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KDDI、次世代総合通信インフラ構想“ウルトラ3G”を発表――「固定/移動の区別なく1つの網で」


2005年6月15日

KDDI(株)は15日、携帯電話向けデータ通信専用インフラ“EV-DO Rev.A(イーブイ・ディーオー レブ・エー)”を、6月度社長会見において発表した。同社は現在、第3世代携帯電話システム“CDMA 1X WIN”と“CDMA 1X”(※1)を運用しているが、2010年には伝送速度が下り100Mbps超という“CDMA2000”無線規格の第4世代携帯電話システムを導入することを計画している。会見では、2006年以降、2010年までの第3世代携帯電話システムの進化のロードマップとして、EV-DO Rev.Aを含む新システムの導入や、固定/移動通信を包括した次世代総合通信インフラ構想“ウルトラ3G”が紹介された。

KDDI代表取締役社長の小野寺 正氏
KDDI代表取締役社長の小野寺 正氏
※1 CDMA 1X WIN(サービス名称)は、データ伝送方式“CDMA2000 1x EV-DO”を採用し、下り最大2.4Mbps/上り最大144kbps(ベストエフォート型)の伝送速度を実現する。CDMA 1X(サービス名称)は、データ伝送方式“CDMA2000 1X”を採用し、下り最大144kbps/上り最大64kbps(ベストエフォート型)の伝送速度を実現する

上り最大1.8MbpsのEV-DO Rev.A

EV-DO Rev.Aは、現行のCDMA2000 1x EV-DO方式を拡張したもので、正式にはCDMA2000 1x EV-DO Rev.Aという。CDMA2000 1x EV-DO方式が下り最大2.4Mbps/上り最大144kbpsだったのに対し、下り最大3.1Mbps/上り最大1.8Mbpsと、特に上りの伝送速度が高速化されているのが特徴だ。また、現行のCDMA2000 1x EV-DO方式がベストエフォート型だったのに対し、EV-DO Rev.Aでは利用するサービスに応じたパケットの優先制御が可能な仕組みを導入している。小野寺氏は、上りの伝送速度が高速化と、パケットの優先制御によって、CDMA2000 1x EV-DO方式の導入で大容量のデータをダウンロードする“着うたフル”が実現したように、EV-DO Rev.A方式の導入で、従来型のサービスに加えて「双方向のリアルタイム通信をいかすようなサービス/コンテンツにも対応しやすくなる」と期待している。

KDDIの第3世代携帯電話システムの進化
KDDIの第3世代携帯電話システムの進化

なお導入は2006年の予定で、サービス名称(CDMA2000 1x EV-DO方式でいうところのCDMA 1X WIN)は未定。従来システムとの互換性も維持される見込み。そのほか、EV-DO Rev.A以降の2010年までの展開としては、CDMA2000 1x EV-DO方式ないしEV-DO Rev.A方式の複数回線を束ねて下り最大10Mbps程度の伝送速度を実現する第3世代携帯電話システム“Nx EV-DO”を検討していることが、明らかにされた。

ウルトラ3G構想はKDDI流“Beyond 3G”

ウルトラ3Gは、次世代CDMA2000システム(後述)やIEEE802.16eなどの新しい無線方式、ADSLやFTTHなどの固定網、IEEE802.11a/b/g(加えてn/e/i)などの無線LAN、そして現行の第3世代携帯電話サービスを相互連携させ、シームレスなサービスを提供するプラットフォームを作るという構想。いわゆる“Beyond 3G”の考え方を、KDDIなりにモディファイしたものなのだという。小野寺氏は、様々なアクセス手段を包含しつつ、アクセスには依存しない固定/移動を統合したネットワークを作ることで、「固定/移動関係なく1つの網の中で、その時々に応じて、最も適した通信形態を提供できる」と説明した。

携帯電話システムの世代の進化とウルトラ3Gの関係
携帯電話システムの世代の進化とウルトラ3Gの関係
ウルトラ3G構想
ウルトラ3G構想イメージ
固定移動統合網
固定移動統合網イメージ

固定/移動からのアクセスを繋ぐのは、IPv6を用いたパケットベースのコアネットワークで、「1つの端末に多数のIPアドレスを付与することで、さまざまなサービスを行なったり、セキュリティーを強化したりできる」という。また、ウルトラ3G向けのサービスの提供基盤としては、3GPP2で規格化が進められているMMD(Multimedia Domain)に準拠したネットワークを構築し、これによって「複数のマルチメディアサービスを連携させたり、利用者の状況や好みに応じて送受信のサービスを切り替えるなど、多様なサービスを提供できる」とした。

マイデータセンター
各個人の電子ファイルのコレクションをマイデータセンターに集めて、必要に応じていつでもどこでもどんな端末からでも利用できる“高速データ通信によるマイデータセンター”
乗り物の中ではテレビ電話を受けながらテキストで返事ができ、屋外では普通の携帯電話で普通に通話し、家の中では家庭用テレビでテレビ電話を行なえる自動的に切り替える
乗り物の中ではテレビ電話を受けながらテキストで返事ができ、屋外では普通の携帯電話で普通に通話し、家の中では家庭用テレビでテレビ電話を行なえる自動的に切り替える
ウルトラ3Gで実現するサービスのイメージ

ウルトラ3G構想で言及された次世代CDMA2000システム(CDMA2000方式を拡張した次世代の無線方式)は、国際標準化プログラム3GPP2(Third Generation Partnership Project 2)の5月の会合で合意がなされたものを指す。合意の内容は、以下に列挙する仕様の概要と、2007年の中頃の完成を目標として標準規格の具体的仕様の検討を始めるというスケジュールの2つ。小野寺氏はこのシステムを、「第3世代システムの進化の先にあるもの」「4Gを目指しているところに近い」と紹介した。

  1. 最大通信速度の向上(下り100Mbps〜1Gbps/上り50Mbpsが目標)
  2. 音声通信容量の向上(VoIPを想定)
  3. 周波数利用効率の向上
  4. 接続時間の短縮
  5. ビット単価低減によるインフラコストの抑制
  6. 現行システムとの互換性の維持

3GPP2に提案を行なったのは、KDDIや中国China Unicom社などアジアや北米の主要CDMA事業者と、富士通(株)、日本電気(株)、米クアルコム社、米モトローラ社などの通信機器メーカー合計29社。各社の意見をKDDIがとりまとめた形になる。

ウルトラ3G構想および、次世代CDMA2000システムの実現の時期について小野寺氏は、「次世代CDMA2000システムは、2007年中にスペックが決まるので、2009年とか2010年とかになるだろう。ウルトラ3Gは、KDDI単独で進められるので、もう少し早めに実現したい。時期については明確にできない」とした。またコストに関しては、「第3世代携帯電話システムよりも、ビットあたりの単価が下がらなければ、超高速なサービスを提供してもお客様に使ってもらえないと思うので、ビットあたりの単価は下がる」と述べた。

(編集部 伊藤咲子)


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