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フリービット、ISP51社と共同でIPv6実証実験を開始──全国のインターネットユーザー中80%の参加が目標


2003年3月6日

フリービット(株)(※1)は5日、IPv4/IPv6トンネリング技術などをベースに、専用のクライアントソフトおよびサーバーソフトを利用して容易にIPv6接続環境を構築できるという技術“Feel6 Technology”を公開、同技術を活用したIPv6実証実験“Feel6 Farm”を開始すると同時に、都内で記者説明会を行なった。

※1 (株)フリービット・ドットコムは、昨年12月1日付けで社名をフリービット(株)に変更している。

今回発表されたFeel6 Technologyは、IPv4/IPv6トンネリング技術と“DTCP(Dynamic Tunnel Configuration Protocol)”(※2)を組み合わせ、ISP(Internet Service Provider)が持つ既存の設備を利用して、ユーザーにIPv6接続環境を提供するというもの。IPv6パケットをIPv4パケットにカプセリングするクライアントソフト『Feel6 Client』と、IPv4カプセリングされたIPv6パケットをIPv6ネットワークに送り出すサーバー『Feel6 Server』を利用してサービスを提供する。

※2 DTCP IPv4 TCPを利用したプロトコルで、クライアントからの接続要求により、サーバー側はクライアントのIPv4アドレスに対して動的にトンネルを設定するもの。ダイアルアップ接続など、クライアントのIPアドレスが固定されていない場合でもIPv4/IPv6トンネリングが可能になる。クライアントの認証にはAPOPに準じた方式を使用する。

Feel6 Clientは、ウェブブラウザー/メーラー/ネットワーク設定ツールなどを統合したクライアントアプリケーション『BitBasket6』に組み込まれて提供される。BitBasket6は現在のところWindows XPのみに対応しているが、Mac OS X対応版も開発が行なわれている。いずれもFeel6 Farmのポータルサイトから無料でダウンロードし、利用できる。

BitBasket6
Feel6 Technology対応のクライアントアプリケーション『BitBasket6』。IEベースのレンダリングエンジンを採用したウェブブラウザやメーラー、ping6やtraceroute6といったコマンドを実行するための簡易シェルなどが提供される

Feel6 Farmは、Feel6 Technologyを利用したIPv6実証実験の名称で、フリービットが主催しFeel6 ServerやBitBasket6を提供する。実験にはWIDE Projectが技術支援を行なうほか、ソニー(株)、(株)日立製作所、ヤマハ(株)が接続機器を開発する。現在のところFeel6 Technologyに対応予定のネットワーク機器は、ヤマハのブロードバンドルーター『RTA55i』と、日立のルーター『GR2000-4S/BH/2B』。それぞれファームウェアのアップデートで対応する予定だ。実験期間は3月5日から7月31日まで。参加費用は無料。参加者は専用のプレポータルサイトからBitBasket6をダウンロードしてインストールしておく必要がある。参加にはグローバルIPアドレスが必要。なお、3月6日時点で、Feel6 Farmへの参加が表明されているISPは54社で、今後さらに追加される予定。

Feel6 Technology接続イメージ
Feel6 Technologyによる接続のイメージ。Feel6 ClientとFeel6 Serverの途中経路では、IPv6パケットはカプセリングされて送られる
対応ISP一覧
対応ISP一覧。記者発表会が行なわれた時点では51社が対応すると発表された。6日の時点でFeel6 Farmのウェブサイトに掲載されている情報によると、対応ISPは54社となっている

Feel6 Farmでは、IPv6のメリットを体験できるコンテンツとして、プッシュ配信のニュースや、逗子・葉山コミュニティ放送(株)の“湘南ビーチFM”による番組の配信などが行なわれている。今回の実証実験を通じて蓄積された運用ノウハウは、フリービットと各ISP事業者で共有され、サーバ技術を中心に導入を推進するという。トランザクション処理などの技術についてはフリービットが今後のビジネスに活用するとしている。

