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サンディスク、事業説明会を開催──SDカードの需要増加、新USBストレージ製品も発表

2002年05月16日 01時49分更新

文● 編集部 佐々木千之

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サンディスク(株)は15日、都内で報道関係者向けに事業説明会を開催、米サンディスク社リテールビジネス上級副社長件ゼネラルマネージャーのネルソン・チャン(Nelson Chan)氏が説明を行なった。また席上でUSB接続のストレージ製品『Cruzer(クルーザー)』と2種類のメモリーカードに対応したデュアルスロットメモリーカードリーダー『Image Mate Dual Reader』を発表した。

米サンディスク社リテールビジネス上級副社長件ゼネラルマネージャーのネルソン・チャン(Nelson Chan)氏
米サンディスク社リテールビジネス上級副社長件ゼネラルマネージャーのネルソン・チャン(Nelson Chan)氏

USB対応フラッシュストレージ関連製品2機種

チャン氏は事業状況の説明に先立ち、新製品2機種を発表した。

『Cruzer』SDカードは本体下部にスロットがある
『Cruzer』SDカードは本体下部にスロットがある
USBコネクター部分は本体内に収納可能
USBコネクター部分は本体内に収納可能

Cruzerは、USBポートに接続して利用する小型のフラッシュメモリーストレージ製品。この種の製品は(株)アイ・オー・データ機器の『EasyDisk』をはじめ、すでに何種類も出回っているが、Cruzerではフラッシュメモリーが固定ではなく、SDメモリーカードを利用しており、交換が容易に行なえることが特徴。小型(幅44×奥行き66×高さ17mm)のUSB接続のSDカード(MMC)リーダーとSDカードがセットになったものと言える。USBコネクター部分は持ち運ぶときには本体に収納できる仕組み。CruzerにはSDメモリーカードの容量の違いにより、64MB、128MB、256MBの3タイプがあり、6月から順次発売するとしている。価格はオープン。今後、記録するファイルに対して、パスワードによるロックがかけられるようにする機能を提供予定で、既存ユーザーに対してはファームウェアによるアップグレードで対応するとしている。

『Image Mate Dual Reader』
『Image Mate Dual Reader』USBケーブルは、本体の底面に収納できる

Image Mate Dual Readerは、USB接続タイプのメモリーカードリーダーで、2種類のメモリーカードに対応した2つのスロットを備えている。米国ではコンパクトフラッシュとスマートメディア、コンパクトフラッシュとメモリースティック、コンパクトフラッシュとSDカード/MMCに対応した製品を販売しているが、日本ではまず、コンパクトフラッシュとスマートメディアに対応した製品を5月下旬ないし6月上旬に発売の予定。価格はオープン。ほかの2種類の製品についても国内販売を計画中としている。

東芝との合弁工場は7月生産開始

チャン氏がサンディスクに関する情報として、まず最初に(株)東芝との合弁によるフラッシュメモリー工場の話題を取り上げた。サンディスクと東芝は、NAND型フラッシュメモリーチップ製造事業に関して、50%ずつ出資した米Flash Vision社を設立し、米国バージニア州の工場で生産していたが、東芝のメモリー戦略変更に伴なって米国工場を米マイクロン・テクノロジー社に売却したことで、4月にフラッシュメモリーチップ製造を東芝四日市工場で行なうと発表していた。合弁会社名は(有)フラッシュビジョンで、出資比率は両社50%ずつとなっている。実際のチップ生産は7月に開始する予定。1つのメモリーセルに2bitを記録できる多値技術(MLC)を使ったNAND型フラッシュメモリー(0.13μmプロセス)を製造するという。

メモリーカードに関するトピックでは、富士通(株)の『Pocket LOOX』のような、コンパクトフラッシュとSDカードなどのデュアルスロット付きのPDAが登場してきたことを挙げた。そうしたPDAではメモリー用とアプリケーション用に個別のフラッシュカードが必要とされるようになるとして、Bluetooth機能とフラッシュメモリー機能を持つといったコンボカードを検討しているという。また、28日に大手コンピューターメーカーがPDAの新製品を発表する予定で、そのPDA向けに、通常のフラッシュメモリーの領域とは別にアプリケーションプログラムを記録した、ソフト入りの新しいSDカード製品を提供することを明らかにした。

