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ソフトバンク、2004年度第1四半期決算説明会を開催――「ARPUの拡大によって、月次黒字化を今期中に果たす」


2004年8月11日
決算発表会の模様

ソフトバンク(株)は11日、東京・水天宮のロイヤルパークホテルに報道関係者や証券アナリストなどを集めて平成17年度(2004年度)第1四半期の決算説明会を開催した。会見には、代表取締役社長の孫 正義氏、取締役の笠井和彦氏、財務部部長の後藤芳光氏らが出席し、財務・業績の概況や詳細を明らかにした。



代表取締役社長の孫 正義氏
代表取締役社長の孫 正義氏

同社は5月に表明した日本テレコム(株)の買収を7月30日に完了(当初は11月16日完了予定だったが、繰り上げ実施)したばかりで、証券アナリストなども高い関心を寄せ、積極的な質疑応答が行なわれた。

連結売上高の推移とその内訳
連結売上高の推移とその内訳(2002年Q1から第1四半期ごとの比較)
ブロードバンド事業の売上高と営業損益の推移
ブロードバンド事業の売上高と営業損益の推移
純有利子負債の推移
純有利子負債の推移

同社が発表した財務・業績の概要は以下のとおり。

経営成績(連結)の状況

売上高(100万円未満切捨て、以下同)
今期 1473億1100万円
前年同期 1038億8100万円
営業損益
今期 38億1900万円
前年同期 241億9700万円
経常損益
今期 116億6900万円
前年同期 306億3300万円
四半期(当期)純損益
今期 178億7600万円
前年同期 347億3400万円

財政状態(連結)の状況

総資産
今期 1兆6673億300万円
前年同期 1兆84億7800万円
株主資本
今期 2306億4500万円
前年同期 2726億3000万円
株主資本比率
今期 13.8%
前年同期 27.0%

連結キャッシュフローの状況

営業活動によるキャッシュフロー
今期 △119億3700万円
前年同期 △378億2100万円
投資活動によるキャッシュフロー
今期 △233億100万円
前年同期 △78億9900万円
財務活動によるキャッシュフロー
今期 987億5200万円
前年同期 227億9100万円
現金および現金同等物の期末残高
今期 5043億9500万円
前年同期 1246億6000万円

決算概況の説明については、孫氏本人がすべて発言し、「売上高の増加、EBITDA(営業損益と減価償却費の合算)の拡大と営業損失の縮小、純有利子負債の減少によって、“成長性”“収益性”“安全性”の3つの柱が構築できた」と切り出し、同社の業績・財務状況の改善ペースが上がっていることを強くアピールした。

2002年11月に発表した経営戦略/財務戦略のチャート
2002年11月に発表した経営戦略/財務戦略のチャート
2002年当時から現在までの推移を並べ、当時宣言したとおりに成長を果たしたとアピール
2002年当時から現在までの推移を並べ、当時宣言したとおりに成長を果たしたとアピール

連結売上高については、関連子会社ソフトバンクBB(株)による“BB(ブロードバンド)事業”や“インターネット・カルチャー事業”の成長が大きく貢献。連結の営業損益についても、2002年第4四半期の337億円をピークにV字回復を見せていると説明した。特に強調したのがEBITDA(イービットディーエー)の60億円の黒字で、「これはBB事業開始以来最大で、海外の投資家などは営業利益/損益よりも、こちらの数字を重視する」と鼻息荒く説明した。BB事業以外の営業利益は145億円で、こちらも大幅に拡大。前年同期から3.2倍と高い成長を見せたという。

こうした成長の背景として、ブロードバンド(ADSL)接続回線数が7月末現在で435万件、ISP(インターネットサービスプロバイダー)の契約者数が481万件にのぼり、顧客獲得費(駅前などでの営業活動にかかる経費)考慮前の営業利益が今期113億円を計上したことを挙げた。同社では、回線速度の向上による基本料/モデムレンタル料の引き上げに加えて、IP電話“BBフォン”や無線LAN対応などの付加サービスを提供し、1ユーザー当たりの平均収入(ARPU)を事業開始当初の2000円程度から4100円超に引き上げることに成功した。実際、26Mbps以上の高速接続サービス利用者が全体の15.3%、無線LAN利用者は19.1%と順調に増加を続け、固定費や顧客獲得費は期ごとの変動はあれど、ほぼ横ばいで推移している。また、今年春の個人情報漏洩事件の影響もほぼ収束し、解約率は1%台で安定推移しているという。

