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BIGLOBE、大量の迷惑メール送信に対する対策を発表──送信メールの流量制限を行なってスパムメールを防止

2005年07月11日 19時31分更新

文● 編集部 小林久

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日本電気(株)は11日、同社が提供しているISPサービス“BIGLOBE”において、今月中旬からTCP25番ポート(SMTP)に対して直接送信される“迷惑(スパム:SPAM)メール”の流量制御を行なうと発表した。独自のSMTPサーバーを設置して大量の迷惑メールを送信(直接送信)を行なっている業者への対策となる。

今回の対策は、BIGLOBEが進めている迷惑メール総合対策基盤“SMBA”(Spam Mail Blocking Architecture)の一環で、同社では“SMBA-FC”(FC:はFlow Controlの略)と呼んでいる。

古関氏
BIGLOBEパーソナル事業部事業部長の古関 義幸氏

BIGLOBEでは迷惑メール対策を“届けない”“通さない”“出させない”の3つをキーワードとしており、ユーザーに迷惑メールを“届けない”対策として“迷惑メールブロックサービス”(2005年6月)“迷惑メール拒否設定”(2004年4月)。外部からの迷惑メールを“通さない”対策としてドメインを詐称した外部からの迷惑メールをフィルターする対策(2004年9月)などを行なってきた。

日本電気BIGLOBEパーソナル事業部事業部長の古関 義幸(こせき よしゆき)氏は、今回の対策で迷惑メールを“出させない”ようにできたとし、「この世界で完璧というものは存在しないが、ひととおりの迷惑メール対策基盤ができたと思う」と述べた。

BIGLOBEでは2004年6月以降、BIGLOBEのメールサーバー経由のメール送信(投稿)時の流量制限を行なっているが、今回は直接送信で大量のスパムメールをバラ撒いている業者への対策だ。古関氏によると、BIGLOBEから送信される迷惑メールの9割がこの“直接送信”を利用したもので、“SMTPサーバー間のメール配送は認証なしで行なえる”という仕組みを悪用したものだという。スパム事業者の多くは、専用のスパムメール送信ソフトを利用して同時接続を行ない、IPアドレスを短期間(10~20分程度の間隔)で変更しながら、大量のメールを送信する。また“ゾンビPC”というスパム業者がのっとった一般ユーザーのパソコンを利用する方法もある。

直接送信に対する対策として、25番ポートを閉じてしまうことも考えられるが、すべてをブロックしてしまうと、自営のメールサーバーを利用してメールマガジンなどを利用している企業や他のISPのメールを利用しているユーザーの利便性を損なってしまうなどの問題点があった。

そこで、BIGLOBEでは一定時間内の最大同時接続数を絞るとともに、メールの流量を制御することで、大量のメールを送信するスパム業者の送信効率を下げるという対策を採った。メール送信時にかかる時間を長くすることで、短期間で大量のメールを送るというスパム業者の目的を阻止し、意欲を削ぐのが狙いだ。



古関氏
BIGLOBEパーソナル事業部サービスビジネスグループマネージャーの田中 栄市郎氏

日本電気BIGLOBEパーソナル事業部サービスビジネスグループマネージャーの田中 栄市郎(たなか えいいちろう)氏は「単位時間内に送信できるメールのデータ数が10分の1になれば、これまで1日で送信できた迷惑メールの送信に10日間かかることになる」と説明。「IPアドレスを変えても、変えた瞬間から流量制限がかかるので、IPアドレスを変えて大量メールを送信する業者に対しても有効な手段になると思う」と述べた。また、メールの流量制限を行なう対象は「動的なIPアドレスを利用している場合」のみで「固定IPアドレスを利用している場合は流量制限を設けない」。これにより、正規の方法でメールを送信している事業者を保護できるという。

BIGLOBEでは今後、Sender IDやDomainkeysといった送信ドメイン認証技術も積極的に導入していくほか、総務省、JEAG、テレコムサービス協会といった関係省庁・関係団体と連携した迷惑メール対策を実施していくという。また、発表会終了後の質疑応答で古関氏は「今回の対策で、大きな効果が出ると思うので、それを見てもらいたい。他のISPが同種のサービスをやりたいと考えているなら、そのノウハウの提示も拒むものではない」と述べ、1社だけではなくISP各社の協力でスパムの排除を行なっていきたいという意志を明確に示した。



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