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【2002 CESレポートVol.7】ホームサーバー/ホームネットワークの時代は無線LANとともに?


2002年1月16日

7日(米国時間)に“2002 International CES”の基調講演で米マイクロソフト社のビル・ゲイツ(Bill Gates)会長兼チーフソフトウェアアーキテクト(CSA)は、パソコンをプラットフォームとした家庭内ネットワーク構築というコンセプトのもと、Windows XPパソコンをホームサーバー化する技術、“Freestyle(フリースタイル)”と“Mira(ミラ)”を発表したことは既に報じた通り。本稿ではマイクロソフトブースでの展示の様子や、展示会場で見かけたホームサーバーやネットワーク製品を取り上げる。

鮮明になってきたWindows XPとWindows CE.NETの役割

ゲイツ氏は昨年の“2001 International CES”基調講演で、これからは家庭のパソコンが、インターネットへのゲートウェイや家庭のデジタル機器の情報管理を受け持つとして、Windows XP(当時はWhistlerというコードネームで呼ばれていた)が動作するパソコン(ホームサーバー)を使い、それと無線/有線ネットワークで結ばれたさまざまなデジタル機器でインターネットへの接続や、画像/音楽ファイルの共有、情報管理を行なうというデモを行なった。

ゲイツ会長に、Miraのデモンストレーションを見せるビジネスマネージメント、シニアディレクターのスティーブ・グッゲンハイマー(Steve Guggenheimer)氏
ゲイツ会長に、Miraのデモンストレーションを見せるビジネスマネージメント、シニアディレクターのスティーブ・グッゲンハイマー(Steve Guggenheimer)氏(7日のゲイツ氏の基調講演で)

昨年の基調講演を振り返ってみると、今回の基調講演と本質的には同じものを見せていたことが分かる。細かく見ていくと、昨年はWindows XP(Whistler)の安定性や、1つのパソコンを家族で利用する場合のログインの容易さ(アイコンをクリックするだけ)をアピールし、Windows XP(ベースのOS)が動く“タブレットPC”でホームサーバーにアクセスしていたのに対し、今年はホームサーバーのユーザーインターフェースを、Freestyleによって(キーボードなしで)リモコンでも操作できるよう簡素化し、Windows CE.NETで動作し無線LANでホームサーバーと接続するディスプレーデバイスMiraという組み合わせに変わった点が異なっている。

マイクロソフトブースでFreestyleのデモを行なっていたeHomeコーナー
マイクロソフトブースでFreestyleのデモを行なっていたeHomeコーナー
韓国のサムスン電子社ブースでは、eHomeのホームサーバーのデモを行なっていた。ただし、右の四角いサーバーはどうやらダミーらしい
韓国のサムスン電子社ブースでは、eHomeのホームサーバーのデモを行なっていた。ただし、右の四角いサーバーはどうやらダミーらしい
マイクロソフトと、ホームサーバーの開発で協力している米ヒューレット・パッカード社、韓国サムスン電子、日本電気(株)によるサーバーのモックアップ(HPはコンセプトデザイン画)
マイクロソフトと、ホームサーバーの開発で協力している米ヒューレット・パッカード社、韓国サムスン電子、日本電気(株)によるサーバーのモックアップ(HPはコンセプトデザイン画)

ゲイツ氏の基調講演でも、ブースにおいても、サーバーはWindows XP(+ Freestyle)、それにアクセスしてさまざまなサービスを利用するスマートフォン、テレビ機能付きワイヤレスディスプレー(Mira)、セットトップボックスにはWindows CE.NETが動いており、サービスを提供するのがWindows XP、サービスを受けるのはWindows CE.NETというOSの使い分けが明確になってきたように感じた。するとタブレットPCは? というかたもおられるだろうが、これまでマイクロソフトが見せてきたタブレットPCのデモでは、Excelを動かしてみたり、データベースにアクセスしたりと、ビジネスのための新しいモバイルパソコンのスタイルという位置づけであり、家庭向けのMiraとは別ということだろう。ハードウェアの仕様としてもタブレットPCのほうが高性能と考えられるので、家庭向けに価格を抑えるという点からもMiraが必要となったのかもしれない。

ゲイツ氏の基調講演で披露されたMiraの画面。一見、ただのWindows XPとしか見えない
ゲイツ氏の基調講演で披露されたMiraの画面。一見、ただのWindows XPとしか見えない
マイクロソフトがブースで展示していた、台湾ビューソニック社のMira端末
マイクロソフトがブースで展示していた、台湾ビューソニック社のMira端末

ホームサーバーの課題はインターフェース

ゲイツ氏の基調講演で行なわれたデモの1つに、Windows CE.NET搭載のPocket PCでインターネット上のTV番組表にアクセスし、フットボールの中継番組の録画予約をHDDビデオレコーダー内蔵のセットトップボックスに転送して設定する、というものがあった。このデモで強調されたのは、“操作の簡単さ”だった。また、マイクロソフトブースでも行なっていたFreestyleのデモにおいても、“パソコンを操作するより簡単な”操作をアピールしていた。

ゲイツ氏の基調講演におけるFreestyleのデモ。2001 International CESでのレスラー“The Rock”氏との思い出を電子アルバムにというところ
ゲイツ氏の基調講演におけるFreestyleのデモ。2001 International CESでのレスラー“The Rock”氏との思い出を電子アルバムにというところ

