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アノト、日本市場への事業展開で新会社“アノトコミュニケーションズ”を設立

2002年02月28日 19時12分更新

文● 編集部 田口敏之

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スウェーデンのアノト社の日本法人であるアノト日本(株)は28日、日本におけるマーケティング活動と、事業戦略の構築のため、“アノトコミュニケーションズ株式会社”を設立すると発表した。アノトコミュニケーションズは、アノトが開発した、ワイヤレスのペン型デバイスと専用紙による入力技術“アノト・ファンクショナリティ”の、日本での本格的な普及を目指し、消費者の立場に立ったアプリケーションや、商品の開発などを行なうという。併せて、アノト・ファクンクショナリティによる新しいアプリケーションの開発や、各事業分野における事業化を目的する団体“Anoto Project Consortium(APC:アノト事業推進協議会(仮称))”を設立し、会員を募集することも発表した。

アノト日本の会長であるクリステル・ヨハンソン(Christer Johansson)氏と、Bluetoothを内蔵するアノト・ファンクショナリティのペンと専用紙のノートアノト日本の会長であるクリステル・ヨハンソン(Christer Johansson)氏と、Bluetoothを内蔵するアノト・ファンクショナリティのペンと専用紙のノート

アノトは、主にデジタルカメラ技術や画像処理技術、デジタルペンなどの分野で研究開発を行なっている企業。設立は1999年。本社はスウェーデンのルンド市。会長はクリステル・ファーレウス(Christer Fahraeus)氏で、従業員は約230名。アノトコミュニケーションズは、アノトの技術の、日本のマーケットに対する事業計画を遂行する。具体的には、各業態の技術や情報などを整理し、アノトの事業計画や商品化計画のコンセプトに合うよう、アノト日本と連携して、APCの指導と推進に当たるという。本社は東京都渋谷区渋谷(アノト日本と同じオフィス)。資本金は1000万円。取締役社長には鈴木ルミ子氏が就任する。従業員は3名。

APCは、アノト・ファンクショナリティを利用したモバイルコンピューティングシステムの市場の形成と拡大に向けて設立される団体。さまざまな分野の企業が幅広く参加し、運用上の課題解決や文化活動、インフラの整備への貢献、また内外機関との交流および標準化を推進していくという。3月末の立ち上げを予定しており、設立時の会員数は50社程度の見込み。アノトコミュニケーションズでは、企業会員(法人会員)および賛助会員を広く募集するとしている。

Bluetoothを内蔵するペンの内部構造。多少太いが、普通に字も書ける
Bluetoothを内蔵するペンの内部構造。多少太いが、普通に字も書ける

アノト・ファンクショナリティとは、Bluetooth対応のペンと専用紙を利用して、専用紙の上に書いた手書きのメモをデジタル化してパソコンや携帯電話などに送信する技術。ペンには、超小型カメラとプロセッサー、およびBluetooth対応の通信モジュールを内蔵している。専用紙には、微細なドットパターンが印刷されている。同技術は、Bluetoothを搭載したペンとして、これまでにもさまざまな展示会に出展されてきたが、今回の発表会では、実際に専用紙にペンで字を書いて、専用紙の上の“SEND”という囲みをペンでチェックすると、パソコンにデータが転送されるというデモンストレーションが行なわれた。

ノートには、非常に微細なドットパターンが印刷されている。ノート下部の、“Microsoft Outlook”と書かれた囲いをチェックし、“SEND”の囲いをチェックすると、パソコン上のMicrosoft Outlookに、データが転送された
ノートには、非常に微細なドットパターンが印刷されている。ノート下部の、“Microsoft Outlook”と書かれた囲いをチェックし、“SEND”の囲いをチェックすると、パソコン上のMicrosoft Outlookに、データが転送された
転送されたデータ
転送されたデータ

アノト日本の会長であるクリステル・ヨハンソン(Christer Johansson)氏は、同システムについて「われわれはペンと紙を使った新しいデファクトスタンダードを作り出そうとしている。人と文字の営みには長い歴史があるが、これはグーテンベルクの活版印刷以来の発明といえる。商品化に向けて、さまざまな業種の企業と提携しており、2週間前にはマイクロソフトとも提携した。そして、4月からスウェーデンでは、いよいよ本格的な商品化が始まる」と述べた。

アノトコミュニケーションズの代表取締役社長に就任する鈴木氏
アノトコミュニケーションズの代表取締役社長に就任する鈴木氏

また、アノトコミュニケーションズの代表取締役社長に就任する鈴木氏は、「スウェーデンの本社でアノト・ファンクショナリティを初めて見たとき、大変な発明だということを理解し、日本でインフラとして、さまざまな場面で役立つものにしていきたいと思った。われわれの使命は、スウェーデンのこの発明を、日本のライフスタイルの中でどのように受け入れてもらうかを考えること。そして、どういう形で商品化すれば、より多くの日本の方々のお役に立てるのかを検討することにある。2002年末には、クリスマスプレゼントとして商品化し、提供できるよう、日本や世界のさまざまな企業の方々に、呼びかけを行なっていきたい」と語った。

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