(株)インターネットイニシアティブ(IIJ)は23日、同社で記者説明会を開催し、動的に変化する掲示板やコマースサイトに遠距離から接続する場合のレスポンスを高めるウェブアクセス高速化サービス“IIJネットライトニング”を8月7日より提供開始すると発表した。この技術は、同時に技術提携を発表した米Netli社の“アプリケーションデリバリネットワーク(ADN)”技術を用いて実現するもので、IIJの回線ユーザーでなくとも利用可能。価格は初期費用が50万円、月額基本料金は帯域1Mbpsで65万円、2Mbpsで104万円、5Mbpsで143万円。
代表取締役社長の鈴木幸一氏(左)と国際担当部長の百田功氏(右) | 営業企画部長の金子健氏(左)と企画開発部課長の近藤学氏(右) |
会場には、代表取締役社長の鈴木幸一(すずきこういち)氏、国際担当部長の百田功(ももたいさお)氏、営業企画部長の金子健(かねこけん)氏、企画開発部課長の近藤学(こんどうまなぶ)氏が出席し、ネットライトニングの概要や営業方針などについて説明した。
ネットライトニングは、ユーザー(クライアント側)からのウェブサイトにアクセスするリクエストを受けてVDCサーバーに接続を促すDNSサーバー“Netli DNS”、クライアントにデータを配信する“バーチャルデータセンター(VDC)”、本来のウェブサーバーからデータを取得する“アプリケーションアクセスポイント(AAP)”の3つで構成される。VDCとAAPは高速データ転送に特化した独自プロトコル“Netli Protocol”で接続することで(ネットワーク層プロトコルはIP)、従来のTCP接続のインターネットよりも高速な転送を実現するという。現在米国で特許出願中のため、Netli Protocolの内容は明らかにされていないが、IIJのテストではウェブサイトの表示、ファイルのダウンロードなどで効果が発揮された(同国同地域に存在するウェブサーバーと変わらない程度のレスポンスを実現した)と説明している。
Netli DNS、VDC、AAPはNetliが管理・運用し、24時間体制で監視している。VDCは現在世界13ヵ所、DNSは世界8ヵ所に分散して設置済み。もし契約している帯域を大幅に超えるリクエストがあった場合には、通常のインターネット接続を利用して自動的に迂回する“リダイレクションシステム”を提供する。
会場では、米国(ニューヨーク)にウェブサーバーとAAP、日本(東京)にVDCとクライアントを設置し、インターネット経由とネットライトニングサービスを利用した場合で、ウェブサイトの表示やファイルの転送、動的コンテンツとしてcgi(Common Gateway Interface)を利用した掲示板サイトに書き込みを完了して結果が反映(再表示)されるまでのレスポンスの違いをデモンストレーションした。
会場で行なわれたデモンストレーションより。ウェブサイト表示テストの様子 | 同じくデモンストレーションより。ファイルダウンロードテスト |
なお、このサービスは大陸間を越えるなど、物理的な遠距離による通信の遅延を低減するもので、ウェブサーバー本体の処理性能やアプリケーション、およびクライアント⇔VCNやサーバー⇔AAC間のローカル回線品質に起因する遅延については効果が出ない。
IIJではこのサービスを、電子調達や購買などの管理部門、コマースサイトなどの電子商取引、ERP(Enterprise Resource Planning)、SCM(Supply Chain Management)、CRM(Customer Relationship Management)など企業で重要なウェブアプリケーションシステムの構築・運用管理を行なうシステムベンダー/SIerなどを通じて提案していく、としている。