このページの本文へ

楽天、TBS株15.46%を取得し筆頭株主に――「TBSとは相性が非常にいいのではないか」

2005年10月13日 21時33分更新

文● 編集部 伊藤咲子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏
代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏。証券取引法の規定に従い、関東財務局に大量保有報告書および変更報告書を本日提出した

楽天(株)は13日、(株)東京放送(TBS)の発行済み株式の15.46%にあたる2938万株を、子会社を通じて12日現在取得していると発表した。株式の取得金額は880億円。代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は「我々はファンドではなく戦略的な企業体。TBSに対して本日、共同持株会社を作らないかという提案を行なった。(中略)買収ではなく持株会社化することにより、世界に通用するメディアグループを設立できないかと考えている」と、持株会社化による経営統合を目指していることを明らかにした。出資比率など、持株会社の具体的像については言及を避けた。



三木谷氏のプレゼンテーションより
「共同持株会社を設立し、世界に通用するメディアグループを作りたい」(三木谷氏のプレゼンテーションより)

三木谷氏によれば、今回の経営統合の申し入れに至るまでの検討を始めたのは昨年の8月頃からで、(株)ライブドアと(株)フジテレビジョンの一連の事件よりも早い。経営統合を申し入れた背景として、マスメディアとEコマース業界の現状について「テレビやラジオは、マスメディアとして高い影響力を持つ一方で、昨今のデジタルビデオレコーダー(による“CMスキップ”の問題)の出現など、将来の収益圧迫要因が非常に多い。一方インターネットのEコマースは、収益性が高く成長性があるが、影響力は少し劣る」と分析。この2事業を統合することで、「メディアとしての力が向上し、収益性が向上し、成長性が確保でき、視聴者に対して多様なコンテンツの提供が可能になる」という。経営統合によって新たな価値の創出が期待できる分野としては、(1)インターネット連動によるテレビ広告の高付加価値化と、(2)コンテンツのブロードバンド配信を挙げた。放送事業の公共性・中立性は、第三者による委員会を設置するなどして維持したいという。

三木谷氏のプレゼンテーションより(2) 三木谷氏のプレゼンテーションより(3)
楽天による、楽天とTBSの比較。売上高のグラフ(赤色)は、楽天は右肩上がり、TBSは頭打ちになっている(三木谷氏のプレゼンテーションより)楽天による、主要メディア/ポータルサイトの、収益性と売上規模の相関図。質疑応答ではライブドアに関するコメントは避けていたが、この表ではライブドアも取り上げている(三木谷氏のプレゼンテーションより)


村上ファンドとは考え方が違う

他のテレビ局でなくてなぜTBSなのかという点について三木谷氏は、(1)コンテンツの制作能力と蓄積された資産、(2)“世界の中心で愛を叫ぶ”などワンコンテンツ・マルチユース事業での実績、(3)報道における強み、(4)ラジオ媒体のポテンシャルを挙げた。TBSに限らず他局もほぼ同様のリソースを抱えていると思われるが、質疑応答でも詳しい回答は得られず、三木谷氏は「TBSは楽天との相性が非常にいいのではないか」とするに留まった。

三木谷氏と代表取締役副社長執行役員の國重惇史氏
三木谷氏と代表取締役副社長執行役員の國重惇史氏

一方、村上ファンドがTBSの株を買い集めているという報道もあったが、村上ファンドとの接触について代表取締役副社長執行役員の國重惇史氏は「同じ六本木のビルにいるので、顔を合わせたことが全然ないといえば嘘になるが、TBSのことについては一切話をしていない」とし、さらに同ファンドが所有する株を今後取得する意志については、楽天はファンドではないので考え方が違うと強調しつつ「先のことは分からない」と述べた。一方、将来の株式公開買い付け(TOB)については「話し合いがスタートしたばかりで、そこまで考えていない」とした。

なお三木谷氏によれば、本日TBS経営陣に対して行なった説明は20分強。「検討していただけるとのことなので、いい返事を期待している」(三木谷氏)という。

緊急記者会見の模様都内で夕刻に開催された緊急記者会見の模様。報道関係者が殺到し、受付開始30分前には50m以上の長蛇の列ができた

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン