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ソフトバンク、平成18年第2四半期の決算を発表――連結営業利益で4年半ぶりの黒字を達成


2005年11月10日
1.7GHz帯を使用する携帯電話事業への参入許可の書類を掲げるソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏
1.7GHz帯を使用する携帯電話事業への参入許可の書類を掲げるソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏

ソフトバンク(株)は10日、平成18年(2006年)3月期(第2四半期)の中間決算を発表を行なった。半期ベースの連結決算では、連結売上高は前年同期比で72.1%増の約5227億円、営業利益は約44億円となり、2001年上期に赤字に転落して以来の、4年半ぶりの半期黒字を達成した。今後は動画コンテンツ時代に合わせたコンテンツビジネスの拡充や、携帯電話事業などを通じて、利益の拡大を目指す。

「今日は嬉しい発表が2つある」と、ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏はにこやかに語り始めた。その最初に挙げられたのが、1.7GHz帯の電波を使用する携帯電話事業への参入が、9日に総務省より認可されたことであった。孫氏は発行された認可を示す書類を掲げて、「7〜8年前からずっと念願していた新規参入」と述べ、喜びを表わした。2つめの“嬉しい発表”が、4年半ぶりの営業利益の黒字転換である。孫氏は連結EBITDA(※1)で2005年上期は502億円に増加(前年同期は120億円)、経常損益も134億円と損失幅が大きく縮小(前年同期は259億円)するなど、業績が大きく改善されたことを示した。特に多額の販売促進コストが経営を圧迫していたブロードバンド事業(Yahoo! BB)は、2005年第2四半期では107億円の営業利益を上げるなど、営業利益黒字化に貢献したとしている。また投資先企業の株式売却などで、上期には売却益522億円、下期もすでに940億円を計上するなど、上期と下期の合計ですでに2000億円程度の投資回収を実現したという。

※1 “Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization”の略で、税引き前、利払い前、減価償却前の利益を示す財務分析指標。グローバルに展開する企業で、各国間での金利や税率の違いを最小限に抑えて利益を示す指標として利用されている。

各セグメント別の売上高推移のグラフ
各セグメント別の売上高推移のグラフ

事業統括については、まず“3次元的成長”と題した、ソフトバンクグループの将来像を挙げた。孫氏は、Yahoo! BBのADSLや光ファイバーインターネット、日本テレコム(株)から買収した固定電話事業などのインフラ面に加えて、Yahoo! Japanを核としたプラットフォーム・インフラ事業、さらに音楽や放送、ゲームや出版、コマースなどのコンテンツ事業のすべてをトータルで持っているのはソフトバンクだけであるとして、今後は高速ネットワークの拡充によって現実的となった動画コンテンツなど、ブロードバンド・コンテンツの拡充を重要とした。

ソフトバンクグループの事業全体
ソフトバンクグループの事業全体

話題の携帯電話事業については、具体的なビジネス戦略などは披露されなかったものの、固定回線によるブロードバンド市場が、500社弱が7600億円程度の市場にひしめき合っていたのに比べて、移動体通信市場は市場規模8兆5000億円の市場を3社で分け合っていたとして、その市場規模の大きさを示した。そして携帯電話事業を展開するに当たっては、Yahoo! BBなど既存の顧客基盤を活用するとし、また“ADSLモデムの無料配布”に代表された莫大なコストをかけた顧客獲得施策は行なわず、利益を損なわない形でのビジネスを展開していくという。

さらに孫氏は、既存の固定ブロードバンドネットワークと携帯電話、さらに近い将来に登場する高速無線データ通信規格“WiMAX”を組み合わせた、シームレスな移動体データ通信の可能性についても述べた。異なる3つの通信規格間で、データの切れ目がないシームレスなハンドオーバー(トリプルハンドオーバーと呼称)を実証する実験のビデオを披露し、1.7GHz帯を使ったトリプルハンドオーバー実験の世界初の成功事例であるとして、回線種別にわずらわされることなく、ブロードバンドコンテンツを楽しめる環境が持つ、大きな可能性を強調した。

ビデオで披露された、1.7GHz帯携帯電話(HSDPA)とWi-Fi、WiMAXのトリプルハンドオーバー実験の様子。ストリーム配信されるビデオ映像を途切れさせることなく、手動または自動で接続を切り替えてみせた。複数の通信方式でシームレスな通信が行なえる携帯端末の可能性を示すものだ
ビデオで披露された、1.7GHz帯携帯電話(HSDPA)とWi-Fi、WiMAXのトリプルハンドオーバー実験の様子。ストリーム配信されるビデオ映像を途切れさせることなく、手動または自動で接続を切り替えてみせた。複数の通信方式でシームレスな通信が行なえる携帯端末の可能性を示すものだ

コンテンツ事業については、現在ベータテスト中の動画コンテンツ配信・検索プラットフォーム“TV Bank”や、電子雑誌“万葉”、さらにオンラインゲーム運営を手がけるガンホー・オンライン・エンターテインメント(株)を核としたゲーム事業などについて簡単に説明を行なった。特にオンラインゲーム事業については、ガンホーを中心とした業務提携やコンテンツ開発や、傘下の投資会社であるモビーダ・インベストメント(株)を経由して、総額100億円超のオンラインゲームファンドの組成を予定するなど、市場拡大に向けて積極的に取り組む姿勢を示した。

海外事業については、Yahoo!韓国やYahoo!ドイツなどの保有株式を米ヤフー社に売却する一方で、中国市場への投資を促進。中国の電子商取引企業Alibaba.comへの出資や、オンラインオークション企業Taobao.comの子会社化など、積極的な投資を展開していることを示した。Taobao.comは2003年のサービス開始後、わずか2年でYahoo! Japanに匹敵する会員数を誇るオークションサイトに成長するなど成長著しく、Alibaba.comとTaobao.com、加えてソフトバンクグループが傘下に収めたYahoo!中国の3社を合計した価値は、4639億円にも上るとしている。

同社は同日、ソフトバンク株の株式分割(無償交付)も発表した。分割基準日は2006年1月4日。現在の1株を3株に分割することで、現在7070円程度の株価が、分割後には2356円程度になるとしている。これにより同社では、同社に対する投資をしやすい環境を整備するとしている。

NTTの経営計画には強い懸念を示す

発表後の質疑応答の中で、9日に発表された日本電信電話(株)の事業・インフラ整備の統合計画“中期経営戦略”についての見解を求められた孫氏は、NTT規制法を実質無視した形で固定通信と移動体通信の支払い共通化などを進めることは、独占禁止法の精神にも反することで、なし崩しに進めることは許されるべきではないとして、強い懸念を持っていると述べた。NTTグループの中期経営戦略については、ソフトバンクと同様に携帯電話事業への参入を認められたイー・アクセス(株)も、強い懸念を表明しており、巨大なNTTグループの再統合にもつながる動きに対して、新規参入事業者が強い警戒感を持っていることをうかがわせた。

(編集部 小西利明)


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