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【詳細記事】ライブドアの公衆無線LANサービス“D-Cubic”詳報──おみやげはライブドラ


2005年6月15日

(株)ライブドアは15日、月額525円(初期契約料金1050円、ISP料金含む)で利用できる定額制の公衆無線LANサービス“D-Cubic”(ディーキュービック)を10月1日に開始すると発表した(速報記事関連記事)。

集合写真
ホリエモンを中心に並んだ、提携各社のVIP

ユーザーが求めているのはカバーエリアの広さ

D-Cubicの最大の特徴は、無線LAN接続可能なエリアが既存の公衆無線LANサービスを大きく上回る点である。これまでの公衆無線LANサービスは飲食店やホテルのロビーなど限られた場所で利用するものが大半で、接続が可能なポイントを見つけ出すことが難しかった。

トークセッション
壇上で談笑するライブドア代表取締役社長兼最高経営責任者の堀江 貴文氏と(株)パワードコム代表取締役社長兼CEOの中根 滋氏

ライブドア代表取締役社長の堀江 貴文(ほりえ たかふみ)氏は、D-Cubicの利点として、“苦労してアクセスポイントを探さずにインターネットに接続できる”点を挙げた。サービス開始当初には、山手線圏内2200ヵ所にアクセスポイントを設置し、約80%のカバー率を目指す。

D-Cubicのもうひとつの特徴は月額525円という圧倒的に安い料金設定である。堀江氏は2001年にサービスが開始した“Yahoo! BB”を例にとり、「孫さんが月額2000円台という低価格のADSL環境を実現したおかげでインターネット市場が広がった。D-cubicはそのモバイル版だ」とコメント。さらに「この料金なら外出先で使う必要性に迫られない人が加入しておいても損がないサービスではないか」と自信をのぞかせる。

この広範囲と低価格という2つの特徴を実現するために堀江氏は、電気通信事業者の(株)パワードコムに電柱にアクセスポイントを設置したいと持ちかけた。電柱には電気が来ているし、光ファイバーも来ている。無線LANアクセスポイントを設置する場所としてはうってつけである。この提案を聞いたパワードコム代表取締役社長兼CEOの中根 滋(なかね しげる)氏は「電柱、光ファイバー、無線LANと聞いて、これはお手伝いできる、ぜひに」と2つ返事で了承したという。中根氏は「堀江さんの目がキラキラと光っていてパッションを感じた」と回想した。



前面
側面
電柱に設置されるアクセスポイント。全天候型の防滴仕様とし、サイズも小型のものとした

電柱にアクセスポイントを設置する際に、最も苦労したのは屋外での使用に耐えられるようにすることだったという。「全天候型の防滴タイプにするとともに、夏には高温多湿になる日本の気象条件でも故障せず安定稼動しなければならない。また電柱に取り付けるためにはサイズも小さしないといけない」(堀江氏)。これらの技術的な課題は、提携メーカーの協力で解決した。

D-Cubicはパワードコム以外にも、認証システムなどの構築を行なった日本アイ・ビー・エム(株)(※1)、セキュリティー面のサポートを行なうトレンドマイクロ(株)、無線LAN機器の提供を行なったアセロス・コミュニケーションズ(株)(※2)、テレビ番組の配信などを検討している(株)フジテレビジョンなど、さまざまな企業のサポートによって実現したものであるという。

※1 IBMは、ITインフラの支援やビジネスモデルの構築で協業していくと発表した。また、同社のソフトウェア『IBMWebSphere Everyplace Connection Manager』(WECM)を使用することで、無線圏外に移動した際にも切断時の接続状況が保持され、接続が復帰した際には切断前の続きからデータの送受信を再開できるとしている。

※2 発表会後、アセロス・コミュニケーションズはインフラに関する報道発表を行なった。D-Cubicで設置するアクセスポイントはアイコム(株)製の『AP5500』で、同製品にはアセロスの長距離無線LAN技術“eXtended Range(XR)”と無線LAN高速化技術の“Super G”を搭載しているという。

7月下旬から無料の試験サービスを開始

ライブドアは、10月1日の正式サービス開始に先立って7月下旬からテストサービスを開始する。接続料金は無料で、ライブドアの本社がある港区(六本木近辺)と新宿周辺など都内の一部地域で公衆無線LANサービスが利用可能になる。サービス開始当初の提供エリアは上述のとおり山手線圏内2200ヵ所(カバー率80%)だが、2006年3月に東京23区内6200ヵ所、2006年12月までに1都8県6万ヵ所に順次拡大していく予定。堀江氏は「ITS(Intelligent Transport Systems)への利用も視野に入れつつ、全国の主要都市圏にサービスを拡大していく予定」とロードマップを示した。

