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アッカ、新規事業立ち上げに遅れ、減収減益

2006年08月10日 22時14分更新

文● 編集部 西村賢

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個人向けブロードバンド市場で飽和から縮小へ転じるADSLサービス。今後予想される事業規模縮小を見越して、FTTHやM2M(Machine-to-Machine)といった新規事業に比重を移そうと、アッカが苦戦している。

通期予想を大幅修正

(株)アッカ・ネットワークスは10日、2006年中間期の決算を発表し、説明会を開催した。発表によると、2006年上半期の売上高は約198億、経常利益は約10億5000万円で、それぞれ前年同期比で2.8ポイント減、9.3ポイント減となった。

また、最終的な利益を知る目安とも言える中間純利益については、前年同期比85ポイントの大幅減少となる約2億3000万円。当初予想の10億円と比較しても、大幅な開きがあり、会見に臨んだ坂田好男 代表取締役社長は、「投資家の方に申し訳なく思っている」と話し、現在同社が取り組んでいる新事業の見通しや現状を説明した。

坂田好男氏
坂田好男(さかたよしお)代表取締役社長
売上高推移グラフ
2006年通期では約30億円の下方修正を行なった

縮小しはじめたADSL市場

上半期の業績を反映して、通期の売上高予想は420億円から390億円に修正された。修正した30億円のうち、11億円がADSL加入者減やFTTHサービス展開の遅れによるもので、18億円ぶんはソリューション事業の立ち上がりの遅れだと、同社は説明する。

同社の個人向け接続サービスの加入数は、昨年秋ごろに約126万加入で頭打ちとなり、昨年末からは加入者数推移は純減に転じている。2006年の第1四半期には3万6000減、第2四半期には4万6000減と、ADSL離れに拍車がかかっている。

加入者数は、すでに純減に転じている

公表されている加入者数は、ADSLサービスだけでなく、同社FTTHサービスの“ACCA光”加入者も含む。ただし、ACCA光の契約者数は数百レベルという段階。市場全体でFTTH加入者が急増するなか、大幅に出遅れている。

FTTH拡販のために、2つの施策を実行する。1つは営業強化。営業を外部委託化し、マンション訪問販売を強化していく。もう1つは、現在TikiTikiインターネットとOCNの2ブランドのみとなっているサービス提供だが、新規ISP獲得を目指すという。

ADSL事業では、純減抑制策として低速の新サービス投入などを検討する。一部のブロードバンドユーザーが、より高速なFTTHへと移行する一方、8MbpsのADSLなど比較的低速な回線で低価格のものを求める声も強いという。

M2M事業を事業の柱の1つに

ADSL事業のてこ入れ策としては、地方のDLS事業者から回線を事業ごと買い受けるといった対策や、ダイヤルアップユーザーへのアプローチ強化といったことも数え上げられているが、どれも本質的な打開策というより、弥縫策といった印象は否めない。

それに対して、今後大きく成長が見込まれる市場として同社が注力するのが“M2M”(Machine-to-Machine)市場だ。エンドユーザーに接続サービスを提供するのではなく、システムとシステムを低価格に接続するサービスだ。すでに同社では駐車場の監視、電力管理、券売機といったシステムを遠隔地と接続するためにADSL回線を提供しているという。「コンシューマー向けとしてADSL回線の契約数が減ったとしても、M2Mで契約数が増えているという状態にしたい」(前出坂田氏)。

FTTH同様に、M2Mでも同社の課題は営業力強化だ。これまで直接営業で個別にソリューションを提案してきたが、限られた社内リソースでは展開スピードに限界がある。今後は通信業界にとどまらず多様なパートナーと協力して間接営業の比率を上げる。ウィルコム、大塚商会など、すでに4社と提携しており、今後も提携先を増やしていくという。社内の営業部隊も13人から22人に増員するなど、昨年来、体制作りも進んでいる。

2000年の会社設立以来、ブロードバンドブームの波に乗り急成長。2005年にはJASDAQ上場も果たしたアッカだが、急激な市場環境の変化に対応して自己変革していけるのか、今後が注目される。なお、8日にイー・アクセス(株)がアッカの発行済み株式の10.3%を取得し、第2位の主要株主になったと発表したが、「買収や協業といった話は現在のところはない」(前出坂田氏)としている。

プレゼン資料
M2M事業を加えた3本柱を事業基盤とするという

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