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シトリックス・システムズ、2006年度の事業戦略説明会を開催――3本柱の製品で2006年度も20%超の売上増目指す

2006年01月24日 21時07分更新

文● 編集部 内田泰仁

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代表取締役社長の大古俊輔氏

シトリックス・システムズ・ジャパン(株)は24日、都内同社オフィスにて2006年度の事業戦略説明会を開催した。同社は、2005年度はグローバルでで20%超の売り上げ増を果たしたといい、2006年度は、従来製品のサーバーベースコンピューティング基盤“Citrix Access Suite”、2005年に買収し同社ブランドとして販売を開始したアプリケーション配信アプライアンス“Citrix NetScaler”、サービス事業の3つを柱に、引き続き20%超の成長を継続していくとしている。



シトリックスの2005年度の活動のハイライト。左はグローバル、右は日本国内のまとめ

この日の説明会で登壇した代表取締役社長の大古俊輔(おおこ しゅんすけ)氏によると、2005年は、個人情報保護法の施行など、セキュリティーに対する認識が幅広く高まった1年だったと総括。さらに、セキュリティー対策としてサーバーベースコンピューティングという面に加え、管理性の面でのメリットも高く評価されたことから、導入の活発化につながったと分析している。日本法人単独の収益についての個別説明はなかったが、グローバルでの収益は、2005年度通年で対前年度比23%増の9億900万ドル(約1040億円)。大古氏はこの結果から、「今年中には(目標としている)10億ドル企業になれるのではないか」との見通しを示した。同氏はこの発表会の直前に米シトリックス・システムズ 最高経営責任者のマーク・テンプルトン(Mark B. Templeton)氏と電話会議を持ったというが、この中でテンプルトン氏は、ソフトウェア関連で10億ドル企業は全世界に15しかなく、設立17年目で10億ドルを達成するのは米アドビ・システムズ社の記録に並ぶものだと述べたという。

大古氏が今後のビジネス展開に大きな期待を寄せる“最適化”向けの製品“Citrix NetScaler”。ウェブアプリケーション配信の最適化により、大幅なレスポンス向上が図れるという

また大古氏は、今後のソリューション展開の柱を“仮想化”“最適化”“ストリーミング”を要素技術とした「あらゆるアプリケーションを最適な手段でユーザーに配信すること」であるとして、2006年度はセキュリティー市場、企業内部統制関連市場、モバイル市場の3方面を重点分野とした展開を行なっていくと述べた。各分野に対する同社の市場分析と展開は以下のとおり。



セキュリティー市場
2005年度は“セキュリティーに対する認識”が非常に高まった1年。2006年度も引き続きこの流れは強く、需要が本格化する見込み。
企業内部統制関連
“財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準”(いわゆる日本版SOX法)の施行に向け、ITシステム監査などの内部統制の仕組みが強く求められる。「(企業の)セキュリティー対策は、日本版SOX法対策のサブセット」(大古氏)であり、同社では日本版SOXを満たすためのセキュリティー・ソリューションを現在検討中。
モバイル市場
携帯電話の新規市場参入、無線LANの広域サービスなど、モバイル接続環境がこれまで以上に拡大する見込み。「ワイヤレスが普及することで、どこでも情報に対してワイヤードでいたい(=情報と接続されていたい)というニーズが高まっている」(大古氏)ことから、携帯端末向けの“Citrix Presentation Server”用クライアントの提供などを進める。

事業収益の目標について大古氏は、「対前年度(2005年度)比20%以上の売り上げ増を継続」と述べており、目標達成に向けた事業戦略としては、

“Citrix Access Suite”ビジネスの継続的成長
ビジネスポートフォリオの拡大
従来製品の展開に加え、2005年に米本社が買収して同社ブランドの製品に加わった“Citrix NetScaler”を“Citrix Access Suite”に次ぐ第2の柱、サポート/サービスビジネスを第3の柱とし、各国のビジネスニーズに沿った個別の展開(日本の場合は携帯端末など)も考慮した事業の拡大を図る。
柔軟な組織運営
買収/合併した各社を統合しつつ、柔軟に各組織が動ける体制を確保し、ダイナミックな組織運営を行なう。

の3つを挙げた。

写真ではやや分かりにくいが、『W-ZERO3』上で“Citrix Presentation Server”にアクセスし、PowerPointファイルを使用しているところ。サーバーリソースを使ってファイルを開いたり操作したりするため、サーバー/パソコンに比べて非力な携帯端末でも、“重い操作”ができる点がメリットのひとつ

また、この日の説明会の中では、同社が現在開発を進めている(株)ウィルコムの携帯情報端末『W-ZERO3』向けの“Citrix Presentation Server”用クライアントのデモンストレーションが披露された。携帯電話/PHS向けクライアントとしては、2005年11月に発表された『Citrix Presentation Server FOMA M1000クライアント』に続くもので、近日中に正式なリリースを行なう予定だという。同社は2006年度の事業戦略の中で、“各国のビジネスニーズに沿った個別展開”を挙げているが、これらの携帯端末向けクライアントの開発/提供はこの流れの一環。大古氏は、同社は外資系ソフトウェアベンダーではあるが、日本国内の開発部隊により日本国内のユーザーに日本国内のテクノロジーを活用できる製品を提供可能だとして、「ほかの外資系(ソフトウェア)企業とはちょっと違う」とアピールした。

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