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キリンビバレッジ、清涼飲料水以外も扱うオールジャンルのECサイト“Markers”を発表――売上目標は「下限で」年間20億円

2006年02月02日 20時44分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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サービスのロゴ
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キリンビバレッジ(株)は2日、会員制のインターネット通販サイト“Markers(マーカーズ)”を発表した。サービスは本日試験的にスタートし、料理家の栗原はるみ氏やイラストレーターの安斎 肇(あんざいはじめ)氏など各界の著名人10人が推薦した、雑貨/インテリア/家電など多岐な分野にわたる約100製品を販売する。製品の価格帯は、数百円~十数万円程度。会員登録は無料で、購入代金の決裁はクレジットおよび宅配便による代金引換。



左から、キリンビバレッジ 営業本部商品企画部 商品企画部長の佐藤 章氏、料理研究科の栗原はるみ氏、キリンビバレッジ Eビジネス準備室 室長の民秋 賢氏、キリンビバレッジ 取締役 経営企画部長の河内 進氏
左から、キリンビバレッジ 営業本部商品企画部 商品企画部長の佐藤 章(さとう あきら)氏、料理研究科の栗原はるみ氏、キリンビバレッジ Eビジネス準備室 室長の民秋 賢(たみあき まさる)氏、キリンビバレッジ 取締役 経営企画部長の河内 進(かわち すすむ)氏
Markersより Markersより
Markersより Markersより
Markersより。各界の著名人が各々の感性で製品を推薦。体験談などを交えながら製品を紹介している

「新たなビジネスフィールドを求めて」

ドラムロールの中、河内氏がサービスを開始
ドラムロールの中、河内氏がサービスを開始

キリンビバレッジは、清涼飲料水の大手メーカー。Markersによるインターネット通販業界への進出は、2012年までにグループの売上高を1兆円にするという“2012年長期経営構想”(2002年発表)が背景にある。記者発表会に出席した取締役 経営企画部長の河内 進(かわち すすむ)氏は、同社のビジネスはあくまで清涼飲料水事業がメインだが、「今までの事業領域では1兆円に届かない。そこで、新たなビジネスフィールドを求めた」と説明する。

河内氏の試算によれば、清涼飲料水の市場が3兆6000億円、ビール市場が4兆1000億円であるのに対し、ECサービスの市場は5兆6000億円。さらにヤフー(株)、楽天(株)、アマゾン ジャパン(株)といったインターネット通販業界大手のサービスと、メーカーによる自社製品の販売を目的としたECサービスとの間には大きな隔たりがあり、「これだけ伸びているインターネットビジネスには“第3の道”があるのではないか」と、今回のようなEC事業を立ち上げるに至った背景を説明する。

また河内氏は、自らもインターネットショッピングモール“楽天”の利用者だが、「楽天のサービスは確かに素晴らしいが、目的を定めていない買物には案外不便だ」という。そして、買物の目的を特に持たずに銀座や青山などの繁華街を散策する大勢の人々を例に挙げ、「目的があってする買物が3割で、目的を決めずに何か面白い物や自分のテイストに合ったものを求めて買物をするのが7割だろう。既存のインターネットビジネスは、必ずしもその需要に応えていない」と評価した。

企画の中心となったのは、Eビジネス準備室 室長の民秋 賢(たみあき まさる)氏を中心とする8名のスタッフと(株)電通。キリンビバレッジが考える第3の道とは“脱検索・脱ランキング”で、サービスやサイト設計のコンセプトにもなっている。Markersでは、冒頭に挙げたよう、各界の著名人(サービス内では“マーカー”と呼ぶ)が、各々の感性で製品を推薦。体験談などを交えながら製品を紹介しているので、利用者は、コンテンツを読みながら共感したものを購入する。インターフェースは、民秋氏が「暖かみと温もりのある」という雑誌を模したデザインで、インターネットサービスの習熟度に左右されないことを目指して設計したという。しかし、Flashを多用しているため、Macromedia Flash Player Ver.7.0.19以上のインストールが必須であり、利用者の環境を選ぶのも事実である。ウェブブラウザーは、Internet Explorer 6を推奨している。



仕入れからキリンビバレッジが行なう

マーカーの顔ぶれは、前述の栗原氏や安斎氏のほか、建築家で風水学の著書でも知られるDr.コパ氏、作家の畑 正憲氏、ジャズピアニストの木住野 佳子氏、モデルの雅子氏など。またキリンビバレッジの社員として、『キリン ファイア』『キリン 生茶』などの商品企画を手がけ清涼飲料業界ではヒットメーカーとして知られているという営業本部商品企画部 商品企画部長の佐藤 章(さとう あきら)氏が参加し、キャラクター“生茶パンダ”のグッズやMarkers限定のトマトジュースなどを紹介している。製品の販売は、キリンビバレッジが仕入れから行なっている。ただし、100製品のうち4製品のみ、キリンビバレッジがアマゾン ジャパン(株)よりアフィリエートを受けた形で販売する。

栗原氏がプロデュースしたタオル 栗原氏がプロデュースしたエプロン
栗原氏らが手にしているのは、栗原氏がプロデュースしたタオル。ちなみに写真左は、司会の魚住りえさんこちらは栗原氏がプロデュースしたエプロン。紐の部分がメジャーになっている

会員は、販売されている製品に対してコメントを投稿できるほか、“マイページ”が用意され、テキストが残せる“メモ”機能、気になる製品などを登録できる“クリップボード”機能などが利用できる。投稿したコメントは、事務局が確認した上で公開され、内容によっては公開されないこともある。

マイページのトップ クリップボード機能 ショッピングカート
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マイページより

「独立会社などの展開も視野に入れている」

Markers事業の売上高の目標は、河内氏によれば「初年度は下限で20億円。早く100億円の規模までもって行きたい」で、獲得会員数の目標は「開始2ヵ月で4万人、年間で30万人」という。サービスの告知は、インターネット広告だけでなく、同社の清涼飲料水のCMやポスターも使用する。

また現在Markersは“試験”サービスだが、事業の進展によっては「独立会社などの展開も視野に入れている」と河内氏は説明する。マーカーや取り扱い製品の点数を増やすと同時に、コミュニケーション機能の実装も視野に入れており、キリンビバレッジの事業多角化、物販による収益の獲得だけでなく、ユーザーぐるみの商品開発の場として成熟することにも期待を寄せている。

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