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NTTの多角的ブログ検索・分析サービス“BLOGRANGER”が2.0になって復活

2006年10月02日 17時33分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本電信電話(株)(NTT)とエヌ・ティ・ティ・レゾナント(株)(NTTレゾナント)は2日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内コーポレートニューズルームにプレス関係者を集め、ブログ検索・分析サービス“BLOGRANGER(ブログレンジャー) 2.0”を本日から1年間の期限付きでサービス提供すると発表した。NTTレゾナントのポータルサービス“goo(グー)”の実験サービスサイト“gooラボ”にて提供され、利用は無料。

検索・分析機能はそのままにWeb 2.0的アプローチを追加

BLOGRANGER 2.0の概要
BLOGRANGER 2.0の概要

BLOGRANGERはNTTのNTTサイバーソリューション研究所が開発したデータマイニングによるブログ検索エンジン。2005年12月から今年6月まで実験的にサービス提供されていたもので、

  • トピックで選ぶ
  • ブロガーで選ぶ
  • リンク先で選ぶ
  • 感想で選ぶ

という4つの視点からブログ記事を分析し、その結果をブログ検索サービスとして提供していた。具体的には、“トピックで選ぶ”の場合、ブログ記事に含まれる固有名詞を抽出し、人名/地名/組織名などに分類して、次にユーザーが絞り込むであろうキーワード一覧としてあらかじめ左サイドにリストアップする。

トピック抽出技術の説明画面
トピック抽出技術の説明画面。左側に次の絞り込み検索のヒントとなる語句を掲示することで、ユーザーが手動で入力する手間を減らしている

“ブロガーで選ぶ”では、ほかのブログからの参照数を注目度として計算し、ブログサイト(ブロガー)の人気ランキングを表示する。“リンク先で選ぶ”は、ブログ記事がそのネタ元としているニュース記事などのリンク先を集計し、話題のネタ元を見つけやすくする。“感想で選ぶ”は、感想を言い表す形容詞を抽出して一覧表示させ、特定キーワードに対するブロガーの評価を知ることができるというもの。

リンク抽出技術の説明画面
リンク抽出技術の説明画面。同じく左側に各ブログ記事が参照しているニュース記事をランキング表示しているので、元記事をたぐるために一度ブログ記事を開く、という面倒をなくしてくれる

BLOGRANGER 2.0では、過去1ヵ月のブログ記事(およそ1000万件)を集めてサーバーで集計し、従来の4つの視点から分析した上で

  • BLOGRANGER API
  • BLOGRANGERパーツ
  • BLOGRANGERモバイル

BLOGRANGER 2.0の画面
BLOGRANGER 2.0の画面。従来から赤黄青紫の4人の“レンジャー”がブログから欲しい記事を見つけてくる、というコンセプトでキャラクターを立てていたが、さらにレンジャーが増殖している
という3つのサービスとして提供する。BLOGRANGER APIは、自力でJavaScriptを記述できるユーザー向けのサービスで、キーワードによる検索結果を過去24時間区切りで抽出するなど、検索条件をユーザー自身が設定できる“blog analyzer(ブログ解析)”機能を提供する。例えば、ディープインパクトをキーワードに24時間単位で解析すると、過去24時間で最も多いのは“残念”“レイルリンク”などだが、その前の24時間では“強い”“勝つ”、さらに前では“凱旋門賞”“ロンシャン競馬場”などが並ぶ。これはブロガーの関心が開催前はレースの名前や開催場所などにあったのに対して、開催直前になると期待感を表わす内容になり、直後には3着に敗れた結果を残念がるファンの気持ちへと時系列で変化していく様子が分かる。JavaScriptの作り込み次第では、マウスカーソルをキーワードに載せると、BLOGRANGERから検索結果を取得して、そのときの最新関連ブログを掲出するAjax的なページも作れるという。



