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さよならパソコン通信!――NIFTY SERVE終了に伴い、パソコン通信全盛期を知る人々が東京に集結

2006年04月05日 21時39分更新

文● アスキー書籍編集部 安福 聰 /櫻庭 太一

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パソコン通信の“NIFTY SERVE”のサービスが先週末の3月31日23時59分59秒にサービスを終了した。1987年4月に“NIFTY-Serve”としてサービスを開始した NIFTY SERVEは、日本電気(株)の“PC-VAN”とともにパソコン通信の2大ホストとして、1980年代から1990年代にかけて多くのユーザーを獲得したが、インターネットの普及の伴いサービスをウェブベースに移行することを決定。昨年2月にパソコン通信のサービスを終了することを発表し、徐々にサービス内容を縮小していた。同社は今後、ISPサービス“@nifty”の運営に集中する。

NIFTY SERVEの終了に伴い、“パソコン通信が本当に熱かった1990年代”を体験したユーザーによる“大規模オフ会”が東京都新宿区のイベントスペースで3月31日に開催された。大手SNS“mixi”の“さよならパソコン通信”コミュニティーが主催したもので、@niftyの“Webフォーラム”や、“mixi”のコミュニティーで参加者を募り、最終的には100名を超える人々が集まった。

さよならパソコン通信
さよならパソコン通信の会場風景

イベントのゲストには、

  • ニフティ(株)代表取締役社長の古河建純(ふるかわ たつずみ)氏
  • (社)インターネットプロバイダー協会会長で、前ニフティ社長の渡辺武経(わたなべ たけつね)氏
  • 元ニフティ常務の山川隆(やまかわ たかし)氏
  • ニフティ取締役の本名信雄氏(ほんな のぶお)
  • 漫画家のすがやみつる氏
  • 弁護士の紀藤正樹(きとう まさき)氏

などが招かれ、それぞれ一言ずつ“パソコン通信の思い出”を語った。

酌して回る古河氏
集まった会員に酒を注いで回る古河氏

古河氏は「パソコン通信を支えてくれたみなさんのおかげがあって、今の@niftyがあります。みなさんには感謝しています」とコメント。「パソコン通信を運用する機材は、例えればSL機関車のような(古い)ものなのですが、今日までそれをピカピカに磨いて維持し続けたスタッフにも感謝しています。」とした。

巡回ソフト作者のDUDE氏
思い出を語るDUDE氏。NIFTY SERVEだけでなく、アスキーネットなどでも活躍していた

NIFTY SERVE専用の自動巡回ソフト『air craft』(MS-DOS版)と『AirCraft』(Windows版)の作者であるDUDEさん(DOS版はairのみの担当)は
「当時は貧乏学生だったので、何とか課金や電話代を節約して便利になるツールを作りたいと思って(このソフトを)作りました。NIFTY SERVEは当初タイピング入力を想定していたため、(自動巡回ソフトが)システムに負荷をかけすぎると、ご迷惑もかけたようです。しかし、NIFTY SERVEのヘビーユーザーに愛用されるうちに、ユーザーさん方からはコミュニケーションの活性化につながったと評価されるようになって、たくさんの方々に愛されるソフトになり嬉しかったです」
とコメントした。

弁護士の紀藤氏
駆けつけてすぐにコメントする紀藤弁護士

紀藤弁護士は「NIFTYはずっと好きなんですよ。私のホームページのアドレスも、自分のアドレスを取得せずに“homepage.nifty.com”のままですからね」と語る。

フォーラムマネージャーがお世話になった香川氏
NIFTY SERVE の一般会員にはあまりなじみがないかもしれないが、フォーラムマネージャー(フォーラム運営者)は世話になった香川氏

元ニフティ・プロモーション部長の香川氏は「フォーラムのSYSOP(シスオペ)さんを支えるのは自分しかいないと、いろんなフォーラムのオフに足を運びました。パソコン通信は今日で最後だけれども、人と人とのつながりは続いていきます」と熱く語った。

イベント運営の西川氏
当日会場では司会進行に大忙しだった西川氏。これは参加者アンケートを紹介しているところ。

主催者グループ代表で@niftyの“WEB快適活用フォーラム”のマネージャーを務める西川氏は、
「今回は、準備にあまり時間もとれず、ご不満だった方もいらっしゃるかと思います。運営側として反省すべき点は多かったです。けれども、“出席してよかった”と言ってくださる方もたくさんおられました。このオフがみなさんの心の中で記念になれば嬉しいです。」 と語ってくださった。

西川氏は「パソコン通信は終わりますけど、いくつかのフォーラムはWEBフォーラムへ移行してがんばっていますので、ぜひアクセスしてみてください。よろしくお願いします」ともコメントしてくれた。

すがやみつる氏 遠藤諭
ゲームセンターあらしの作者で、ヘビーなパソコン通信ユーザーとしても知られていた漫画家のすがやみつる氏アスキーCOOの遠藤諭も駆けつけて一言コメントした

また、参加者に対するアンケートでは、

  • 携帯のないあの時代に、彼氏と喧嘩してメールのやりとりをするのだけれど、メールを書いては電話線をつなぎに居間へ移動しなければならなかったり、家族が電話していてすぐメールを送れずイライラした
  • 回った壁は135ヵ所だ

というような思い出話も披露された。

必要なパソコンはFM-TOWNS! モデムは14400bpsで、スピードは今の光100Mpbpsの7000分の1程度

イベントの途中では、NIFTY SERVEの紹介ビデオも上映された。これはイントロパック(入会案内)に同梱されていたものを編集したものだそうだ。

悲しみのNIFTY SERVE
「悲しみのNIFTY-Serve」を歌うsyaski氏

イベントの最後には「悲しみのNIFTY-Serve」をみんなで熱唱。この曲は1995~96年の“おふらいんまつり”でライブ演奏され、 NIFTY SERVEの紹介雑誌『Online Today Japan』の創刊号に付録CDとして収録された。作詞・作曲はよをちん氏。

会場では有線/無線のLANも開放されており、NIFTYのパソコン通信サービスに接続し、イベントに出席できなかった人たちと、“RT”(NIFTYでのフォーラム内チャットサービス)を楽しむ姿も見られた。イベントそのものは23時半には終了したが、オンラインで参加した人たちには、回線が切断される翌午前0時過ぎまで繋ぎ続け、終焉を見届けた人も大勢いたようだ。

最後は大合唱
「ありがとう さようなら」で熱気あふれるオフも締めくくられた

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