ロードマップ
D-Cubicのロードマップ
3つのフェーズ
対応エリアは3つのフェーズを経て整備される

ライブドアは、正式サービスに移行したあともライブドアのポータルサイトに含まれる、地図やニュース、グルメ情報などのコンテンツに限って無償で閲覧できるようにする予定だ。無線LANを内蔵したマシンでブラウザーを開き、あらかじめ取得しておいたライブドアIDとパスワードをフォームに入力すれば、誰でもライブドアが提供するコンテンツを見ることができる。

また、インターネットを利用した音声通話サービスの“Skype”など、自社のサービスの利用も積極的に促進していく。「(54Mbpsの転送速度があれば)Skypeを使って外出先で話したり、動画や音楽の送受信も行なえるのではないか」(堀江氏)。無線LANサービスによる直接的な収益のほかに、ライブドアポータルのアクセス増加とサービスを絡めることにより、複合的な効果を得るのが狙いだ。

六本木の地図
六本木を中心とした地図(範囲は800×600m程度)。★が書かれた場所にアクセスポイントで、地図内には16ヵ所ある。堀江氏は「近所の電柱でもライブドアのアクセスポイントが見られるようになるはず、目を向けてもらえれば」と述べた。なお、六本木周辺に実は電柱がないが、その場合はビル収容のFTTHにアクセスポイントをつなぐという

さらに年内には各種法人向けサービスも開始する。「ローミングやVPNを組み合わせた企業用のモバイルアクセスや物流や流通などのソリューションビジネスも展開する」(堀江氏)。こういった環境の整備を背景に、ライブドアは課金代行を始めとしたいろいろな付加価値サービスを提供していくという。

発表会終了後の質疑応答で堀江氏は、「525円の定額料金以外にも個人向けコンテンツでの収入を考えているため正確な人数は言えないが……」と前置きした上で「損益分岐点は10〜20万人の間になる」とコメント。将来的には100万人を超える会員を獲得することを目標に掲げた。また、設備投資は全額ライブドアが負担し「アクセスポイントを設置する最初の設備投資で7億円程度、関東から全国主要都市圏をカバーする過程で投資額は100〜150億円ぐらいを見込んでいる」と述べた。



本当に快適な無線LAN環境が実現できるのか?

このように魅力的な文言が並ぶ、D-Cubicだが、いくつかの懸念要素もある。最も気になるのは「本当に快適な速度で通信が楽しめるのかどうか」である。安価でどんな場所からもアクセスできる無線LANサービスは誰もが利用したいと思うに違いないが、アクセスの集中によってサービスの品質が低下することはないのか?

発表会で堀江氏は「アクセスポイントの同時接続人数は30人程度と十分な人数。アクセスラインにはFTTHを使用しており、帯域がバーストする可能性は低い」とコメント。バックボーン回線に関してはライブドアのデータセンターと共通のものを利用する。「これまではデータセンターにデータを取りに来るトラフィックが中心だった」が、「今後はライブドアを経由して外に取りにいくトラフィックが増えると予想される」ため、「上り下りのうち、従来半分しか使われていなかった帯域がむしろ有効活用できるのではないか」と述べた。

しかし、これ以外にも干渉の多い2.4GHz帯の周波数を利用している点や、他の無線LAN機器とチャンネル数の奪い合いが起こるのではないかという問題はある。これらに関しては、実際にサービスの開始を待つのが一番だろう。とはいえ、D-Cubicがこれまで普及が今ひとつ進んでこなかった公衆無線LANサービスのブレークスルーとなるのではないかと期待させるのは確か。今後の展開と普及を期待したい。

引き出物は“ライブドラ”

当日参加した記者には、ライブドア特製のドラ焼き“ライブドラ”が配られた。菓匠Roppongi謹製。2つ入りで、ホリエモンの仕掛けた“ポイズンピル”と思いきや中身はつぶあんで日本茶にもピッタリ合いました。

左のライブドアロゴはともかく、右はドラ焼きというより“カレーパ●マン”にしか見えなかったのは秘密だ
このドラ焼きは“livedoorデパートでも買えるらしい”
発表会で配られたドラ焼き

(編集部 小林久)


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