Ajaxによる実装の例 東京のキー局で一覧した、ブログによる番組注目度のランキング
Ajaxによる実装の例。画面はgoo映画で“フラガール”にマウスを置いたところ。フラガールを題材にしたブログで感想を示す形容詞をランキングしたところ「良い」「よい」「好き」などの言葉が多く、高評価であることが分かる。ちなみに、“Udon”だと「おいしい」「食べたい」などの言葉が多かったりする東京のキー局で一覧した、ブログによる番組注目度のランキング。公式サイトの多くが放送局のURLで始まることに注目し、“http://(放送局)~”を含むページで検索して結果をまとめたもの

JavaScriptの記述にはある程度の予備知識が必要だが、そうした知識がなくても利用できるのがブログパーツ(HTMLに生成されたコードを自分のブログに貼り付ける)として提供される“BLOGRANGERパーツ”だ。設定項目は限定されるがユーザーのカスタマイズも可能で、特定のキーワードや参照元のURLを設定することで、あるニュースサイトではどの記事が頻繁にブログから参照されているか、などを調べて自分のブログページに掲出できる。このカスタマイズしたブログパーツはほかのユーザーが参照・再利用することもでき、マッシュアップによる副次効果(あらたな分析・結果の発見など)が期待できる。デモでは、各放送局の公式サイトへのリンクを分析して、どの番組ページへのリンクが最も多いかにより“ブログ視聴率”のような測定が可能になると提案していた。

ブログパーツのサンプル画面
ブログパーツのサンプル画面。最初から14のブログパーツが登録されており、ユーザーがキーワードや含まれるURL(の一部)を書き換えて、独自に解析するブログパーツを作ることもできる

“BLOGRANGERモバイル”は、携帯電話機/PHS端末などから特定キーワードによる最新ブログランキングを参照する機能。あらかじめパソコン上からキーワードを入力しておくと、携帯電話機/PHS端末から参照できるケータイサイトのQRコードが自動生成され、これを取り込んでおくことで、外出先などからその時点でのキーワードによるブログランキングが確認できる。ブログ分析時に集めた情報(キャッシュ)により、サイト名やリンクだけでなく当該ページの一部本文も参照できるという。ケータイサイトとしてのブログ検索サービスはすでに他社からも提供されているが、キーワード入力の手間なしに、特定キーワードに関する最新ブログを手軽に参照できるのが特徴としている。

BLOGRANGERモバイルの画面 ケータイサイトのエミュレーターで表示したところ
BLOGRANGERモバイルの画面。ディープインパクトを検索キーワードにしたページをQRコードで示しているケータイサイトのエミュレーターで表示したところ

NTTサイバーソリューション研究所所長で工学博士の小川克彦氏
NTTサイバーソリューション研究所所長で工学博士の小川克彦氏

NTTサイバーソリューション研究所所長で工学博士の小川克彦氏は、以前のBLOGRANGERが「“関連話題語抽出技術”を搭載した直後に参照数が増え、話題になっているキーワードをきっかけに、続けて次の検索がしたくなるというユーザー行動がわかった」と述べ、そうしたユーザー心理に応える機能を追加して、今回BLOGRANGER 2.0として公開することになった経緯を説明した。

BLOGRANGER 1.0のアクセス数の推移
BLOGRANGER 1.0のアクセス数の推移
NTTレゾナントのポータル事業本部技術マーケティング部部長の浜野輝夫氏
NTTレゾナントのポータル事業本部技術マーケティング部部長の浜野輝夫氏

BLOGRANGER 2.0は1年間の実験公開の間に、NTTレゾナントと共同でビジネスモデルの模索も行なうとしており、NTTレゾナントのポータル事業本部技術マーケティング部部長の浜野輝夫氏は、「API公開のビジネスモデルとしては一般的な“広告配信とのセット”、およびデータマイニング技術を有料会員向けに提供する、という2つの方向性を検討するつもりだ」と述べた。後者の有料会員向けサービスについて詳しく聞いたところ、ブログでの話題の広がり方が時系列で分かる特徴を生かして、マーケティングなどでの調査・分析を事業として引き受ける、といった形の有料サービスなどが挙げられる、と答えた。



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