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つくばエクスプレスの車内無線LAN環境の整備が完了――電車内での無線LANアクセスは商用化に移行


2006年7月25日
走行中の無線LANインターネット接続に対応した、つくばエクスプレスの2000系。当日は報道関係者向けのデモ走行が行なわれた
走行中の無線LANインターネット接続に対応した、つくばエクスプレスの2000系。当日は報道関係者向けのデモ走行が行なわれた
つくばエクスプレスでの無線LANインターネット接続について説明する、NTT BP代表取締役社長の小林忠男氏
つくばエクスプレスでの無線LANインターネット接続について説明する、NTT BP代表取締役社長の小林忠男氏

首都圏新都市鉄道(株)とインテル(株)、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(株)(以下NTT BP)など5社は25日、秋葉原と茨城県つくばを結ぶ“つくばエクスプレス”の駅構内および列車内を含めた全路線上で、無線LANによるインターネット接続環境の整備が、31日に完了すると発表した。これにともない、2005年8月24日から行なわれていた“列車内無線LANインターネット接続トライアル”は31日で終了。8月24日より(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下ドコモ)による有料の公衆無線LANサービス“Mzone”“U「公衆無線LAN」コース”に対応したサービスに移行する。

つくばエクスプレスで行なわれていた“つくばエクスプレス無線LANトライアル”とは、秋葉原からつくばまで20駅の駅構内と路線上を走る電車の車内から、IEEE 802.11b無線LANによるインターネット接続を提供するテスト事業である。トライアルユーザー(募集は終了している)はIEEE 802.11bに対応したパソコンやPDAなどを利用して、駅だけでなく走行中の電車内でもインターネット接続を利用できるというものだ。トライアル開始時には利用できる区間が秋葉原から北千住までの5駅のみで、対応する編成も1編成のみであったが、2005年11月には全20駅が対応したほか、7月20日には利用可能区間も全区間に拡大。対応する編成も2000系と称する車両を使用する16編成すべてに増加した。トライアルに参加したユーザー数は、13日時点で4465人にのぼったという。

無線LANインターネット接続に対応する駅と区間、および編成数の増加を示す図。現在では6割の編成が無線LANに対応している
無線LANインターネット接続に対応する駅と区間、および編成数の増加を示す図。現在では6割の編成が無線LANに対応している

25日に開かれた整備完了と商用化についての発表会には、首都圏新都市鉄道、インテル、NTT BPに加えて、商用化後にサービスを提供する予定のドコモと東日本電信電話(株)(以下NTT東日本)の代表者が出席し、トライアルの状況や商用サービスの概要について説明を行なった。冒頭で挨拶を述べたインテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏は、つくばエクスプレス全線での無線LANインターネット接続環境整備が済んだことはゴールではなく、「駅周辺の商業施設や公共の場においても、無線LANや他のIT技術を使ったいろいろなトライアルをやっていきたいと考えている」と述べた。またNTT BP代表取締役社長の小林忠男氏も、駅という“点”、駅を結ぶ路線という“線”から、今後は駅周辺の地域という“面”へと無線LAN環境を拡大していくという構想を語った。

ユーザー数とアクセス数の増加を示すグラフ。対応した編成が増加するのにともない、トライアル参加ユーザーとアクセス数も順調に伸びていった
ユーザー数とアクセス数の増加を示すグラフ。対応した編成が増加するのにともない、トライアル参加ユーザーとアクセス数も順調に伸びていった

小林氏はトライアルの状況についての説明も行なった。ユーザー数は先のとおり4465人で、トライアル開始から6日までの総アクセスは2万8369アクセス。1日平均にすると90アクセスが行なわれている。小林氏は対象となる電車の数が増加した4月13日以降は160アクセス/日に増加するなど、トライアルが進むに連れて利用頻度も向上していく現象が見られたとし、利用者のサービスへの高い関心がうかがえて貴重な経験となったと述べた。また2005年10月頃までは、駅間のトンネル内では駅に設置されたアクセスポイントへ電波が届かなかったり、駅間に設置する地上中継局が未整備の区間などでは、接続が普通となる場合もあったという。これらはトンネル内対策や中継局の設置などで改善され、現在では全線を通じて1.4Mbps程度の速度で通信可能で、ウェブブラウジングやメール程度であれば支障なく利用できる環境が整ったという。

走行中の車両から無線LAN接続を行なうためのアクセスポイント配置の概念図。駅には800mの範囲をカバーする高利得アンテナを設置したが、それではたりないため500mの範囲をカバーする中継局を沿線に設置した
走行中の車両から無線LAN接続を行なうためのアクセスポイント配置の概念図。駅には800mの範囲をカバーする高利得アンテナを設置したが、それではたりないため500mの範囲をカバーする中継局を沿線に設置した
車両内には当初2両に1つのアクセスポイントを設置していたが、ユーザー数の増加によって帯域不足を招いたため、各車両ごとの設置に切り替えた。車両間の接続も無線LANを利用している
車両内には当初2両に1つのアクセスポイントを設置していたが、ユーザー数の増加によって帯域不足を招いたため、各車両ごとの設置に切り替えた。車両間の接続も無線LANを利用している

環境整備が終了するとはいえ、つくばエクスプレスのすべての電車で利用できるわけでないとのことで、2000系と呼ばれる車両を使用する秋葉原〜つくば間を結ぶ快速、および区間快速では確実に利用できる。一方で秋葉原〜守谷間を結ぶ各駅停車などでは、無線LANを利用できない1000系の車両もあるとのことだ。無線LAN対応した編成の割合は、6割程度という。

駅設置アンテナ(中央)
駅設置アンテナ(中央)
駅設置アンテナの拡大写真
駅設置アンテナの拡大写真
駅のホームに設置されたアンテナ(左中央、右はその拡大)。大きめの平面アンテナは列車接続用(2.4GHz帯)、その上の小さなひし形アンテナは中継局接続用(25GHz帯)。駅ホーム用のアンテナも備える

トライアルは31日をもって終了し、8月24日の商用サービススタートまでは、無線LAN接続は利用できなくなる。8月24日からは、ドコモがサービスする公衆無線LANサービスのMzoneと、FOMAユーザー向け無線LANサービスであるmopera U“U「公衆無線LAN」コース”のサービスエリアにつくばエクスプレスの全駅と列車内が含まれる。いずれのサービスのユーザーならば、つくばエクスプレスで無線LANインターネット接続を利用可能になる。追加料金等は発生しない。トライアルのユーザーについては、商用サービススタート後の1ヵ月間、列車内無線LAN接続の体験キャンペーンが用意される。キャンペーンの詳細は未定で、NTT BPのトライアル情報サイトにて告知の予定。

また年内のサービス開始を目標として、NTT東日本も同社の公衆無線LANサービス“フレッツ・スポット”のサービスエリアとして、つくばエクスプレスを加える予定である。詳細な時期等は未定。

走行中の車内での接続デモの様子。中央のノートパソコンの内蔵無線LAN機能で接続している
走行中の車内での接続デモの様子。中央のノートパソコンの内蔵無線LAN機能で接続している

吉田氏も述べた沿線開発については、今後は地域に特化したコンテンツを集めたエリアポータルのサービスや、無線LANを利用した広告・情報配信、非接触式ICカード技術“FeliCa”を利用した電子決済(Edy)や個人認証サービス、地域向け防犯サービス、VoIPによる内線電話を使ったコミュニティー電話サービス等が想定されているという。

(編集部 小西利明)


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