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2.5インチHDDを拡充し、年内には200GB級を投入。1.8インチHDDにも参入!――富士通、HDD事業の強化を発表


2006年1月13日
HDD事業の戦略について発表する、富士通 ストレージプロダクト本部長の古村一郎氏
HDD事業の戦略について発表する、富士通 ストレージプロダクト本部長の古村一郎氏
8月に発表された、2.5インチHDDでは最大級の160GBを誇る『MHV2160BT』
8月に発表された、2.5インチHDDでは最大級の160GBを誇る『MHV2160BT』

富士通(株)は13日、同社のHDD事業を強化し、2.5インチHDDを中心に製品を拡充し、新たに1.8インチサイズの小型HDD市場にも参入すると発表した。2006年には容量200GBの2.5インチHDDも投入するほか、垂直磁気記録方式を採用した製品も、2006年後半をめどに投入する。これらの分野の強化により、2008年にはHDD売上世界トップ3を目指すとしている。

かつてはデスクトップパソコン向けの3.5インチHDD市場から撤退するなどの苦汁を飲んだこともある富士通が、2.5インチHDDを武器にさらなる飛躍を目指す。記者説明会にてHDD事業の戦略について説明した富士通 経営執行役常務 ストレージプロダクト本部長の古村一郎氏の言葉には、モバイル市場やサーバー市場で培った実績に裏打ちされた自信が表われていた。まずHDD市場全体の動向について古村氏は、パソコンやサーバーなどのIT市場向けHDDの出荷台数が伸び悩む一方で、HDDレコーダーや携帯オーディオプレーヤー、HDD搭載ゲーム機などの“Non-IT”市場が今後大きく拡大するという予測を示し、これらの市場で特にニーズの高い2.5インチ、1.8インチクラスのHDDが、今後の成長市場であるという同社の分析を披露した。

同社調べによる、HDD市場のサイズ別予測。2008年には2.5インチタイプが1億5000万台、1.8インチタイプも6000万台が出荷される。1.8インチのうち4000万台は、Non-IT市場で使われると古村氏は述べた
同社調べによる、HDD市場のサイズ別予測。2008年には2.5インチタイプが1億5000万台、1.8インチタイプも6000万台が出荷される。1.8インチのうち4000万台は、Non-IT市場で使われると古村氏は述べた

一方で富士通のHDD事業は、2001年を最後にデスクトップパソコン向けの3.5インチHDD市場から撤退して以降、ノートパソコン向け2.5インチHDDと、サーバー向け3.5インチHDDに注力。両分野ともに第2位の世界市場シェアまで成長したという。また最終製品の製造だけでなく、磁気ヘッドから記録媒体、コントローラーLSIなども自社開発する垂直統合型のアプローチにより、高品質の製品を適時市場に投入できた。特にノートパソコン向け2.5インチHDDについては、「100GB以上を超えるプロダクトは、ほとんど富士通1社。品質に関してもベスト・インプライス」(古村氏)と、優れた実績を上げていることが強調された。

1998年以降の、富士通HDD事業の出荷台数推移。デスクトップ向け3.5インチHDDからの撤退で一時期は大きく落ち込んだが、現在ではそれを上回る規模まで成長している
1998年以降の、富士通HDD事業の出荷台数推移。デスクトップ向け3.5インチHDDからの撤退で一時期は大きく落ち込んだが、現在ではそれを上回る規模まで成長している

これらの強みを生かし、2008年のHDD事業の事業目標として“2008年度HDD売上世界トップ3”、売上では4000億円を目指すとした。その方策としては、3つが挙げられている。まず1つは好調のノートパソコンを含むモバイル向け2.5インチHDDの強化で、大容量化と高速化(SATA対応品の拡充、回転速度の向上)、Non-IT市場への展開を進めるとしている。大容量化については、2006年に容量200GBの2.5インチHDDを投入するとしている。記憶容量のさらなる拡大に重要な高密度記録については、同社が以前から製品への応用に向けて研究を進めている垂直磁気記録方式を利用して、200Gbit/平方インチ超をすでに実証。2006年後半には、垂直磁気記録方式を採用する2.5インチHDDも市場投入するという。このHDDは1プラッターあたりの容量が80GB、面記録密度では130Gbit/平方インチ程度になる。さらに600Gbit/平方インチを可能にする記録ヘッドや、ナノ技術を応用した垂直磁気記録向け媒体(2010年に1Tbit/平方インチを目指す)などの、研究開発も継続する。回転速度についても、現行製品では高速なものでも5400回転/分(rpm)のところを、7200rpmに高速化した製品をハイエンドパソコン向けに投入する予定である。

