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セールスフォース・ドットコム、ウェブベースのCRMシステム“salesforce.com”の追加機能などについて発表

2002年04月12日 23時49分更新

文● 編集部 田口敏之

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(株)セールスフォース・ドットコムは12日、2月1日付けでサービスを開始したウェブベースのCRMシステム“salesforce.com Enterprise Edition”と、その機能を強化するインテグレーション機能などについて発表した。同社は、米セールスフォース・ドットコム社の日本法人。米セールスフォースのASPサービス“salesforce.com”の日本語版の提供や、導入にあたってのコンサルティングなど行なっている。

Enterprise Editionの導入事例
Enterprise Editionの導入事例

salesforce.comは、取引先情報や商談の進捗状況など営業担当者の活動を記録・分析することで、生産性の向上を図るSFA(Sales Force Automation)システムで、ASPによってサービスを提供する。ウェブブラウザーから利用できるため、迅速な導入やアップデートが可能だという。これまで同社は、中小企業など向けに“salesforce.com Professional Edition”を提供してきたが、大企業などからの要求が高まったことから、数百から数千ユーザーの利用をサポートする“同 Enterprise Edition”の提供を、2月1日に開始した。Enterprise Editionでは、Professional Editionの機能を強化したほか、迅速な導入のために、業種別に25のテンプレートを用意している。また、XML APIを利用してカスタマイズを行なえるほか、外部のシステムなどとの連携も可能。料金は、1ユーザーにつき月額1万円。

今回、同社が発表したのは、Enterprise Editionの追加機能“Webサービスインテグレーションキット”“salesforce.com Offline Edition”“Campaign Management”“Self-Service”の4つのコンポーネント。ASPサーバー側にコンポーネントを追加することでアップデートする。“Offline Edition”と“Campaign Management”の2つは、Professional Editionにも追加できる。

XML APIで、外部のシステムとのデータ連携が可能に
XML APIで、外部のシステムとのデータ連携が可能に

“Webサービスインテグレーションキット”は、Enterprise Editionで利用できるXML APIの開発ツールと手引書のセット。これを利用してXML APIを呼び出し、ASPサーバー内のシステムがほかのシステムと、各種のデータを交換するためのプログラムを作成できる。例えば、ERPやデータベース、データウェアハウスのほか、携帯電話、PDAなどとも連携が可能になる。利用者の対象は開発者とシステムインテグレーター。15日に提供を開始する。料金は年間250万円で、“有償テクニカルサポート料金”という形を取る。

必要な時だけインターネットに接続し、オフラインで利用できるOffline Edition
必要な時だけインターネットに接続し、オフラインで利用できるOffline Edition

“salesforce.com Offline Edition(オフライン エディション)”は、Internet Explorerのキャッシュを利用して、salaesforce.comをオフラインで利用できる機能。インターネットとの接続時には、自動的にサーバーと同期を取り、情報を最新のものに更新できる。マイクロソフトのMicrosoft XML Core Services (MSXML) 3.0、Internet Explorer 5.5、Microsoft .NETテクノロジーを利用しており、クライアントに特別なソフトをインストールする必要はない。提供は7月の予定。Enterprise Editionは、同機能を基本機能として追加するため、無償でアップデートできる。Professional Editionの場合は、1ユーザーごとに毎月2500円の追加料金が必要。

Offline Editionの画面(開発中のもの)
Offline Editionの画面(開発中のもの)

“Campaign Management(キャンペーン・マネジメント)”は、salesforce.comのマーケティング機能を強化するもの。マーケティングに対する費用対効果を計測し、マーケティングプログラムの効率を向上させるという。マーケティングの計画、立案、実行、測定までを実行でき、“リード管理”、“商談管理”機能との連携によって、マーケティングと営業との統合ワークフローを可能にする。提供は5月後半の予定。価格は、Enterprise Editionは無償アップデートが可能で、Professional Editionは、1ユーザーごとに毎月5000円の追加料金が必要。

“Self-Service(セルフ・サービス)”は、効果的な顧客サポートを行なうための機能。消費者からの質問やクレーム、およびその回答をデータベース化して管理し、ウェブサイト上にアドインする形で公開できる。問題に対する適切な回答がない場合、消費者はウェブサイトから質問を入力して送信できる。送信した質問がどこに受け渡され、回答状況はどうなっているかについての確認も行なえる。これにより、サービス品質の向上と、サポートデスクにかかる人件コストの削減を図る。提供は5月後半の予定。Enterprise Editionは無償アップデートが可能となっている。

また、Enterprise Editionとこれらの機能の提供にあたり、顧客へのインテグレーションサービスと、コンサルティングサービスを行なうため、同社は新たに日本電気(株)、NECソフト(株)、(株)日立製作所、日立ソフトウェアエンジニアリング(株)との業務提携を行なった。このうち、日本電気と日立製作所は、大規模ユーザーへの営業とマーケティングを行ない、NECソフトと日立ソフトが、それぞれコンサルティングサービスと、システムインテグレーションサービスを行なう。

セールスフォース・ドットコム代表取締役社長の北村彰氏
セールスフォース・ドットコム代表取締役社長の北村彰氏

同社の代表取締役社長の北村彰氏は、「実は本日で会社が創立2周年となる。2年間の間に250社の企業にsalesforce.comを導入していただいた。使いやすく、価格が安く、導入が早いことが売りだったので、当初は中小企業向けに提供していたが、口コミなどもあって、大企業への導入事例も多くなってきた。今年度は大企業を中心に、顧客を300社以上に拡大していきたい」と述べた。

米セールスフォース会長兼代表取締役兼CEOのマーク・ベニオフ(Marc Beniof)氏
米セールスフォース会長兼代表取締役兼CEOのマーク・ベニオフ(Marc Beniof)氏

また、米セールスフォース会長兼代表取締役兼CEOのマーク・ベニオフ(Marc Beniof)氏は「多くのCRMソリューションは、導入を決定した場合は高価なソフトを購入せねばならず、稼働までの時間もかなりかかる上に、決して使いやすいものではない。CRMソリューションを導入しようとした企業の、実に55%が失敗しているという調査結果もある。これは現在の世界的な不況の中では許されない。弊社のsalesforce.comは、ASPサービスとしてCRMシステムを提供している。ソフト、ハードの購入は必要なく、導入は1秒で行なうことができ、頻繁なアップデートも一元的に行なうため、手間がかからない。今後は、ますますサービスを充実させていきたい」と述べた。

CRMシステム導入時のコストの比率。一番右が同社
CRMシステム導入時のコストの比率。一番右が同社

また、他社も同様にウェブベースのCRMシステムの提供を開始していることについて、同社のアドバンテージを北村氏に尋ねてみたところ「我々はすでに実績を持っており、パフォーマンスもセキュリティーも課金システムも、ウェブベースのシステム構築には他社より先行している」という答えが帰ってきた。

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