サンディスクとソニーのメモリースティック関連の話題
サンディスクとソニーのメモリースティック関連の話題

米国で2001年末から販売し、日本でも出荷開始した、従来品よりも高速に読み書きできる『Ultra Compact Flash』はデジタルカメラの上級ユーザー向けに開発した製品だが、同社のコンパクトフラッシュ出荷の10%を占めるようになると期待しているという。

SDカードはスロット搭載機器が124機種になるなど、デジタルカメラを中心に対応機器が増えてきており、今後MMCからSDカードへの以降が進み、シェアは急速に伸びるだろうとしている。現在サンディスクのSDカードは64MB製品までだが、128MBや256MBは6月末までに出荷するという。また、2001年10月に出荷を開始した、サンディスクブランドのメモリースティックは好調で、1~3月に5~600万ドル(約6億4000万~7億7000万円)の売り上げとなったという。サンディスクのメモリースティックは現在、ソニー(株)からOEM供給を受ける一方で、フラッシュメモリーチップをソニーに供給する関係にあるという。また、サンディスクとソニーは次世代型メモリースティックの開発において技術提携しているが、次世代製品では、アクセスの高速化と128MBを超える大容量化が可能になるとしている。

メモリーカードの世界市場における、各プラットフォーム別の2006年までの予測
メモリーカードの世界市場における、各プラットフォーム別の2006年までの予測。SDカード/MMCは携帯電話の需要により急速に伸びるという

なお、同社のリテール向け製品市場における、各メモリーカードの売り上げの内訳は、おおざっぱに言って、コンパクトフラッシュが50%以上で最も多く、次がスマートメディア、SDカード/MMCの順としている。なお、メモリースティックについては販売開始後日が浅いので含まれていない。

サンディスクの地域別売り上げグラフ
サンディスクの地域別売り上げグラフ

2001年は売上金額が下がる中、シェアは増

チャン氏は、民間調査会社である米インターナショナルデータコーポレイション(IDC)の調べによる、フラッシュメモリーカードの世界市場のデータを示した。2000年は17億ドル(約2180億円)の売り上げがあったフラッシュメモリーの世界市場は、2001年はIT産業の落ち込みや製品単価が6~7割下落したことを受けて、9.3億ドル(約1200億円)に急減したが、サンディスクは2000年の31.3%から34%にシェアを伸ばし、トップの座を守ったとした。2002年の売り上げについては増加すると考えているという。四半期ごとの売り上げで見ると、2001年第3四半期、第4四半期から回復が見られ、2002年の第2四半期には2001年以前の状況に戻るのではないかと期待を見せた。

フラッシュメモリー世界市場におけるサンディスクのシェア
フラッシュメモリー世界市場におけるサンディスクのシェア
サンディスクの四半期ごとの売り上げ推移グラフ
サンディスクの四半期ごとの売り上げ推移グラフ
販売チャネル別の売り上げグラフ
販売チャネル別の売り上げグラフ。リテール部門の売り上げが急速に伸びているという

今後の展望については、半導体製造がより細いプロセスになることやMLCなど記録容量の向上技術によって、単位面積当たりの容量は2000年から2004年までの5年間に15~20倍に増加し、容量当たりの単価の大幅下落やメモリーカード容量の増加が予想されるとした。この結果、フラッシュメモリーは、“3年以内に使い捨てフィルムとして販売される(1画像当たり10セント(約13円))”、“3年以内にデジタルビデオテープと置き換わる(1分当たり1ドル(約130円))”、“3年以内にほとんどのスマートフォンでインターネット機能を使用するために、フラッシュメモリーカードを必要とするようになる”と予測した。

今後のフラッシュメモリーの容量増加の予測とその影響
今後のフラッシュメモリーの容量増加の予測とその影響

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