アドビ システムズ(株)は7日、東京・日本橋のマンダリン オリエンタル東京にプレス関係者を集め、1月に代表取締役社長に就任したギャレット・イルグ(Garrett J.Ilg)氏の就任披露を兼ねた事業戦略説明会を開催した。イルグ氏は1月10日の“Flash Lite 2.0/Flash Player SDK 7”の説明会でも短かく挨拶したが、正式な発表会に登場するのは今回が初となる。
1月にアドビ システムズ日本法人の代表取締役社長に就任したギャレット・イルグ氏 |
イルグ氏は最初にアドビ システムズとしてのミッション(社会的な役割)やビジョン(事業の方向性)を次のように説明した。
- ミッション
- アドビシステムズは、人とアイデア、人と情報の関わりを変革する
- ビジョン
- ユーザーにアイデアや情報との深い関わりを持てる環境を提案する“エンゲージメントプラットフォーム”を提供する
- 注力する分野
- PDFサーバーソリューションビジネスの強化
リッチコンテンツ市場の拡大(ビデオ、アニメ、ウェブの融合)
モバイル
アドビ システムズが従来から掲げる“エンゲージメントプラットフォーム”を構成する製品群 |
これらはいずれも従来からアドビ システムズが提唱している内容を踏襲したものだが、旧マクロメディアを買収・統合したことにより、ユニバーサルクライアントに“Flash”が、プログラミングモデルに“ActionScript”が、インタラクションサーバーに“Flex/ColdFusion”が、クリエイティブツールや開発ツールに“Macromedia Studio 8”“Flex Builder”がそれぞれ加わり、さらに幅広い分野でリッチアプリケーションの提供が可能になるとしている。
アドビ システムズの最近7年間の業績の推移 |
アドビ システムズ全社での2005年の業績報告については、2005年度第4四半期(9~11月)、2005年度通期ともに二桁成長を達成。売上高は第4四半期で5億1040万ドル(約612億4800万円)、通期で19億6600万ドル(約2359億2000万円)を記録し、通期純利益では34%増の6億280万ドル(約723億3600万円)を記録したと誇らしげに語った。なお、この2005年通期の売上高には、さらにマクロメディアの売上高である約4億3600万ドル(約523億2000万円)が追加計上されるとのこと。
プラットフォーム別の売り上げ比率 | 地域別の売上比率 |
2005年度第4四半期決算
- 売上高(前年同期比)
- 5億1040万ドル(約612億4800万円、19%増)
- 営業利益(同)
- 1億9190万ドル(約230億2800万円、31%増)
- 純利益(前年同期比)
- 1億5630万ドル(約187億5600万円、37%増)
2005年度通期決算
- 売上高(前年比)
- 19億6600万ドル(約2359億2000万円、18%増)
- 営業利益(同)
- 5億9180万ドル(約710億1600万円、23%増)
- 純利益(前年同期比)
- 6億280万ドル(約723億3600万円、34%増)
この好調な業績の理由としては、日本でも昨年発売されたクリエイティブツール群『Adobe Creative Suite 2』やPDF文書作成・管理ソフト『Adobe Acrobat 7.0』など、期間製品の堅調な需要の伸び、『Adobe Photoshop Elements 4.0』などコンシューマー向け製品の好調な売上げ、PDF文書の閲覧権限や期間などを制限・管理する『Adobe LiveCycle Server』などサーバービジネスの成長を挙げた。特にサーバービジネスでは、5万ドル(約600万円)以上の契約案件が全世界で63件に達し、成長市場であると語った。
アドビ システムズが注力する分野のひとつとして、“エンタープライズ&ナレッジワーカー”を例示 |
これらを踏まえて2006年度の業績見通しは、売上高を通期で約27億ドル(約3240億円)、第1四半期では6億3000万~6億6000万ドル(約756億~792億円)を見込んでいる。