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エキサイト、新事業方針を発表――20~30代のシティ派男女向けサイトに変身

2002年03月07日 20時40分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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エキサイト(株)は7日、伊藤忠商事(株)が米アット・ホーム社保有の同社株式を取得したことに伴う同社の株主/持株比率変更、および事業方針に関する説明会を都内で開催した。

説明会出席者たち
左から、伊藤忠商事執行役員情報産業部門長兼ネットの森 番人の小林栄三氏、エキサイト代表取締役ゼネラルマネージャーの山村幸広氏、伊藤忠商事情報産業ビジネス部長の井上裕雄氏。ちなみに“ネットの森”とは、伊藤忠内におけるベンチャー育成支援組織のことで、その総責任者が“番人”こと小林氏

米アット・ホームは、1997年10月のエキサイト設立当初からの筆頭株主だったが、2001年9月28日(現地時間)に米アット・ホームが米国連邦破産法第11条適用の申請を行ない、米アット・ホーム保有のエキサイト株式(エキサイト全株式の65.04%)は、米国破産裁判所の管理の下、オークションにかけられていた。

これらの株式について、伊藤忠商事を筆頭とする株主が2月に取得、これによりエキサイトの株主および持株比率は本日時点で、伊藤忠商事80.66%、伊藤忠テクノサイエンス9.65%、大日本印刷2.98%、東京海上火災保険1.60%、ダイヤモンドキャピタル0.96%、エムティービーキャピタル0.16%(投資事業組合分含む)、UFJキャピタル1.60%、富士銀キャピタル1.60%(投資事業組合分含む)、国際キャピタル0.80%(投資事業組合分含む)となった。

また、日本国内およびアジア地域における“エキサイト”のブランドおよびテクノロジーの権利も伊藤忠商事が取得、エキサイトは今後、伊藤忠商事からのライセンス供与という形で企業経営とサービス提供を行なう。

エキサイトは今後、“都会に住むシティ派で感性の豊かなF1&M1(20歳~34歳の男女)の生活を快適にするパートナーポータルサイト”をコンセプトに、ターゲット層を絞ったメディアへと方向転換するという。主なターゲットユーザー像は、トレンドセッター(オピニオンリーダー)、あるいはアンチスタンダードな人。雑誌は発行部数にとらわれず、独自のサークルやコミュニティー、そして価値観を持ち、クオリティーとユニークにこだわる人が対象という。

サービス提供にあたっては、従来のサービス内容ごとに分けた提供方法ではなく、都会のユーザーに適した情報を、サーチ、ニュース、コミュニティーともまとめて提供するという。同社は、2003年には関東圏に住むターゲット層のうち24%(約177万人)、大都市圏に住むターゲット層のうち24.5%(約300万人)のユーザーを獲得したいとしている。

新エキサイトでは、“エキサイト・エンターテインメント byブロードバンド”、“エキサイト・モバイル”、“エキサイト・コミュニケーション”、“エキサイト・インフォメーション”という4つのコンポーネントを中心にサービス展開を行なう。“エキサイト・エンターテインメント byブロードバンド”は、ビデオストリーミングや音楽、映画などを中心とした課金コンテンツに注力し、それにチケットやCDの販売、有料ライブ放送などを付属してキラーコンテンツとしていくという。

“エキサイト・モバイル”では、既存の携帯電話用コミュニティーを発展させるとともに、FOMAなどの次世代携帯電話向けの画像/映像コンテンツも提供する。“エキサイト・コミュニケーション”は、メールやチャット、掲示板などすべてのコミュニケーションツールをブロードバンドに対応させ、他ポータルとの更なる差別化を図るという。“エキサイト・インフォメーション”は、上記3つのコンポーネントを支える情報ソース機能として、サーチやニュース、グルメ、トラベル、ファイナンス、ショッピング&オークションなどのサービスを提供する。

ビジネスの収益モデルとしては、従来の広告、有料課金コンテンツ、モバイル課金、EC&オークションなどに加え、BtoB向けに“ホスティングソリューション・サービス”、“シンジケーション・ビジネス”を展開するという。ホスティングソリューション・サービスは、コンテンツ提供も含めたウェブ構築およびホスティングサービスを提供するもの。シンジケーション・ビジネスは、エキサイトのコンテンツをISPやキャリアに有料提供するもので、第1弾として、趣味の合う仲間をみつけメッセージをやり取りできるコミュニティーサービス“エキサイト・フレンズ”をBIGLOBEやODN、DIONに提供、4月より順次スタートするという。

また、アジア地域におけるブランド/テクノロジーの権利も伊藤忠商事が取得したことから、アジア市場向けにシンジケーションサービスやブランド/テクノロジーのライセンス展開を行なうとしている。同社は、来年度における上記BtoB向けビジネスの売上を2億円、アジア市場向けビジネスの売上を1億円と見込んでいる。

エキサイト代表取締役ゼネラルマネージャーの山村幸広氏は、「これまでのポータルビジネスは、インターネット広告市場が年々倍増し、アクセスが増えれば売上も上がるという前提で成り立っていたが、このビジネスモデルは崩壊した。収益を上げる会社にするために、今回方向転換をすることにした」

「今までのユーザープロファイルは“インターネットユーザー”だった。これからはユーザー層を絞ったターゲッティングメディアになる。Yahoo!は“すべてのインターネットユーザーのためのメガサイト”だが、エキサイトは“シティ派のためのパートナーポータルサイト”だ。ユーザープロファイルをクライアントに明確に伝えることで、確実に広告を得られる。ユーザーの顔が見えるメディアとなることがゴールだ」としている。

エキサイトの今年度(2001年度)の売上は30億円規模になる見込み。現在1日当たり2000万ページビューあるが、「このページビューをいくら伸ばしても売上が伸びるわけではないので意味がない。今後はページビューにはあまりこだわらない」(山村氏)としている。また今後は、「儲からないコンテンツは、いくらページビューを取れてもやらない」(山村氏)という方針で、今後各コンテンツの分析を行ない、停止するコンテンツサービスがあれば4月以降に発表するとしている。

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