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DDIポケット、新体制による事業説明会を開催――PHSの特色を生かしたデータ/音声通信サービス両面の展開を強化


2004年10月14日

新会社名は“株式会社ウィルコム”に決定
ディーディーアイポケット(株)(DDIポケット)は14日、米カーライル・グループ(The Carlyle Group)および京セラ(株)の事業買収により今月1日に発足した“新生”DDIポケットの事業説明会を開催し、今後の事業方針や社名変更に関する説明を行なった。社名変更は2005年2月1日を予定しており、新社名は“株式会社ウィルコム”(英文名“WILLCOM,Inc”)となる(新社名に関してはこちらの記事を参照のこと)。



1日に発足した新体制の概要を説明した代表取締役会長の木下龍一氏
旧会社から新会社への体制移行の概要

従来の同社は、PHS事業会社として1994年に設立したKDDI(株)の子会社。6月21日に発表されたカーライルおよび京セラによる事業買収に基づき、今月1日よりKDDIグループを離れ、新体制での運営がスタートした。経営移行手続が完了となる予定の来年1月1日における資本構成は、カーライルが60%、京セラが30%、KDDIが10%。旧DDIポケットの全事業および経営陣と従業員はそのまま新DDIポケットに移り、旧DDIポケットは“飯田橋フェニックス企画株式会社”として年内をめどに清算するという。組織構成の大きな変更点としては、従来の営業担当部門である“営業本部”が、法人向けの“ソリューション営業本部”と、個人向けの“コンシューマ営業本部”に分割されており、それぞれの分野でのマーケット拡大を実現していくという。

事業戦略に関する解説を行なった代表取締役社長の山下孟男氏
従来の同社の戦略と新体制での戦略の変化を示すスライド

事業戦略の変化について解説を行なった同社代表取締役社長の山下孟男氏によると、今後同社は、従来のKDDIグループの企業としての“ポジショニング戦略”を離れることにより、モバイルデータ通信/音声通信/投資・事業展開/営業活動の各分野で新しい展開を行なっていくことになるという。従来および今後の事業の方向性の違いは以下のとおり。

モバイルデータ通信
従来:“安い”モバイルデータ通信の提供を維持。高速路線はKDDIの3G携帯電話により推進
新会社:“高速かつリーズナブル”なモバイルデータ通信を目標に、通信速度の向上を推進
音声通信
従来:音声通信事業は縮小/撤退の方向に進め、同分野はKDDIの3G携帯電話の普及拡大を推進
新会社:音声通信におけるPHSの強さ(高音質/低価格)を生かした事業拡大を推進
投資・事業展開
従来:KDDIグループ内での同社の位置付けは“ノンコア”分野で、同社のキャッシュフローは負債返済を優先
新会社:企業としての成長を目指した投資と事業展開の強化
営業活動
従来:KDDIグループ内での連携を最優先した営業活動が主体
新会社:KDDIグループに限定せず、同社モバイル製品を必要とする企業と積極的に関係を構築し、幅広いパートナーシップにより営業活動を展開

今後5年間の事業展開の計画としては、まず最初の1年間については、

  • AirH”の高速化(圧縮技術の改良を含めて“体感”1Mbpsを目標とする)により、“モバイルデータ通信の第一人者”としてのブランドポジションをさらに強化する
  • マーケティング体制の一新により、新社名の浸透、ブランディングの強化、パートナーシップの強化を進める
  • ユーザビリティーを重視し、かつブランドの持つイメージに沿った性能を兼ね備えた音声端末の開発と順次投入を行なう

などの「手堅い経営を実践」(山下氏)し、将来に向けた改革を進めていくという。そして来年度以降は、リーズナブルな価格/高速通信/低電磁波といったPHSの特徴を生かしたマーケットを創出し、モバイルソリューションの拡大や、中上級者ユーザーやシニア層に向けた製品の投入と市場の確立を進め、独自の技術/製品/サービスに基づく独自ポジショニングを確立して売上の飛躍的増大を目指していくとしている。

ネットワーク整備と製品展開について説明した執行役員経営企画本部長の喜久川政樹氏
従来のネットワーク構成(左)と今後の構成(右)の違い

また、同社の事業を支えるネットワークインフラについては、すでに全国16万ヵ所のマイクロセル基地局とAirH”用バックボーンを所有しているというメリットを生かし、5年間で約700億円という「少ない投資額」(同社執行役員経営企画本部長の喜久川政樹氏)により、以下のような大幅な整備も今後推進するという。

基地局の高速/多チャンネル化
現状:各基地局あたり4チャンネル、1チャンネルあたりの通信速度は32kbps
今後:各基地局あたり14チャンネル以上、1チャンネルあたりの通信速度は32kbpsまたは64kbps
バックボーンのIP化
現状:基地局からIP網にはNTT地域網を経由して接続し、データ通信のみに利用
今後:基地局からIP網にはITXと呼ばれるバイパス装置を経由して接続。データ通信と音声通信の両方にIP網を利用し、同社の全通信の約8割をIP網上で展開。これによりコストの低減を図り、高速/多チャンネル化を進めつつ定額/低価格でのサービス運営を実現。また、ウェブ閲覧/メール配信時のデータ圧縮サービス向けのサーバーを強化し、圧縮率4〜10倍程度のサービスを全ユーザーに提供(現状は2倍程度、一部ユーザーのみに提供)
人口カバー率の向上
現状:96%
今後:100%を目指す

今後のマーケティングおよびブランディング戦略に関しては、従来よりも積極的な活動の実施や、ユーザビリティーの向上などの“顧客本位”の施策の実施、新たなパートナーシップの模索、新しいチャネルの開拓を推進し、データ通信および音声通信ともにバランスの取れた事業の拡大を目指していくという。

新会社が目指す事業領域の拡大
データ通信カードの展開

今後の製品展開は、従来どおりデータ通信カードと音声端末の2本立ての展開を継続。データ通信カードでは、現在の128kbps通信(32kbps回線を4チャンネル使用)製品に続き、高速化パック(圧縮機能)を標準装備する128kbps通信製品を一般コンシューマー向けに展開、続いて今年度内を目標に256kbps通信(32kbps回線8チャンネル使用)+高速化パックの製品をハイエンドユーザー向けに発売、さらに将来的には512kbps(64kbps回線8チャンネル使用)+高速化パックの製品を投入する計画だという。


音声端末の展開

音声通信端末は、“AirH”フォン”などのウェブブラウザー機能付き端末と、“安心だフォン”などの音声特化端末の2ライン。前者では、クライアントレスの圧縮機能などの利用により、体感100kbps超の通信速度を実現し、それに続いて、128kbps通信機能の追加と高速化パックの標準搭載を順次進め、パソコンとの連携機能などを充実していくとしている。後者では、低価格化と誰にでも使いやすい操作性をさらに追及し、法人向けの機能の充実を進めていくという。

(編集部 内田泰仁)


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