BB事業開始以来のARPUの推移
BB事業開始以来のARPUの推移
BB事業の商品ミックス(付加価値サービス提供)と、利用者の割合の推移
BB事業の商品ミックス(付加価値サービス提供)と、利用者の割合の推移
1ユーザーあたりの利益額/利益率の推移
1ユーザーあたりの利益額/利益率の推移

同社では今後の更なる成長に向けて、一つは日本テレコムの買収を早期に完了し、日本テレコムが持っていた法人顧客への強みを活用し、シナジー(協調)効果を得るとともに、個人情報管理の徹底とサポート体制の強化を図るために(株)ベルシステム24との包括的業務提携を行ない、サポートのアウトソース化を進めていることを説明した。後者は、コールセンターの強化によるサポートサービスの充実だけでなく、同社のテレマーケティングのノウハウを活用した有料付加サービスの売り込みにも活用し、今後の利益拡大を期待しているという。

日本テレコムの買収効果のひとつとして通信回線の補完/統合と二重化を挙げた
日本テレコムの買収効果のひとつとして通信回線の補完/統合と二重化を挙げた
日本テレコムのユーザーにはまだARPU向上の余地があることもアピール
また、日本テレコムのユーザーにはまだARPU向上の余地があることもアピール

日本テレコムの買収を完了したことで、個人/法人および音声/データ回線を総合して、ソフトバンクBBの持つ436万回線に日本テレコムの640万回線(法人音声163万/法人データ7万/個人音声364万/個人データ158万回線)を加えて1076万回線を保有する、日本で2番目の固定通信事業者になったと強調。さらに、日本テレコムが持っているナローバンドの顧客(ARPUは約1290円)がYahoo!BB(ARPUは約4100円)に乗り換えることで、収益性の向上が図れる。両者の通信回線を補完することでコスト削減効果(5年間で約500億円)と、重要拠点間における通信回線の二重化による信頼性確保など、合併のメリットを具体的に説明した。

これらを理由に、孫氏は「営業損益の黒字化は、月次単位では年内にも実現可能で、遠くない時期に通期での黒字化も図れるだろう」と楽観的な見通しを述べた。

同社の掲げるブロードバンド事業のビジネスモデル
同社の掲げるブロードバンド事業のビジネスモデル

最後に証券アナリストからの質問で、「営業損益の単月黒字化は、具体的にいつ頃可能か? 上期中に黒字化できれば、通期での黒字化も今年度に達成できるのではないか?」と聞かれると、「単月の黒字化は下期になる予定。現在はユーザー数を増やすこと、具体的には2005年9月末まで600万回線の獲得を目指すことを表明しているが、これを達成することに重点を置いている。さらに新サービス導入のための先行投資もある。目先の収益をこじんまりと黒字にまとめるのではなく、将来に大きな収益を上げるために今は妥協せずにユーザー数の拡大を狙っていく」と答えた。しかし、その“新サービス”の内容については、「さわりだけ、と言われても、今は何もいえない。競争があるので、コメントできないが、近い将来、次々と新サービスを開始し、それが収益の原動力になるだろう」と自信を見せた。

また、東日本電信電話(株)/西日本電信電話(株)(NTT東西)が最近注力しているIP電話事業について競争の激化による影響を問われると、「各社のIP電話事業への参入は2年前から発表されているが、いまでもウチがトップにある。NTTのIP電話は技術的にできます、というだけであって、実際にIP電話に置き換わってしまえばそれによって利益(売上)は減少するはず。そんな事業に本腰を入れてくるだろうか。ウチよりも安く提供できるとも思えないし、宣伝効果によって好影響があるのではないか?」とかわした。

「新サービスの一環として、光(FTTH)や携帯電話事業も含まれるのではないか?」と突っ込まれると、「タイミングや方法はコメントできないが、準備はしている。特に携帯電話事業は免許制なので、こちらがやりたいからといって“やる”とは言えない。免許をもらえればいつでも参入したいという方針はある」と回答。

さらに、ソフトバンクBBで来年度の新入社員を3000名採用するという話が出た後でのベルシステム24との協業により、何らかの変更があるのか? という人事面での質問には、「3000名の採用は変更路線ではない。新入社員のうち数百名をサポートに回す予定があったが、これはベルシステム24への出向という形になるかもしれない。いずれにしても、採用人数を減らすことは考えていない」と答えた。

(編集部 佐久間康仁)


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