「IPv6を“感じる”ことが目的」─フリービット代表取締役社長 石田宏樹氏

4日に行なわれた記者説明会では、最初にフリービット代表取締役副社長の田中伸明氏が同社の概要を説明した。

フリービット代表取締役副社長の田中伸明氏
フリービット(株) 代表取締役副社長の田中伸明氏

田中氏は同社の事業について「通信事業者、非通信事業者に、ハードウェアやネットワークインフラ、コンテンツなどをカスタマイズし“Building Blocks”を提供している。昨年の10月より黒字化しており、我々の事業戦略は正しかったことが確認できた」と語った。また、「IPv6の推進のためには、インフラ側で新たな取り組みが必要になる」と、IPv6を推進する上での問題点を指摘。Feel6 Technologyにより、インフラの更新なしでIPv6ネットワークに移行できることをアピールした。

続いて、Feel6 TechnologyおよびFeel6 Farmについて、同社代表取締役社長の石田宏樹氏はまず、「ISP事業はスピードや接続方法(の簡便さ)を提供するだけでは行き詰まる。“質的な変化”があれば、再び利益の出る事業になる」と、IPv6への期待を示した。

フリービット代表取締役社長の石田宏樹氏
フリービット代表取締役社長の石田宏樹氏

石田氏は、「従来のネットワークでは、すべてのバリューはサーバー側におかれているが、最近はネットワークを通じて(会社や外出先から)自宅のクライアントにアクセスするといったニーズがおきており、サーバーとクライアントの質的な差がなくなるだろう。そのためにはクライアントを同定する必要があり、グローバルIPアドレスを常時振り出す必要がある」と、IPv6が必要になる背景を説明。「Feel6 Technologyは、既存のネットワークに手を加えずにIPv6に対応する技術。また、Feel6 Farmは、これまでの実証実験と異なり、IPv6で何ができるのかを利用者に感じてもらうことが大きな目的だ」と語った。

記者団から、Feel6 Farmの目標ユーザー数について質問されると、「ISP経由でインターネットに接続している人の多くが参加可能だ。全国のISP経由でインターネットに接続しているユーザーの80%を目標にしている」と答えた。

「メディア技術は、使っていくうちに使い方が分かる」─逗子・葉山コミュニティ放送代表取締役 木村太郎氏

Feel6 Farmにコンテンツを提供する、逗子・葉山コミュニティ放送の代表取締役であり、ジャーナリストでもある木村太郎氏は、「通常、ネットワーク事業者とコンテンツ事業者は連携が弱いのが問題。石田氏からの説明を聞いて、IPv6は触っておかなければいけないという感覚になった」と、コンテンツ提供の経緯を説明した。

逗子・葉山コミュニティ放送(株) 代表取締役 木村太郎氏
逗子・葉山コミュニティ放送(株) 代表取締役 木村太郎氏

木村氏は「デジタル放送もそうだが、メディア技術というのは使っているうちに使い方が分かるようになるもの。早く手をつけていろいろ失敗を積み重ねたものが勝つ分野だ。Feel6 Farmでは、我々はマルチキャストを利用したコンテンツのプッシュ配信を利用したい」と語り、実際にストリーム放送を行なっている湘南ビーチFMに電話をかけ、画面を希望のものに変更するというデモを行なった。

電話中の木村氏
木村氏が放送中のスタジオに直接電話をかけ、「画面にスタジオの様子をインポーズしてもらえる? 」というと……
内容を変更してお届け中
スタジオでストリームを受信しているパソコンを特定、そのパソコンに向けて放送している画面のみが変更された

記者発表会場には、Feel6 Technologyに対応予定のネットワーク機器や、BitBasket6をインストールしたパソコンなどが用意され、実際の利用イメージとあわせて紹介されていた。

Feel6なリビングにいる石田氏
展示ブースの様子を説明する石田氏。リビングや外出先でFeel6 Technologyを利用するイメージで展示されていた
AirH”でFeel6
AirH”で外出先からFeel6 Technologyを利用することもできる
動くKame
FreeBSD用IPv6プロトコルスタックを開発している“Kame Project”のウェブサイト。IPv6で接続すると、画面上のカメが動いて表示される
Mac OS X版BitBasket6
開発中のMac OS X版BitBasket6。ウェブブラウザはMozillaが利用されていた
RTA55i
ヤマハのブロードバンドルーター『RTA55i』。ファームウェアのアップデートでFeel6 Technologyに対応する
GR2000シリーズ
日立製作所のルーター『GR2000』シリーズ。左上段が『GR2000-4S』、右が『GR2000-BH』、左下段が『Gr2000-2B』。いずれもファームウェアアップデートでFeel6 Technologyに対応する

(編集部 阿蘇直樹)


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