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KDDIとテレビ朝日、両社共同によるワンセグサービス事業検証の結果報告会を開催


2006年12月8日

KDDI(株)と(株)テレビ朝日は8日、都内のテレビ朝日本社に報道関係者を集め、両社共同で行なったワンセグサービス事業検証の結果報告会を開催した。

両社共同によるワンセグサービス事業の検証は、今年4月から9月にかけてワンセグ受信機能を搭載したau携帯電話機のユーザーに対して行なわれた。この検証では、ワンセグサービスがテレビ番組の“デジタルコンテンツ”“広告”“Eコマース(販売)”に対してどのように貢献できるのかを見るのが目的となる。

検証の主な内容は以下のとおり。

  • ワンセグサービスの総合的な利用動向を把握する
  • ワンセグサービスを広告媒体としての活用が可能かどうかを検証する
  • デジタルコンテンツ事業への効果を検証する
  • Eコマース事業への効果を検証する
  • ワンセグサービスの視聴者・視聴頻度を増加させる方策の検討を行なう

報告会では、KDDI メディアビジネス部長の神山 隆氏、メディアビジネス部の家中 仁氏、テレビ朝日 編成製作局編成部の西 勇哉氏らが出席し、検証の結果について説明した。

今回の結果は、業界全体の共有財産としていく

神山氏
KDDI メディアビジネス部長の神山 隆氏

KDDI メディアビジネス部長の神山氏は、今回の検証によって「現在のワンセグケータイの状況などが浮き彫りになってきた」とした上で、「携帯電話機によるテレビ視聴、という状況にいかに持っていくかが重要である」と述べた。また、今回の検証は実際の利用データに基づいた動向の検証として大きな意味を持っているが、「ワンセグ事業をKDDIとテレビ朝日が囲い込んでいく」という方向の検証ではなく、「広く業界全体の共有財産としていきたい」と語った。

リアルタイム性の高い番組ではワンセグ放送による視聴数が増える傾向にある

家中氏
KDDI メディアビジネス部の家中 仁氏

次にメディアビジネス部の家中氏が登場し、ワンセグサービスの利用動向などについて説明した。

ワンセグ受信機能を持つ端末は、au携帯電話機だけで100万契約を突破しており、携帯キャリアー各社を合わせた総合では、auが7割を占めるという。ワンセグサービスを月1回以上利用するユーザーは、今年8月度で53%と利用率が高く、全年代で偏りなく利用されているという。

ワンセグ登場前のアナログ放送でのテレビ機能の利用率と、ワンセグでのデジタル放送のテレビ機能の利用率は、アナログの32%に比べ、ワンセグでは53%と約1.6倍になっているという。これは「地上デジタル放送によるワンセグ受信が、アナログ放送と比べて電波が比較的安定しているのが大きい」と説明した。

ワンセグ利用率
ワンセグケータイでのワンセグ利用率は53%
世代別分布図
世代の偏りがなく、前世代でワンセグが利用されている

また、番組内容によるワンセグサービスの視聴動向については、スポーツ中継などリアルタイム性が高い番組で最も視聴される傾向にあるとし、8月14日の首都圏での大規模停電発生時でもテレビ視聴が前週の1.7倍になるなど、リアルタイムで情報が必要な場面では、同様に視聴数が増加している。

世代別では、自分のテレビを持たない10代の学生層を中心に、深夜まで利用されていることが多く、自室に帰ったあとのプライベートテレビとして利用されている傾向が分かるという。

よく見る番組
スポーツ番組など、リアルタイムで進行し、速報性の高い番組がよく視聴されている
世代別
ワンセグを利用する時間帯を世代別に見ると、10代では深夜までワンセグでテレビを視聴している傾向にある

総視聴時間については、固定テレビの平均1日約4時間、月120時間と比べ、推定平均で1日約35分程度、月の視聴回数は平均7.3回と、合計で4時間程度の視聴に留まっており、ワンセグケータイのユーザーでもテレビ視聴の中心はやはり固定テレビになっていることが分かる。ただ、前述したように平日昼間のスポーツ中継や災害時など、固定テレビではカバーできない時間帯をワンセグが補間しており、固定テレビでは得られなかった視聴機会という点においては新たに獲得できているという。

ただ、ワンセグ携帯そのものの普及台数はまだまだ少なく、視聴時間も固定テレビと比べて少ない。通信領域での収益モデルを最大化するためには、放送と通信が一体化し、通信へと誘導効率の高いワンセグの利用を促進させる上で、“固定テレビとケータイ”という点でも併せて活用することが大事であるという。

キャンペーンサイトへの誘導は、インフォマーシャルとの連動やリンク表示時間で伸びる結果に

西氏
テレビ朝日 編成制作局編成部の西 勇哉氏

次に広告媒体としての活用検証、Eコマース事業に対する検証、モバイルコンテンツ事業に対する効果検証などについて、テレビ朝日 編成製作局編成部の西氏が説明を行なった。

