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DDIとIDO、KDDが合併に合意、2000年10月に新会社『ディーディーアイ』が誕生――次世代携帯電話でNTTに対抗

1999年12月16日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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新電電最大手の第二電電(株)(DDI)と国際通信最大手のケイディディ(株)(KDD)、携帯電話会社の日本移動通信(株)(IDO)の3社は16日、2000年10月1日をもって合併するとの最終合意に達し、同日、覚書に調印、都内で記者発表を行なった。合併後の存続会社はDDIで、社名は“株式会社ディーディーアイ”、ロゴは“KDDI”とする。新会社の連結売上は2兆円を超え、国際から国内長距離、携帯電話とPHSの移動体まで通信全般を持つことになり、日本電信電話(株)(NTT)に次ぐ国内第2位の通信会社となる。

合併に合意した3社と株主企業の首脳。左から京セラ社長の西口泰夫氏、同名誉会長の稲盛和夫氏、KDD社長の西本正氏、DDI社長の奥山雄材氏、IDO社長の中川哲氏、トヨタ自動車会長の奥田碩氏、同社長の張富士夫氏
合併に合意した3社と株主企業の首脳。左から京セラ社長の西口泰夫氏、同名誉会長の稲盛和夫氏、KDD社長の西本正氏、DDI社長の奥山雄材氏、IDO社長の中川哲氏、トヨタ自動車会長の奥田碩氏、同社長の張富士夫氏



発表によると、新会社の社長にはDDI社長の奥山雄材氏が就任する。名誉会長としてDDI名誉会長の稲森和夫氏(京セラ(株)名誉会長と、トヨタ自動車(株)名誉会長の豊田章一郎氏が就任する予定だが、その他の役員人事については未定という。本社は同社の所在地である東京都千代田区とし、第一種電気通信事業を行なう。

株式割当は、DDIの1株(額面5000円)に対し、KDD株92.1株(額面500円)、IDO株2.9株(額面5万円)を割り当てる。この結果、合併後の持ち株比率はDDIの筆頭株主である京セラが15.8パーセントと1位になり、IDO株の6割を所有するトヨタ自動車が10.3パーセントで2位となる。だが合併前にトヨタを引受先としてDDIが第三者割当増資を実施する予定で、この結果、京セラとトヨタの比率は2パーセント程度の差になるという。

今後のスケジュールは、2000年3月に合併契約書を承認する取締役会を開き、同年4月1日に合併契約書に調印。同年6月に株主総会で契約書の承認を得て、10月1日に正式に合併する。

DDIは'83年に通信事業の自由化で京セラやソニー(株)らの出資で誕生し、国内長距離や携帯電話とPHSの移動体を持つ新電電の最大手。関東と東海地区を営業基盤とするIDOは、携帯電話では関西方面で展開するDDIと“cdmaOne”ブランドで提携、同ブランドは両社合計で加入者320万人を超えるヒットとなった。KDDは国際通信最大手だが、今年7月にエヌ・ティ・ティコミュニケーションズ(株)(NTTコム)が参入して料金競争が激化した上、確実な成長が見込まれる移動体通信網を持たないため、経営体質の弱さを指摘されていた。

3社合併の直接のきっかけは、2001年に商用化が始まる第3世代移動体通信・IMT-2000への対応だ。IMT-2000では、エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)グループ(NTTドコモ)と、英ブリティッシュテレコム社(BT)と資本提携した日本テレコム(株)の2グループが具体的な計画を発表して先行。来年3月に迫る免許申請を目前にし、3社と京セラ、トヨタは、次世代通信分野で生き残り、NTTに対抗しうる経営基盤構築のためには3社の合併が必要と判断、年内の合意にこぎ着けた。

都内のホテルで開かれた記者発表会では、3社の社長と京セラ、トヨタのトップが顔をそろえた。

左からKDD社長の西本正氏、DDI社長の奥山雄材氏、IDO社長の中川哲氏
左からKDD社長の西本正氏、DDI社長の奥山雄材氏、IDO社長の中川哲氏



新会社の社長に就任するDDI社長の奥山雄材氏は、「通信自由化から15年が経過し、通信事業は音声からデータへ、固定から移動体へ、さらに次世代携帯電話へと変貌を遂げ、国際競争も激化している。NTTの市場支配力が強化されていくのを目の当たりにし、対抗勢力が必要だと痛感した」と述べ、市場活性化のためにもNTT独占を崩す必要があると強調。その上で「この激動の中、単独ではニーズに応えられない。3社と株主が蓄積した経営資源を結集し、一体化した新しい体制を作ることで一致した」と語った。

KDD社長の西本正氏は、「移動体通信とIP技術が情報通信の大きな流れ。DDIとIDOの事業領域は、KDDと補完性が極めて高く、KDDの光ファイバーインフラやブランド力を結集できれば、移動体から国際までシームレスな事業インフラの構築が1社で実現できる」と述べた。

IDO社長の中川哲氏は、「DDIとパートナーシップを結んで展開してきたcdmaOneを全国共通のサービスに育て上げたい。また移動体通信分野での技術や営業、アフターサービスまで、これまでに培った実績を活かし、新会社に貢献していく」と合併後の目標を語った。

左から京セラ社長の西口泰夫氏、同名誉会長の稲盛和夫氏
左から京セラ社長の西口泰夫氏、同名誉会長の稲盛和夫氏



DDI創業者で同社名誉会長を務める京セラ名誉会長の稲盛和夫氏は、「DDI創業以来、通信事業の発展を願って経営に力を注いできただけに、今回の合意は感無量だ。トヨタと何度も話し合った結果、NTTの支配を阻止して市場を活性化しないと利用者の利益にならない、との意識が一致した。新会社を引き続きバックアップしていきたい」と語り、合併合意でほっとした様子だった。

トヨタ自動車会長の奥田碩氏、同社長の張富士夫氏
トヨタ自動車会長の奥田碩氏、同社長の張富士夫氏



トヨタ自動車会長の奥田碩氏は、「情報通信は成長産業。トヨタの本業である自動車と、ITSなどを結んだネットワークで相乗効果も期待できる。国際から移動体まで、全分野を全国規模でシームレスに展開する会社は、トヨタの情報事業にとっても利益をもたらすだろう」と述べ、トヨタとしても合併を歓迎していることを強調した。

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