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【速報】Netscape、待望の新バージョン『Netscape 6』を発表――オープンソースの成果を取り込んだ初のメジャーバージョンアップ


2000年4月6日

米Netscape Communications社は、日本時間の6日、同社のインターネットクライアントソフトウェアの最新バージョンとなる『Netscape 6』を発表、同時に、最終完成版に至る前の先行リリースとなる『Preview Release 1』を同社ウェブサイト“Netscape Netcenter”上で公開した。

Windows Mac OS、Linuxなどに対応した『Netscape 6』
Netscape 6は、ウェブブラウザ『Netscape Navigator』、電子メールクライアント『Netscape Mail』、AOL Instant Messenger対応のインスタントメッセージングツール『Netscape Instant Messenger』、HTMLエディター『Netscape Composer』など、各種インターネットサービスを利用するためのソフトウェアから構成されている。

『Netscape 6』のウェブブラウザ『Netscape Navigator』画面。デザインを一新し、ボタンや枠に丸みを持たせている。“テーマ”機能(後述)によって、色合いやアイコンデザインなどを変えることも可能
『Netscape 6』のウェブブラウザ『Netscape Navigator』画面。デザインを一新し、ボタンや枠に丸みを持たせている。“テーマ”機能(後述)によって、色合いやアイコンデザインなどを変えることも可能



Netscape 6 英語版の対応プラットフォームは、Windows、Mac OS、Linuxを始め、各種UNIXなど幅広い(今回Preview Release 1としてリリースされたのは、Windows、MacOS、Linuxのみ)が、日本語版では、まずWindows版、MacOS版がリリースされることになる。また、これまでリリースされていなかった日本語版のLinux対応については、前向きに検討していることが明らかになった。

Netscape 6の目玉といえば、何といっても“Gecko”と呼ばれるブラウザエンジンを統合したウェブブラウザ『Netscape Navigator』だろう。

Geckoは、これまでのNetscape Communicatorで採用されてきたブラウザエンジンとは別に、一から新しく開発されたもので、以前は“NGLayout”とも呼ばれていた。XMLエンジンをベースに、HTML 4.0、CSS(Cascading Style Sheets)、DOM(Document Object Model)など、ウェブの業界標準テクノロジーをすべてサポートしており、そのレンダリングスピード*も、これまでに比べて、かなりの高速化が図られている。

*サーバーから受け取ったHTMLなどのソースを、規約に従ってクライアントの画面に表示するページイメージを構成することを“レンダリング”という

特に、今後さまざまな局面で主流になっていくと見られているXMLをサポートしている意味は大きい。というのも、これまでXMLサポートについては、MicrosoftのInternet Explorerが大きく先行しており、ユーザーにはほとんど選択肢がなかったからだ。プレビュー版とはいえNetscape 6が登場したことで、ようやくユーザーは“もう1つの選択肢”を検討することができるようになったわけだ。

今回リリースされたのは、あくまでも『Preview Release 1』で、たとえば、Netscape 6の新機能として謳われている“テーマ”(Netscapeの見栄えを変更する機能)などは、まだ実装されていない。同社では、今後そうした機能を取り込んだ『Preview Release 2』をリリースし、最終的に今年の秋には、fix版となる正式な『Netscape 6』をリリースしたいとしている。

なお、『Netscape 6 Preview Release 1』は、4月18日に発売される『月刊アスキー 5月号』の付録CD-ROMに収録される。インターネットからのダウンロードが辛いというユーザーは、こうした雑誌からの入手を検討してみるといいだろう。

『Netscape 6』に至る歴史的背景
'98年1月、当時のNetscape社は、Internet Explorerで市場を席巻していたMicrosoftに対抗するため、Netscape Communicatorのソースコードを公開し、その後の開発をオープンソースモデルで行なうことを発表した。

そして同年3月末、同社が『Netscape Communicator 5』として開発していたプログラムのソースコードが公開され、同時に、それをベースに、オープンソースのインターネットクライアントを開発する“Mozillaプロジェクト”がスタートした。

当初のNetscape社のもくろみでは、基本的に誰でも参加できるオープンなプロジェクトで開発された『Mozilla』をベースに、Netscape社が機能を追加したり改良したりして『Netscape Communicator 5』を完成させるはずだった。こうすることで、オープンソースベースの強力な開発コミュニティをバックにつけながらも、Netscapeが独自に開発している部分については、たとえば、他社が開発したソースコードを公開できないプログラムの機能なども統合することが可能となる(もちろん、それ以外のNetscapeが自ら開発した部分については、ソースコードという形でMozzillaプロジェクトに還元される)。

こうしたNetscapeの決断は、Linuxの成功に触発されたものとはいえ、オープンソースをビジネスに結びつける先進的な事例として、当初から大きな注目を集めていた。しかしその後の同社やMozillaプロジェクトが歩んだ道のりは、決して順風満帆だったとは言い難い。

まず、'98年秋になって、当初スタートしたときにベースにしていたNetscape Communicator 5のブラウザエンジンを“捨て”て、Netscape社内で別に開発されていたブラウザエンジン“NGLayout(後のGecko)”をベースにして新たに開発し直すという方針転換が行なわれた。この“決断”によって、当初は'99年中にも完成版がリリースされる予定だったスケジュールは大幅に変更されることとなった(その間、バージョン4系で“繋ぎ”的なバージョンアップが行なわれてきた。

また、“破棄”したほうのソースコードのバージョンが“5”と呼ばれていたため、新しくGeckoベースで開発するもののバージョンを“6”とし、ユーザー向けにリリースする製品としては、バージョン5がスキップされることとなった。

そして'98年11月には、Netscape社がAOLによって買収されるという“事件”も起きた。これにより、同社におけるブラウザ開発の位置付けが大きく変更されるとともに、主要な開発者が同社を去るなどの人材流出も取りざたされるようになった。

こうした開発の遅れや、買収によるNetscapeそのものの弱体化によって、インターネットクライアントソフトウェアとしては、ひと頃の“勢い”はなくなったと見らbトいた。実際、今回、製品の名称を『Netscape 6』としたのも、市場調査の結果、『Netscape Communicator』という名前の認知度が低く、同社の製品のことを『Netscape』や『Navigator』とCommunicator以前の印象で呼ぶユーザーが圧倒的に多かったためだという。

こうした紆余曲折を経てようやくリリースにこぎつけたNetscape 6だが、技術的にも政治的にも、Internet Explorerに対する“Alternative”としての期待は、やはり高い。そのため、これから、この秋にリリースされる最終的な製品バージョンに仕上げていくまでの過程で、同社の真の開発力やサポート力が問われることになるだろう。

(フリーランスライター/風穴 江)


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