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NTTドコモと三井住友、携帯電話向けクレジット決済サービスで業務/資本提携

2005年04月27日 23時38分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、NTTドコモ)、(株)三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)、三井住友カード(株)、(株)三井住友銀行の4社は27日、“おサイフケータイ”を使った新クレジット決済サービスを共同推進すると発表した。おサイフケータイとは、非接触ICカード技術“FeliCa(フェリカ)”を利用したNTTドコモの携帯電話向けサービス“iモードFeliCa”に対応する携帯電話のこと。4社は、この事業の推進を目的とした業務・資本提携について同日付けで合意した。

左から、三井住友カード 取締役社長の栗山道義氏、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫(なかむらまさお)氏、三井住友銀行 頭取、SMFG 取締役社長の西川義文氏
左から、三井住友カード 取締役社長の栗山道義氏、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫(なかむらまさお)氏、三井住友銀行 頭取、SMFG 取締役社長の西川義文氏

「大きな転機」「思い切った決断」

NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏は冒頭、「iモードサービスの登場により携帯電話は“通信インフラ”に変わった。(2004年7月)iモードFeliCaを導入し、(携帯電話は今や)“生活インフラ”という新たなステージに入りつつある」と述べ、現時点で対応携帯電話は300万契約を突破し2万店舗で利用可能と紹介した。新クレジット決済サービスの立ち上げの背景について、「携帯電話の新たな利用機会の創出をはかって、トラフィックの底上げを行なう一方で、企業としての持続的成長を目指しトラフィックに依存しないビジネスモデルを考えてきた」と語り、同社にとって新サービスは「大きな転機」なのだと位置づけた。

三井住友カードは、SMFGの100%子会社にあたる。三井住友銀行 頭取でSMFG 取締役社長の西川義文氏は、今回の提携を「思い切った決断」と評価した。提携の背景について、「成熟段階に入ったクレジットカード業界の中で、三井住友カードがさらなる飛躍をしていくためには、新たなビジネスモデルを導入する時期に来ている。そのためには、最大の“ポータブルな生活インフラ”となっている携帯電話との連携が効果的だと判断した」と述べ、「カードビジネスの抜本的強化となることを大いに期待している」のだとした。具体的には、VISAカードの若年層への普及拡大、小額決済から中・高額決済までシームレスにクレジット機能を提供することでのクレジットカード市場自体の拡大、携帯電話向けクレジット決済サービスの先行者としてのメリットの享受、SMFGとしてのトランザクションビジネスの拡大を狙っているのだという。

株式取得は「積極的に容認」

NTTドコモは三井住友カードに対し、三井住友カードの発行済み株式総数の34%にあたる普通株式を、増資引き受けなどにより約980億円取得する予定。取得時期については2~3ヵ月後という。中村氏は、「三井住友カードの持つ豊富な金融/クレジットカード事業のノウハウと協力がなければ難しい」と三井住友カードとの関係性を強調し、一方で、NTTドコモが株主総会で重要事項の決議に際して拒否権を持つ34%取得したことに関して西川氏は「ドコモとの提携を強いものとするために、むしろ積極的に容認した」とした。

サービス開始は約1年後か

今回の業務提携により、NTTドコモは新しいクレジットブランドを立ち上げ、三井住友カードと共同でおサイフケータイを使ったクレジット決済ができるプラットフォームを構築する。三井住友カードは同サービスが利用可能な加盟店向けの端末を開発して全国規模で早期に設置し、小額から高額までの決済インフラを構築する。

インフラの整備が終わった次のステップとしては、NTTドコモはおサイフケータイを使ったクレジット決済サービスを、自らがクレジットカード事業者として行なう。サービス開始の時期は未定だが、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏によれば「(準備に)1年程度かかる」という。また三井住友銀行は、今回の新クレジットサービスに対応する機能を搭載したATMを開発する(時期は未定)。

新クレジット決済サービス事業のイメージ
新クレジット決済サービス事業のイメージ

携帯電話紛失/盗難時のセキュリティー対策についてNTTドコモは、詳細は未定だが、パスワードによる認証のほか、盗難紛失の際には専用窓口に連絡をすればただちに使用できないように回線を停止する機能を設ける見込みという(現状で回線を停止するには事前登録が必要)。

なお、NTTドコモと三井住友カードの今回の分野に対する提携は独占なものではなく、三井住友カードが他の事業者と共同で同様のサービスを行なう可能性もある。また、現時点で詳細は不明だが、三井住友カード以外の他のクレジットカード事業者がおサイフケータイを使ったクレジット決済サービスを提供することも何らかの形で可能になる。さらに、NTTドコモと三井住友カードが構築する携帯電話向けのクレジットカード決済インフラを他の携帯電話事業者/クレジットカード事業者に提供することについても、オープンな姿勢を見せている。

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