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メディア、3分8.2円の市内電話と100Mbps光ファイバーのIP接続/IP電話サービスを開始

2001年12月17日 23時40分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)メディアは17日、都内で記者発表会を開催し、市内通話料金が3分8.2円の電話サービス“えむ電”と、1本の100Mbpsの光ファイバーでIP接続/IP電話サービスを提供する統合アクセスサービス“M(メディア)ライン”を2002年1月30日に首都圏で開始すると発表した。

同社は2000年12月に設立した通信事業を行なうベンチャー企業で、3月に第一種電気通信事業免許を取得している。(株)有線ブロードネットワークス、ソフトバンク・インベストメント(株)、メディアの幹部役員らが主要株主だが、有線ブロードネットワークスが過半数の株を持つとしており、実質的な親会社になっている。

メディア代表取締役社長の笠牟田建二氏
メディア代表取締役社長の笠牟田建二氏

24時間均一低料金で市内から国際通話までカバーする“0060”

えむ電は2002年1月30日に、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で開始する電話サービス。相手先電話番号に付加するアクセス番号は“0060(国際電話の場合は0060+010)”。登録するだけで利用でき、登録料金、月額基本料金などは不要で“マイライン”登録も可能。えむ電は国内通話と国際通話の両方をカバーし、利用時間帯によらず均一の料金となっている。

えむ電の国内通話料と、NTTコミュニケーションズ、KDDI/日本テレコム、フュージョンとの比較
えむ電の国内通話料と、NTTコミュニケーションズ、KDDI/日本テレコム、フュージョンとの比較
こちらは国際通話料金の比較
こちらは国際通話料金の比較

国内通話料金は、市内が3分間で8.2円、同一県内市外が同18円、県外(100km以内)が同18円、県外(100km超)が同20円で、いずれの区分でも既存の電話サービス(※1)よりも同額以下。国際通話料金においても、アメリカへ3分45円、イギリス/フランス/ドイツへ同90円、韓国/オーストラリアへ同100円、台湾へ同130円、中国へ同150円など、230ヵ国に対して最高でも3分300円で通話できる。国際通話においても既存の電話サービス(※2)よりも同額以下になっている。

※1 東日本電信電話(株)、東京通信ネットワーク(株)(TTNet)、KDDI(株)、日本テレコム(株)、NTTコミュニケーションズ(株)、フュージョン・コミュニケーションズ(株)を指す。

※2 KDDI、日本テレコム、NTTコミュニケーションズ、ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(株)を指す。

効率的な事業運営による低コスト化が低料金の鍵という
効率的な事業運営による低コスト化が低料金の鍵という

光ファイバー1本による統合サービスを提供

えむ電と同様、2002年1月30日にサービス開始するMラインは、“100Mbpsの光ファイバー回線を使って、Ethernet上で可能な通信サービスをすべて提供する”というコンセプトの通信サービスで、「“ETTO/ETTH(Ethernet To The Office/Home)を実現する」(代表取締役社長の笠牟田建二氏)としている。サービス開始時は、東京都千代田区、中央区、新宿区、港区、渋谷区の一部で、1~100Mbpsまで1Mbps単位の帯域保証型IP接続サービス、100Mbpsまでのベストエフォート型IP接続サービス、えむ電より低料金のIP電話(VoIP)サービスを提供する。

Mラインのビルへの導入例
Mラインのビルへの導入例
電話/IP網のサービスの提供構造。Ethenetベースとすることで非常にシンプルになっている
電話/IP網のサービスの提供構造。Ethenetベースとすることで非常にシンプルになっている