ワンセグデータ放送を利用した新たな広告媒体としての活用検証では、テレビ朝日の音楽番組“オンタマ〜音魂〜”(月〜金、24:10〜24:15)を対象番組として、検証を行なった。

データ放送でのバナー添付によるサイトへの誘導方法では、既存の誘導方法と比べて差が見られなかったものの、“プレゼント(LISMOぬいぐるみ)”“ワンセグへの誘導を目的としたインフォマーシャル(番組の中で内容と関連付けたスポンサー企業の商品紹介などを行なう広告)放送”といった2点を実施することで、ワンセグからサイトへのアクセス数が増加したという。

その上で、インフォマーシャル放送後に表示される各提供社へのリンクを30秒だけ表示する場合と90秒間表示したパターンで比較したところ、90秒間表示していたリンクのほうが、3〜4倍ものアクセス数となった。これにより「視聴者はサイトへのリンクをショートカットとして活用しているが、30秒間では実際に視聴者が動き始めるまでにはまだまだ短いことがわかる」と説明した。

アクセス数
インフォマーシャル放送後のリンク表示時間を伸ばすことでアクセス数が3〜4倍となった

Eコマース事業では、ワンセグによる誘導の効果は大きい

ワンセグ放送を利用したEコマース事業への効果検証では、ショッピング番組“セレクションX”と情報番組“ちい散歩”のショッピングコーナーを対象としたEコマースサイトとの連携による効果を検証している。

ワンセグのデータ放送による、Eコマースサイトへのリンクと通常の携帯電話での空メール送信によるサイトへの誘導を比較したところ、ワンセグ経由でのサイト訪問者の割合は全体の28%となった。ワンセグによる視聴者数は、全体のわずか0.14%であり、空メール送信によるサイト訪問者と比べて200倍もの訪問効率が見られたという。ただ、サイトでの購入者分布を見ると、ワンセグ経由での購入者はわずか8%と訪問者における割合と比べて格段に低いことから、実際には購入を決めてサイトに訪問するわけではない“見込み客”が多いと推定される。西氏は「今後、“ワンセグを利用して購入する”という認識をユーザーにさせることが重要となる」と語った。

訪問効率
ワンセグによるサイト訪問者は、空メール告知で来た訪問者よりも約200倍の訪問効率となった

番組内容と連動したコンテンツでは、ワンセグサービスの視聴促進が必須

モバイルコンテンツ事業でのワンセグ活用検証では、6月のサッカーワールドカップ中継、木曜ドラマ“7人の女弁護士”において、テレビ朝日が運営するスポーツ速報サイト“テレ朝☆スポ chan”へのリンクや、番組内容と連動したデータ放送を行なった。

スポーツ速報サイトへのワンセグ利用者による訪問者分布では、ワンセグを経由した訪問者は5%で、有料登録まで至ったユーザーは3%に留まった。また、7人の女弁護士においては、番組と連動したデータ放送を放送したところ、通常の時間帯に比べ、データ放送の通信コンテンツの利用者数が2.5倍に増加したという。

ワールドカップ
ワールドカップ開催中ではハーフタイムや試合終了後にサイトへのアクセスが多くみられた
7人の女弁護士
番組と連動したデータ放送を配信することで、通信コンテンツの利用者数が2.5倍に

西氏は、ワンセグ放送とモバイルコンテンツとの連動において「ワンセグデータ放送によるオンラインのモバイルサイトへの誘導効率は比較的高いが、スポーツ中継サイトでもワンセグを経由した訪問者は全体の5%と、ワンセグサービスの利用者数・視聴者数はまだまだ少なく、ワンセグサービスの高効率性を生かすには、ワンセグサービスの視聴促進をしていくことが大事」と述べた。

検証結果により、ワンセグ放送を利用したモバイルコンテンツなどへの誘導効率の高さを把握したが、ワンセグそのものの視聴時間はまだまだ短く、媒体としての価値を得るまでには至っていないと説明。ワンセグをより視聴させるには“きっかけ”のようなものも必要であるとし、テレビ朝日では9月1日に放送した“ドラえもん誕生日スペシャル”にて、番組が開始する19時にKDDIの動画配信サービス“EZアップチャンネル”に対して携帯電話機のアラーム機能と連動した告知を行ない、ワンセグ起動を促した。その結果、ワンセグによるテレビ視聴が増加し、データ放送の利用者数が2倍になったという。

連携サービス
“ドラえもん誕生日スペシャル”では、KDDIの動画配信サービスと連携してワンセグの起動を促す試みを実施

西氏は、「ワンセグはクロスメディア媒体として有効である」としながらも、「まだまだ利用者数、視聴時間ともに少ない。ワンセグの促進は放送事業者が単独できるものではなく、通信事業者と放送事業者などと連携しながら、進めていくことが必要不可欠である」とまとめた。

(編集部 飯塚岳史)


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