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NECとマイクロソフト、提携範囲を拡大――Windows Media Centerのデジタル対応なども視野

2006年05月24日 19時16分更新

文● 編集部 小林久

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日本電気(株)(NEC)と米マイクロソフト社は24日、都内で記者会見を開き、戦略的提携の強化を発表した。会見にはNEC代表取締役社長の矢野薫(やのかおる)氏、米マイクロソフト最高経営責任者(CEO)のスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏などが出席した。

会見に臨む両社のトップ
会見に臨むNECの矢野社長(左)とマイクロソフトCEOのバルマー氏(右)

NECとマイクロソフト(MS)は国内のパソコン市場の黎明期から協業を重ねてきた。会見の中でバルマー氏は「NECとMSのパートナーシップは日本のIT産業に大きく寄与してきた」と語った。また、「NECは最も広くコラボレーションができる企業。ネットワークとPCが融合した分野でも新しいイノベーションを進められるだろう。そのためにクロスライセンス契約を結び、エンジニアリングでの協力体制は不可欠だ」と話した。

一方、NECの矢野社長は「マイクロソフトとは1979年からパソコンで、1993年からはサーバー分野で協業し、その成果としてどちらの領域でも国内のトップシェアを維持している」と話した。また、今回の協業の柱のひとつである、テレフォニー分野とパソコンの融合に関しては、「NECはUNIVERGE SV7000で世界シェア7~8%を確保しているが、近いうちに10%の大台に載せていきたい」と抱負を語った。



サーバー分野だけでなく
Windows Media Centerにおける技術協力も推進

今回、提携強化が発表されたのは、下記の5点。

  1. 企業ネットワーク分野での協業
  2. 次世代ハイエンドサーバーにおけるグローバルアライアンス強化
  3. HPC(High Performance Computing)分野での協業
  4. 特許技術の広範囲なクロスライセンス化
  5. 国内における.NET対応製品開発とMedia Centerパソコン向け技術の共同開発

(1)は、NECのIPテレフォニーサーバー『UNIVERGE SV7000 IP』シリーズを、マイクロソフトのミドルウェア製品『Live Communications Server 2005』(以下LCS 2005)と連携できるようにするもの。

UNIVERGEは、SIPサーバーやゲートウェイ、ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどの機能を提供するハードウェア部分と、IP電話や会議ソフト、メール、ポータル機能などを提供するソフトウェア部分からなるが、LCS 2005を介して、マイクロソフトの開発したOfficeアプリケーションや電話、テレビ会議ソフトを利用できるソリューションも追加する。また、UNIVERGEとLCSの次期版に関するロードマップ共有、VoIPや映像配信に関する技術協力なども行なう。

図
UNIVERGEのハードウェアプラットフォーム上で、NECが開発したソフトウェアを利用する現在のモデルから、UNIVERGEとマイクロソフトのソフトウェアが連携するモデルも積極的に推進する。前者は日米市場ですでに普及しているが、後者は主として欧州、アジア太平洋諸国などで受け入れられるのではないかとNECでは見ている

(2)は、NECが米ユニシス(UNISYS)社と共同開発している次世代ハイエンドサーバーと、米ストラタステクノロジー(Stratus Technology)と共同開発しているft(fault tolerance)サーバーに関して、マイクロソフトがOSの機能面から協力するもの。NEC取締役で執行役員専務の小林一彦(こばやし かずひこ)氏は「128スレッドというのは128個のCPUが動くのとほぼ同じ意味。ここまでの規模のマシンでWindowsが動いたことはない」と話す。

(3)は、気象分析など科学技術計算で活用されるHPC分野で、NECの“Global File System”(GFS)とマイクロソフトのHPC用OS“Windows Comute Cluster Server”(WCCS)を結合し、汎用性を維持しながらシステム性能の向上を図っていくというもの。GFSは、NFS(Network File System)のインターフェースを介して、異機種HPCサーバー間と異機種ストレージ間でファイル共有ネットワークファイルシステムの技術。また、サードパーティー製ソフトウェアの共同検証なども行なう。

(4)は、通信とITの融合やマルチメディア技術を迅速に開発していけるように広範なクロスライセンスを結ぶというもので、特許が相互の技術開発の速度に足かせにならないようにすることに主眼が置かれている。

(5)では、NECの業種パッケージにおける.NET対応を進め、第1弾として自治体向けパッケージソフトの.NET対応製品を開発/提供する。また、Media Centerパソコンの開発に際して、国内で必須となる“地上デジタル放送への対応”“テレビの表示品質”“国内の慣例に合った電子番組表(EPG)表示”なども、Windows Vistaに向けて、NECとの技術協力で実現していく。

NEC矢野社長とマイクロソフトCEOのバルマー氏
握手を交わす、NECの矢野薫社長とマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO

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