モバイル向け2.5インチHDDの製品ライン拡充プラン。大容量化だけでなく、インターフェースや回転速度の高速化も図られる
モバイル向け2.5インチHDDの製品ライン拡充プラン。大容量化だけでなく、インターフェースや回転速度の高速化も図られる
記録密度向上のトレンド。一時期は鈍化したこともあったが、垂直磁気記録方式の登場などで、今後も大容量化は続く
記録密度向上のトレンド。一時期は鈍化したこともあったが、垂直磁気記録方式の登場などで、今後も大容量化は続く
高密度記録のための技術その1。高い磁力を持つ記録ヘッド
高密度記録のための技術その1。高い磁力を持つ記録ヘッド
高密度記録のための技術その2。ナノテクノロジーを応用した、記録媒体の研究開発
高密度記録のための技術その2。ナノテクノロジーを応用した、記録媒体の研究開発

サーバー向けの2.5インチ/3.5インチHDD製品については、2.5インチHDDの高速化を重点に拡充する。古村氏は「(1ドライブでの大容量化は障害復旧時のコストも上がるため)メインのお客様からは、『今の容量以上は望まない』という言葉を聞く」として、現行の3.5インチHDD(容量300GB)などを2.5インチHDDに置き換えるとともに、2.5インチHDDの回転数を1万rpmから1万5000rpmへ向上し、インターフェースもシリアルアタッチドSCSI(SAS)に変更するというプランを挙げた。現在は製品バリエーション3機種中、2機種が3.5インチHDDであるが、2008年には逆に2機種を2.5インチHDDに変更し、これをメインにしたいとした。

サーバーHDDの製品ライン拡充プラン。大容量化よりも2.5インチHDDを高速化して、3.5インチHDDを置き換える
サーバーHDDの製品ライン拡充プラン。大容量化よりも2.5インチHDDを高速化して、3.5インチHDDを置き換える

最も注目なのは、1.8インチHDD市場への新規参入であろう。1インチHDDの開発/販売を手がける米Cornice社と提携し、1.8インチHDDを共同開発。2007年にIT市場と家電市場の双方に向けて、製品を投入するとしている。ターゲットとする容量は1プラッターあたり60GBで、1プラッターで60GBの製品と2プラッターで120GBの製品を投入する。またインターフェースも現在主流のパラレルATAから、SATAやCE-ATA(携帯機器向けのHDDインターフェース規格)を採用する。現在ある大きな市場である3.5インチHDDではなく、新しい1.8インチHDD市場に参入する理由について古村氏は、3.5インチHDD市場の伸びが期待できないうえ激戦区であることを挙げ、今後伸びる市場に注力するとした。

報道陣からは、より小型の1インチや0.85インチHDDではなく、1.8インチHDDを選んだ理由や、大容量化を続けるフラッシュメモリーとの競合についての質問が相次いだ。これについて古村氏は、「(フラッシュとの競合で)1インチは苦戦、0.85インチはかなり難しいのでは」との見解をグラフと共に示し、HDDならではの容量/価格比のメリットが打ち出せるのは、1.8インチHDDからであるという判断を示した。また携帯性重視のノートパソコンでは、2.5インチHDDから1.8インチHDDへの移行もあるという意見も示された。

補足説明として披露された、HDDとフラッシュメモリーの容量/価格比のグラフ。1インチHDDや0.85インチHDDは、大容量フラッシュメモリーと大差のないため、市場では苦戦すると富士通は見ている
補足説明として披露された、HDDとフラッシュメモリーの容量/価格比のグラフ。1インチHDDや0.85インチHDDは、大容量フラッシュメモリーと大差のないため、市場では苦戦すると富士通は見ている

(編集部 小西利明)


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