パソコンが家庭に広く普及した米国であっても、リビングルームでくつろいでいる時にはマウスやキーボードではなく、TVのリモコンのように片手で簡単に扱えることが重要ということなのだと感じた。Windows 95発表以来、いくつかの例外を除き、スタートメニュー中心のWindowsのインターフェースを普及させようとしてきたマイクロソフトであったが、ここにきて考えを改めたということだろうか。

米パイオニアエレクトロニクス社が発表した、V NET SERVERへのアクセス画面
米パイオニアエレクトロニクス社が発表した、V NET SERVERへのアクセス画面
こちらは米コンパックコンピュータ社のブースで見つけた、ホームエンタテインメントサーバー。よく見るとパイオニアのものとまったく同じインターフェースであることが分かる。コンパック広報によると、これはあくまでもテクノロジーのデモであって、商品化の予定はないとのことであった
こちらは米コンパックコンピュータ社のブースで見つけた、ホームエンタテインメントサーバー。よく見るとパイオニアのものとまったく同じインターフェースであることが分かる。コンパック広報によると、これはあくまでもテクノロジーのデモであって、商品化の予定はないとのことであった

なお、こうした“リモコンで扱えるような簡単さ”という考え方は、マイクロソフトだけのものではない。家庭向けエンタテインメントネットワークサーバー『AV NET SERVER/CLIENT』を発表したパイオニアも、同様にリモコンだけで操作できるインターフェース(※1)を採用している。リモコン操作のユーザーインターフェースはTVやビデオなどで培われたものであり、マイクロソフトよりも実は日本の家電メーカーのほうが研究が進んでいるのかもしれない。ホームサーバーの持つ複雑な機能を、いかにユーザーが使いやすいインターフェースで提供するかというフロントエンドの部分が重要だろう。

※1 AV NET SERVER/CLIENTは、米Mediabolics社が開発したユーザーインターフェースを使用している。

これもFreestyleのデモ。メニューから“TV Home”を選ぶと、左側にプレビューを表示する
これもFreestyleのデモ。メニューから“TV Home”を選ぶと、左側にプレビューを表示する
画像がぶれているのでちょっと分かりづらいが、映画を見ていたらWindows Messengerが、電話がかかってきたことを知らせているところ
画像がぶれているのでちょっと分かりづらいが、映画を見ていたらWindows Messengerが、電話がかかってきたことを知らせているところ
Mira端末でビデオチャット(TV電話)しているところ
Mira端末でビデオチャット(TV電話)しているところ

家庭内ネットワークの主役はIEEE 802.11aか?

過去のCESでは、AV用のネットワーク規格としてIEEE 1394(Firewire/i.Link)や、電話線を使った“HomePNA(Phoneline Network Alliance)”、電灯線を使った電灯線ネットワークなどが見られた。今回もそれは変わらなかったが、いずれもごく限られた展示にとどまった。家電用に特化して開発されたIEEE 1394によるネットワークは別にしても、IPベースでの通信を行なうそのほかのネットワーク規格は勢いを失っていた。

これは無線LANではないが、マイクロソフトが開発中のスマートフォン用OS“Stinger”の画面
これは無線LANではないが、マイクロソフトが開発中のスマートフォン用OS“Stinger”の画面
韓国サムスン電子が展示していた、800×480ドットというワイドカラー液晶ディスプレーを備えた、Windows CE端末『NEXiO(ネクシオ)』
韓国サムスン電子が展示していた、800×480ドットというワイドカラー液晶ディスプレーを備えた、Windows CE端末『NEXiO(ネクシオ)』。ゲイツ氏の基調講演にも登場した。左上の長方形の箱は無線LANアダプター

CESは家電関連のトレードショーであり、ネットワーク製品そのものの展示は少ないが、さまざなデジタルデバイスがコンパクトフラッシュアダプターやPCカードアダプターの形で装着していたのがIEEE 802.11bだった。プレスルームはもちろん、WECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance )が主催したWi-Fiパビリオンなど会場のあちこちで無線LANネットワーク環境が用意される“HotSpotサービス”が提供されていた。

携帯電話と見間違いそうだが、こちらは、韓国Impactra社の携帯Windows Mediaプレーヤー。これもゲイツ氏の基調講演で紹介されていた
携帯電話と見間違いそうだが、こちらは、韓国Impactra社の携帯Windows Mediaプレーヤー。これもゲイツ氏の基調講演で紹介されていた

この人気は、家庭内でもPocket PCのような小型のモバイル端末が使われるようになり、“ワイヤレス”の価値が上がったことや、普及によって製品の価格が下がったことによるものと考えられる。ネットワークの速度についても56Mbpsと速いIEEE 802.11a対応の製品もいくつか登場している。無線通信ということであれば、Bluetoothもあるがこちらは1つの部屋の中や車の中での通信というような、IEEE 802.11系との使い分けが行なわれていた。ホームサーバーと端末を繋ぐネットワークの主力はIEEE 802.11bあるいはIEEE 802.11aということになりそうだ。

米リンクシス・グループ社のIEEE 802.11a無線LANアクセスポイント内蔵ルーター
米リンクシス・グループ社のIEEE 802.11a無線LANアクセスポイント内蔵ルーター。このほかIEEE 802.11b無線LAN機能を内蔵したものや、22Mbpsと高速版のIEEE 802.11f無線LAN機能を内蔵したものもあった

(編集部 佐々木千之)


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