された企業を相互に接続できるという。導入・運用も比較的容易で、各業界の企業がこれまで利用してきた、EDI標準の資産も生かすことができるとしている。同プログラムの講師を務めた若泉和彦氏は、「中小企業でも、EDIの導入は不可避になりつつあるが、ベーシックEDIの適用が有効であると考えられる」と述べた。

これからの世界標準“ebXML”

続いて、同協議会の溝口邦雄氏が講師を務めるプログラム“ebXML概説”では、ベーシックEDIに代わる手段“ebXML”についての説明が行なわれた。ベーシックEDIは、データをXMLに変換する際に使用する、データの定義の共通理解が必要であるためオープンでなく、一部の中小企業以外には、結局EDIの普及は広がらないという。

ebXML(標準XML/EDI)は、“Electronic Business XML”の略で、XMLの文法を標準化し、企業間商取引の標準インターフェースとしたもの。また、ebXMLの推進運動や、推進団体のことも指す。ebXMLの推進運動は、OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)とUN/CEFACT(Center for Trade Facilitation and Electronic Business)が中心になって'99年から始まり、'01年5月の“ebXMLウィーン会議”で、“ebXML仕様 第1版”が公開された。これによって、“世界単一電子市場の創造”を目指すという。

ECOMでは、有識者によって“XML/EDI標準化専門委員会”を設置し、ECOMの会員によって“XML/EDI普及促進ワーキンググループ”を結成、ebXMLの普及促進を目指すとしている。同協議会は、今後も国内の各地で“XML/EDI普及説明会”を開催する予定。

標準EDI全体の利用状況を表わすグラフ。現状では業界標準のEDIが多く用いられている
標準EDI全体の利用状況を表わすグラフ。現状では業界標準のEDIが多く用いられている

標準EDI全体におけるebXMLの利用状況は、'01年には1%だったが、'02年には10%、'03年には27%に達すると、同協議会は見込んでいる。

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