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日本テレコム、イー・アクセスにADSL回線事業を営業譲渡


2002年5月28日

イー・アクセス(株)と日本テレコム(株)は28日、日本テレコムの運営する個人向けADSL回線事業を、イー・アクセスに営業譲渡することに合意したと発表した。

左がイー・アクセス代表取締役社長の千本倖生氏、右が日本テレコム代表取締役社長のウィリアム・モロー氏
左がイー・アクセス代表取締役社長の千本倖生氏、右が日本テレコム代表取締役社長のウィリアム・モロー氏

譲渡内容は、日本テレコムが運営する個人向けADSL回線事業を、イー・アクセスに約55億円で営業譲渡するというもの。譲渡対象は、日本テレコムが展開している全国842局のADSL関連設備と営業権、およびサービスへの既存加入者約21万5000件(5月末見込み)。資産譲渡日は6月中の予定。なお、日本テレコムのサービス利用者に対する影響はないという。

譲渡後、イー・アクセスが占める国内のADSLマーケットシェア
譲渡後、イー・アクセスが占める国内のADSLマーケットシェア

譲渡後には、イー・アクセスが提供するDSLの局数は全国875局となり、加入者数は約52万5000件(5月末見込み)、提供ISPは約30社になるという。これにより同社は、国内のADSLマーケットシェアの約19%を占める、国内最大のCLEC(※1)になるとしている。また日本テレコムは、これによって新たなコア事業に経営資源を集中させ、コンシューマー事業および法人事業における収益拡大を目指す。

※1 CLEC :(Competitive Local Exchange Carriers)新興通信事業者。国内では、東日本電信電話(株)、西日本電信電話(株)を除く、通信市場に新規参入してきた通信事業者のことを指す。

イー・アクセスは、日本テレコムのインターネット総合サービス“ODN”に対して、7月初旬よりADSLホールセールサービスを提供する。日本テレコムはこれにより、7月初旬に8MbpsのADSL接続サービス“ODN ADSLプラン”を開始するとしている。

千本氏「企業価値が一気に上がるものと思われる」
千本氏「企業価値が一気に上がるものと思われる」

記者会見において、イー・アクセス代表取締役社長の千本倖生氏は「既存の日本テレコムのお客さまに対して、よりよいサービスを引き続き提供できることを条件として譲渡契約に合意した。日本のADSL事業は、“Yahoo! BB”の登場以来、規模の経済が重視されるようになったが、この譲渡によって加入者規模が増大し、規模の経済によるコスト上のメリットが享受できる」と述べ、「サービス提供エリアも、ほぼ日本全国に拡大する。これはISPにとってもエンドユーザーにとっても大きなメリットになるだろう」と語った。

また同氏は「日本テレコムの、NTTと同等かそれ以上に高品位なバックボーン回線を利用することで、コストの削減と、業績改善が可能となる。これにより、企業価値が一気に上がるものと思われる。ネットワークの移行に関しては、日本テレコムとイー・アクセスが、同じ住友電工(株)製のDSLAM(※2)とADSLモデムを利用していることもあり、容易に行なえる。移行は年内には完了する予定」とした。

※2 DSLAM :(Digital Subscliber Line Access Multiplexer)電話局に設置している集合型のADSLモデム。

モロー氏「今回の契約は、両社がともに利益を得る状況を作ることが目的」
モロー氏「今回の契約は、両社がともに利益を得る状況を作ることが目的」

続けて、日本テレコム代表取締役社長のウィリアム・モロー(William Morrow)氏が「今回の契約は、両社がともに利益を得る状況を作ることが目的。2001年の9月に、日本テレコムはイー・アクセスに対して40億円の投資を行なったが、その後、この投資が果たして正しいものなのかと迷った。しかしイー・アクセスには強力な経営陣がいることを発見した。方針や戦略など、日本テレコムに必要なものを持っていると思った。この取引によって、私どももコア事業に焦点を当てていくことができる。そして2社で、良いバランスをとっていけると思う」と語った。

なおイー・アクセスは、今年度中にADSL加入数100万件を目指していたが、今回の譲渡によって、この数字を上方修正するという。詳細な目標の数値については、記者会見では発表されなかった。

(編集部 田口敏之)


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