料金は加入料1万円、機器工事費用/屋内配線工事費用は実費、回線使用料は4万円/1回線、帯域保証型IP接続サービスは月額10万~320万円(1M~100Mbps)、100Mbpsベストエフォート型IP接続サービスは月額2万9800円、PRI(Primary Rate Interface)利用料月額2万円、VoIP使用料月額800円/電話番号、ダイヤルイン機能月額150円/電話番号などとなっている。同社によれば、大手のIP接続サービスと比較して、帯域保証型で2分の1~3分の1の低価格だとしている。また、IP電話サービスでは、市内通話3分6円、市外(20kmまで)同10円、市外(20km超~100kmまで)同14円、市外(100km超)同18円、国際電話が米国まで3分41円、韓国まで同90円、中国まで同135円などとなっている。

Mラインの料金体系
Mラインの料金体系
Mラインの電話料金。えむ電より安い“NTTの60%安”という
Mラインの電話料金。えむ電より安い“NTTの60%安”という
企業への導入の例。OCNとMラインの比較。この例では月額の通信コストが約40万円から約14万円までになっている
企業への導入の例。OCNとMラインの比較。この例では月額の通信コストが約40万円から約14万円までになっている
Mラインも、安さの決め手は低コスト構造
Mラインも、安さの決め手は低コスト構造

新規参入の強みを生かして低価格のサービスを提供

えむ電、Mラインともに既存のサービスと比べて低価格となっていること理由について、笠牟田氏は「当社は新規参入ということで、既存の電話会社のように、過去の高コスト構造や料金体系にとらわれることなく、柔軟な“最適組み合わせ”による最新ネットワークの構築と、低コスト経営が可能だ。コストが安くなった分はすぐに顧客に還元できる」という。

えむ電に関しては「営業業務についてはアウトソーシングの活用、ウェブを通じたマーケティングの活用で営業コストの最小化を図った。(今年の春から秋にかけての)マイラインの導入競争を回避することで、莫大なマーケティング費を使わずにすんだ」と述べた。マイライン契約に関して800円の契約変更料がネックとなって顧客獲得が難しいのではという質問も出たが「マイラインの導入競争が落ち着いて、顧客がマイラインサービスの内容をよく理解した時期であり、800円はハードルにはならないと考えている」とした。

今後の事業展開。23区に展開後、大阪、名古屋、広島と広げ、5年後に全国の主要都市でサービスを提供するという
今後の事業展開。23区に展開後、大阪、名古屋、広島と広げ、5年後に全国の主要都市でサービスを提供するという

Mラインに関しても「Ethernetベースにしたことで、シンプルで安価な機器構成にできた。自前のネットワークにこだわらず、他社のダークファイバーやコロケーションを利用してコストを削減した」としている。

今後の事業計画については、「東京圏で開始した後は、大阪圏、名古屋圏に広げそれらを串刺しに接続する。基本的にはサービスの基本料金で食べていくつもりで、事業収入の7、8割を占めるようにしていく」という。損益分岐点は約50万回線というが、「来年度早々(2002年春以降)には獲得したいと考えており、来年度中にはえむ電、Mラインともに単月黒字化する」と、早期の黒字化に自信を見せた。

発表会にはメディアのサービスイメージキャラクターであるテリー伊藤氏と吉岡美穂氏が登場した。短時間の挨拶だったが、2人とも加入してぜひ使ってみたいとコメントしていた発表会にはメディアのサービスイメージキャラクターであるテリー伊藤氏と吉岡美穂氏が登場した。短時間の挨拶だったが、2人とも加入してぜひ使ってみたいとコメントしていた

メディアのサービス料金はいずれも非常に競争力があるが、えむ電の市内通話料金は東京圏で最も安いTTNet(東京通信ネットワーク)の8.4円よりも0.2円も安く、マイライン登録の有料化開始でいったん収まった競争に再び火を付ける可能性がある。ただ、笠牟田氏のいうように、各社はマイライン登録競争による値下げでかなり疲弊しており、どのくらいの会社が対抗策を打ち出せるかには疑問も残る。いずれにせよ、このような低価格が可能ということが、「過去の高コスト構造や料金体系にとらわれることなく」という笠牟田氏の言葉を裏付けるものとなっている。

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