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WISと東急、鉄道敷光ファイバーを利用して無線接続サービスを1980円で提供

2001年09月28日 14時15分更新

文● 編集部 田口敏之

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ワイヤレスインターネットサービス(株)(以下WIS)は27日、都内で記者会見を開き、東京急行電鉄(株)(以下東急電鉄)との業務提携による、2Mbpsの高速無線ブロードバンド接続サービス“WIS-net powered by 246-net”の提供を、11月1日に開始すると発表した。

左からWIS代表取締役社長の大石智一氏、東急行電鉄メディア事業開発部部長の野本弘文氏、WISの親会社で無線ブロードバンド接続サービスの機器を製造している(株)コーラスの代表取締役社長の山田英二氏
左からWIS代表取締役社長の大石智一氏、東急行電鉄メディア事業開発部部長の野本弘文氏、WISの親会社で無線ブロードバンド接続サービスの機器を製造している(株)コーラスの代表取締役社長の山田英二氏

サービス料金は月額1980円、機器使用料770円で合計2750円。この価格は、WISによると「他社と比較しても、業界最低価格」であるという。仮申し込みは、10月1日からWISのウェブサイトで受付を開始する。

“WIS-net powered by 246-net”のロゴ
“WIS-net powered by 246-net”のロゴ

同サービスは、東急電鉄の保有する鉄道敷光ファイバーをバックボーンに、駅および駅周辺の建物等に回線を中継する無線ブリッジを設置して、無線インターネットサービスを提供するというもの。無線通信に必要な共用部の機器および、その設置費用は無料となっていて、マンションのオーナーや管理組合は、設備投資をしなくてもブロードバンド接続サービスを導入できるという。業務提携の内訳は、WISがユーザーの募集と、基地局からの周辺地域に対して高速無線接続サービスを提供し、インターネットサービスプロバイダー“246-net”(※1)を運営している東急電鉄が、インターネット接続サービスを行なう。

※1 “246-net”は、イッツ・コミュニケーションズ(株)(旧(株)東急ケーブルテレビジョンから8月1日付けで社名変更)のCATVインターネットサービスとは別のISP。

マンションやビルの屋上などに設置する基地局(親機)のアンテナ
マンションやビルの屋上などに設置する基地局のアンテナ

各基地局のカバーできるエリアの範囲は半径約800mで、ブリッジ接続によってサービス提供エリアの範囲を拡張してゆくこともできる。1つの基地局がサービスを提供可能なユーザー数は512ユーザーとなっている。サービス開始時の提供エリアは、東急田園都市線と東急東横線の沿線の、神奈川県の横浜市都筑区、港北区、緑区、川崎市高津区、宮前区、中原区、青葉区。さらに、需要の見込まれる地域には順次展開してゆく予定だという。

マンションなどの受信側が設置する子機のアンテナ
受信側が設置する子機
子機のアンテナ(左)と子機(右)
子機のアンテナ(左)と子機(右)

また、申し込み者にサービスが提供可能かどうか、WISと日本コンピュータグラフィック(株)が共同開発した、3次元戦略エリア地図システム“3D-Strategic Area Mapping System(3D-SAMS)”によって、自動的に、かつ短時間で行なうことができるという。

“3D-SAMS”のロゴ
“3D-SAMS”のロゴ

WIS代表取締役社長の大石智一氏は「東急鉄道が保有する鉄道敷光ファイバーを活用することによって、インターネットトラフィックの安定性と効率性を確保できるだけでなく、駅および駅周辺建物をエリア展開拠点にできる」と、今回の業務提携によって得られるメリットについて述べた。また氏は「申し込んでから、そもそもサービスが利用できるのかどうかを確認するためだけに待たされるのは、私がユーザーでも我慢できないと思う。“3D-SAMS”によって、申し込みから48時間以内に、サービスが利用可能かどうかを確認し、ユーザーに提できることを目指して開発した」と、ユーザーのニーズに応え、他社とのサービス競争力を強化していることを強調した。

大石氏
大石氏

WISはサービス開始後、基地局を早急に増設し、10万人の加入者の獲得を目指すとしている。

また今後のサービスの展開としては、現状の2Mbpsから、11Mbpsに回線を増強した高速無線ブロードバンドサービスを提供する予定で、11月1日からモニター実験を開始するという。11Mbpsのサービスの月額料金は、3000円台を想定しているという。

また、駅のホームや会社、学校、喫茶店などに同サービスの子機を設置し“ホットスポット”として、家の外に出てもパソコンの設定を変更することなく、シームレスにインターネットに接続できるという“セミモバイル構想”を発表した。「これまで都内で実験を半年間行なってきて、市場の反応や何が問題なのか、どうすれば実現できるのか試行錯誤を繰り返しながら検証してきた」と大石氏は述べ、近々具体的なサービスについて発表する予定であるということを明らかにした。

さらに、この高速無線ブロードバンド接続環境を生かしたサービスとして、WISはインターネット音声通話(VoIP)を視野に入れているという。今後こういったサービスを提供してゆくために、ほかの鉄道会社や、バックボーン回線を提供する企業との提携も考えているという。

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