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日立製作所、ALS患者向けの意志伝達装置『伝の心』の機能強化を発表


1999年8月26日

(株)日立製作所は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者に向けた意志伝達装置『伝の心(でんのしん)』を機能強化して、10月1日に発売する。ALSは、脊髄の運動神経が冒されて徐々に全身の運動機能が低下する難病で、宇宙物理学者のホーキング博士もこの病に侵されている。日立製作所の社員がこの病気にかかったのを契機に'97年に『伝の心』を開発したことは、以前にもこのサイトで紹介したことがある。

意志伝達装置『伝の心』
意志伝達装置『伝の心』



同製品は、体のごくわずかな動きをセンサーで感知し、その信号をパソコンに送ることでさまざまな機器の制御を可能にするものである。今回の機能強化のポイントは、以下の2点。

まず1つめは、迅速なコミュニケーションを可能にしたこと。これまでの製品のように画面上の文字を1つ1つ選択して文章を作るのではなく、用意された日常会話文や自分で登録した文章から、素早く文章を作成できるように改善された。2つめは、利用できる周辺機器を増やしたこと。前製品では、テレビのリモコンが利用できるだけだったが、今回の機能強化で、コントロールできる周辺機器が拡張された。患者は、さまざまな周辺機器を接続して、本を読んだり、ゲームをしたり、金魚に餌をやったりすることが可能になった。

『伝の心』で利用できるページめくり機『りーだぶる』
『伝の心』で利用できるページめくり機『りーだぶる』



こうした拡張は、“学習リモコン”の開発によって可能になった。家電用リモコンのセンサーの赤外線コード(機器操作の情報)を学習リモコンに記憶させることで、家電製品がリモコン操作で利用できる。現在利用できる周辺機器は、ページめくり機『りーだぶる』、金魚などの自動給餌『魚・ぎょっ』(ともにダブル技研(株)製)、リモコンビデオカメラ(キャノン販売(株)製)など。

説明をする小澤邦昭情報機器アクセシビリティ事業推進室長
説明をする小澤邦昭情報機器アクセシビリティ事業推進室長



発表会で同社の情報・通信グループ新事業推進センタ、情報機器アクセシビリティ事業推進室長である小澤邦昭氏は、「既に約300人に利用されている『伝の心』だが、音楽を聞いたり本を読んだりしたい、という患者さんの声を聞いて更なる改良を考えた。」と語った。また、今後はインターネットなども利用できるように更に改良を加えたいという。

挨拶に立った日本ALS協会副会長兼事務局長の熊本雄治氏は、「ALSでは、患者は自分で出来ることがどんどん少なくなっていく。少しでも自分自身でできることが増えるのは、患者にとって大きなプラスになる。」と同製品への期待を述べた。

『伝の心』は、ソフトウェア『伝の心』がインストールされたノートパソコン(またはデスクトップパソコン)、磁気センサーなどの入力装置、プリンタ、モデム、学習リモコンで構成される。対応OSはWindows95/98で、価格は50万円。この価格は、厚生省の設定する日常生活用具の購入補助限度額が50万円であることを配慮して設定された。したがって、購入する際には、原則として患者には負担がかからない。

(編集部 堀田ハルナ)


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