プラネックスコミュニケーションズ(株)は9日、東京・中央区の本社で記者説明会を開催した。同社は11日にJASDAQ(ジャスダック)市場に株式上場を予定(※1)しており、これに関連して今後の製品計画や営業展開について、報道関係者に説明した。
※1 新規発行1700株、売り出し300株の計2000株。1株あたりの公募増資価格は55万円。経営企画室室長の多田荘一郎氏 |
まず経営企画室室長の多田荘一郎氏が挨拶した。多田氏は「現在ネットワーク市場は、急速なIT市場の冷え込みから、在庫調整がうまくいっていない分野だと言われている。しかし、プラネックスは以前から需要をきちんと見極め、在庫を少なくすることを心がけてきた。シスコシステムズは年間の商品回転率はおよそ7回転ということだが、プラネックスは14回転しており、在庫調整は非常にうまくいっている」と、市場鈍化に際しても不良在庫を抱えていないと述べた。また、今回の上場で得られた資金は、「新製品の開発に加えて、サポートやメンテナンスといったサービスの充実のために使いたい」としている。
取締役マーケティング部長の山岡正子氏 |
続いて取締役マーケティング部長の山岡正子氏が、今後の市場/製品戦略について説明した。山岡氏は「プラネックスは6年前にパソコンショップから始めた。ユーザーによって押し上げられたメーカーだと考えている。最近はネットワーク機器メーカーも増え、価格的なアドバンテージは少なくなったが、価格破壊を目指してきたわけではなく、適正な価格で提供してきた結果だ」と述べた。
そして今後の展開について「企業向けでは(プラネックスも)レイヤー3スイッチを扱っていることをもっとアピールする。コンシューマー向けでは、昨年末からブロードバンドルーターの売り上げが増加しており、主力製品と言っていいほどに成長した」として、スループットの高速化(8.5Mbps)を図った『BRL-04F』(1月発表)に続いて、店頭価格で1万5000円程度の低価格を狙った『BRL-04A』を7月末、ファイアーウォール機能を内蔵した『BRL-04FW』を8月に投入する。この3機種が秋までの主力製品で、さらに、無線LAN対応のブロードバンドルーターを秋以降に投入するという。
また、サービス関連では「企業ネットワーク向けなどの高性能製品を投入することに伴って、トラブル時の問題解決が重要となってきた。開発部門内にフィールドサポート部隊を設置したが、今後当社の製品は安心して使えるというイメージを作っていきたい」として、サポートに力を入れる姿勢をアピールした。
取締役開発部長の勝倉幹根氏 |
さらに取締役開発部長の勝倉幹根氏が、新製品と今後の開発方向性について説明した。それによると、インテリジェントスイッチ製品では、1000BASE-SX対応拡張スロットを備えたレベル3スイッチ『FML-24X』を8月に投入予定。同クラスの他社製品と比べて19万8000円と価格を抑えたという。バックボーンネットワーク向けのレベル3スイッチシャーシ『FML-1200』を第3四半期の後半、ネットワーク帯域制御装置『WS-2000』を年内に投入するとしている。
プラネックスのインテリジェントスイッチ製品ラインアップ |
Gbit Ethernet製品関連では、「今年後半には、かつて100BASE-TXで起きたような価格破壊が起こる」と述べた。現在1万9800円のGbit Ethernetカードをラインアップしているが、新しい製品を“かなり安い価格”で提供予定という。8ポートのGbitスイッチ製品も年末までの主力製品として投入するとしている。ブロードバンドルーター関連では、4ポートと無線LANに対応したワイヤレスルーターに、ADSLモデムを内蔵した製品や、USB接続のADSLルーターを年内に予定しているという。
エントリー向けに投入予定のGbit Ethernet製品 |
ブロードバンドルーター『bRoad Lanner』シリーズで予定する統合化製品 |
プラネックスは、ホームユーザーから企業ユーザー向けまでの製品群を揃えているが、年末にかけてさらに多数の高機能製品を投入する計画。ブランドとして浸透したコンシューマー市場に続いて、一層充実させるというサポート体制によって、企業の基幹ネットワーク向けでもシェアを伸ばす考えだ。
ブロードバンドルーターのロードマップ |
『出遅れた』(山岡氏)という無線LAN製品では、コンパクトフラッシュ型とUSB接続型を予定している |