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【続報】ATI、今後もインテルプラットフォームへの製品供給を継続と表明

2006年07月27日 17時42分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本エイ・エム・ディ(株)(日本AMD)とATIテクノロジーズジャパン(株)は27日、東京・日比谷の帝国ホテルにプレス関係者を集め、日本時間の今月24日に発表された米Advanced Micro Devices社(AMD)とカナダATIテクノロジーズ社(ATI Technologies)の合併発表を受けて、共同記者会見を開催した。

記者会見後のフォトセッション
記者会見後のフォトセッション。左から、米AMDのヘンリー・リチャード氏、日本AMDのディビッド M.ユーゼ氏、ATIテクノロジーズジャパンの森下正敏氏、カナダATIテクノロジーズのリック・ヘグバーグ氏

ジョークも飛び出す軽妙な雰囲気で会見は幕を開けた

当日は近くの東京會舘でインテル(株)が“Core 2 Duoプロセッサー”の発表会(関連記事)を開いていたこともあり、共同記者会見の最初に「あちら(東京會舘)でのランチはいかがでしたか?」とのジョークも飛び出した。

記者会見には米AMDの執行副社長兼ワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者のヘンリー・リチャード(Henri Richard)氏、カナダATIテクノロジーズのワールドワイドセールス上級副社長のリック・ヘグバーグ(Rick Hegberg)氏、日本AMDの代表取締役社長のディビッド M.ユーゼ(David M.Uze)氏、ATIテクノロジーズジャパンの代表取締役社長の森下正敏氏らが出席し、主に記者からの質問に答える形での会見となった。

記者会見の模様
記者会見の模様。リチャード氏とヘグバーグ氏が並んで、今回の合併について説明した

合併の成果は2007年から出てくる!?

最初にリチャード氏とヘグバーグ氏が並んで壇上に立ち、「これまでも互いをいいパートナーとしてやってきたが、これからも最高のパートナーであり続けるだろう」(リチャード氏)、「2人揃って挨拶できることを大変光栄に思っている」(ヘグバーグ氏)と相互に称え合い、AMDがATIを買収するという形にはなったが両社の関係が相思相愛であることをアピールした。

AMDとATIの事業領域を説明した図
AMDとATIの事業領域を説明した図

続いてリチャード氏が両社合併の目的を「“成長”“革新”“選択”の3つの課題をクリアするためのもの」と説明。成長とは、両社のポートフォリオ(築き上げてきた資産)を結集することで、両社が得意とする領域での成長が期待できることを示す。革新とは、1つの組織の中でハイエンドなCPU、GPU、チップセット、メディアプロセッサーのすべてを集約できるのは初めてであり、革新的な試みだとした。選択とは、ユーザー第一主義として、ユーザーに最良の選択を提供し続けること、また同時にこれまで同様すべてのプレーヤーに参加してもらいたいと考えていることを指すという。

新生AMDが今後注力する4つの領域
ATIを加えた新生AMDが2007年から特に注力する4つの領域。左上から時計回りに、一般ユーザー向けパソコン、ゲーム&マルチメディア特化型パソコン、新興市場(携帯電話機やPDAなど)、モバイルパソコン

その上で、2007年から革新的なプラットフォームを提供し、2008年には合併の成果によってシリコンレベルでの革新的な製品が提供できるだろうと将来性に期待を持たせた。

AMDの日本社長は、24日の当日に合併を聞いた

集まった記者からの質問に答えるQ&Aセッションで特に注目される発言は以下の通り。

[――] AMDはATIが行なってきたすべてのビジネス、例えば“FireGL”(グラフィックスワークステーション向けGPU)なども継承するのか?
[リチャード氏] これまでの協議の中で、どれひとつとしてシナジー効果を生み出さないものはないと判断している。すべてが今後の新しいAMDの戦略上でプラスになる。FireGLは、AMDが力を入れているサーバー/ワークステーションの分野に合致する製品と考えられる。
[――] 日本法人の統合スケジュールは?
[リチャード氏] 今回の買収が完了するまでに3~4ヵ月かかる。その間に、日本AMDのユーゼ社長、ATIの森下社長と4人で検討していく。
新型シリコンの概念図
2008年以降に登場予定という、両社の技術を結集した新型シリコンの概念図
[――] 2007年に提供される新しいプラットフォームとは、具体的には?
[リチャード氏] AMDとATIの間ですでに作業が進んでいるもので、ノートパソコン向けに注力したものだ。
[ヘグバーグ氏] 数週間前の“COMPUTEX TAIPEI”でデモしたが、消費電力を低下させてパフォーマンスを上げる方策を打ち出すべく、現在努力を続けている。
[――] 一部にはAMDとATIの合併に否定的な見方もある。ATIの活動がAMDのCPUに縛られることで、売り上げが減少するといったマイナス面はないのか?
[リチャード氏] どこにそういう見方があるのかわからないが、新しい体制の下でも、ATIの製品はインテルプラットフォームに提供していく。それは顧客第一主義、顧客の選択肢を減らさないためだ。今後、台湾でもメーカーと会合を設ける予定だが、おそらく「引き続きインテルプラットフォームをサポートしてくれ」と言われるだろう。その前から、インテルプラットフォームをサポートすることは決めている。インテルがどう思うかは別の話だが。
[ヘグバーグ氏] ATIは従来通りの投資、開発を進めていく。AMDにもインテルにも開発を行なう。そのことに一切変わりはない。
[――] (米とカナダ本社の)トップ同士が1年くらい話し合っていたということだが、そのきっかけは? どちらから持ちかけた話なのか。
[リチャード氏] 1年前のCOMPUTEXでヘグバーグ氏と会う機会があり、酒を飲み交わしながら、両社が密に協力していく必要があるパートナーであることで意気投合した。それがきっかけになり、協議を重ねるなかで今回の合併に至った。きっかけはAMDがATIに申し込んだものだ。
[――] 日本のトップが買収の件を聞いたのはいつのことか?
[ユーゼ氏] AMDとしてここ2年ほど、技術パートナーを得たいという構想を持っていることは知っていたし、その間に複数の企業名が挙がったのも知っている。しかし、きちんとした形で聞いたのは今週月曜(報道発表の当日)です(笑)。
[森下氏] 私が聞いたのは2、3週間前ですから、ユーゼ社長より早いですね(笑)。最初に聞いたときには、「噂が本当になった。やはり火のないところには煙が立たないものだ」と思った。しかし、数日経って、これは世界の大きな流れを作る、やりがいのある仕事になるだろうと考えており、社員一同もモチベーションが上がってきている。将来を楽しみにしている。ぜひ期待していてほしい。
[――] ATIのブランドはどうなるのか?
[リチャード氏] ATIはその持てる力、ポートフォリオ、技術などでトップブランドになっている。この優れた財産は生かしていきたい。新生AMDの中でも、プラスになると考えれば積極的にこのブランドを使っていく。
[――] 今回の合併でロードマップの変更があるのか?
[リチャード氏] 変更はない。顧客からの要望があり、エンジニアもそれに対応できるようなら、変更される可能性もあるが、少なくとも合併が理由でロードマップが変わるようなことはない。
[ヘグバーグ氏] 従来通りのビジネス、投資や開発を継続していく。発表以後、すでにパートナー企業とも(その点について)話し合いを持っている。


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