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ジャストシステム、日本語入力システム最新版『ATOK16 for Windows』を発表――Palm OS 5対応版とPocket PC対応版も


2002年11月6日

質の高い文書作成を支援

(株)ジャストシステムは6日、日本語入力システム『ATOK16 for Windows』、および携帯情報端末用ATOK『ATOK for Palm OS 5 日本語グラフィティ対応版』、『ATOK for Pocket PC』を発表した。

ATOK16パッケージ
『ATOK16 for Windows』のパッケージ(右)と、『ATOK16 for Windows [電子辞典セット]』のパッケージ(左)

ATOK16の開発コンセプトは“わたしのチカラになる日本語。”。言葉や文章の表現力が求められる現代で、ユーザーが入力する日本語力(表現力)を強力にアシストすることを目的に設計したという。

ATOK16は、文章中の誤変換を低減し、ユーザーが質の高い文書を作成できるよう支援するためのさまざまな機能を搭載している。“フィードバック変換”は、AI用例を利用して、確定済みの文節に対し同音意義語の選択誤りを指摘して、正しい変換候補を表示することで、訂正入力を支援するもの。例えば、“じんこう”と入力して“人工”で確定した単語の後に続けて“みつど”と入力すると、“密度”が変換候補として表示された際、同時に前文節にさかのぼって“人口密度”と訂正候補を表示、訂正候補をShift+Enterキーで選択すると、確定済みの“人工”が訂正され、最終的な確定文字列が“人口密度”となる。これにより、同音語の誤用や確定ミスを低減できるという。

フィードバック
フィードバック変換機能。“改訂された”という文の後に“改訂の”と確定、続いて“せいぶつに”と入力すると、“海底の生物に”という訂正候補が提示される。Shift+Enterキーを押すと“海底の生物に”に訂正可能

“名称変更アシスト”は、名称変更された固有名詞を対象に、古い名称を入力した際、現在使用されている名称を提示する機能。例えば、“大阪市大淀区”を入力すると“行政区再編成「大阪市大淀区→大阪市北区”、外国“ボンベイ”と入力すると“地名変更→「ムンバイ」”、“大蔵省”と入力すると“名称変更→「財務省」”というように現在の名称が提示される。なお、入力された文章全体を解析して名称の指摘を行なうため、例えば“いぜんのおおくらしょうではかんがえられない”と入力すると、“以前の大蔵省では考えられない”と変換表示し、現在名称の指摘は表示されない。

名称変更アシスト
名称変更アシスト機能。古い名称“大蔵省”を入力すると、現在の名称“財務省”を提示する
名称変更アシスト2
文章を解析して名称提示を行なうため、“以前の大蔵省”という文章では、現在の名称について提示されない

また、文脈処理を強化し、文脈に応じて適切な助数詞の訳し分けを行なえるようになった。例えば“2き”という助数詞では、“会長の任期”に続く場合は“2期”、“飛行機”に続く場合は“2機”と変換される。

助数詞
文脈解析の強化例。“港”という単語が入っている文章の後には“2港”、“銀行”という単語が入っている文の後には“2行”と変換されている

さらに、“以外”と“意外”や、“移行”“意向”“以降”など、誤変換を起こしやすい同音語には、誤変換事例の分析調査に基づいた特別処理を行ない、変換精度を向上させている。例えば、“以外”が学習されている状態で“げんいんはいがいにも”と入力しても、“原因は意外にも”と正しく変換されるようになっている。

同音異義語
同音異義語の訳し分け例。“意外”と学習した後、“かんがえるいがいにかいけつさくはない”と入力しても、“考える以外に解決策はない”と正しく変換される

慣用表現の変換にも対応し、ユーザー自身が勘違いをして覚えている場合でも誤用を指摘するようになっている。例えば、ユーザーが“火蓋が落とされる”と入力すると、“「火蓋が切られる」の誤用”といった指摘が表示される。

誤用指摘
慣用表現対応および誤用指摘強化の例。上の古風な慣用表現の変換対応では、従来のATOKでは正しく変換できなかった文も一発変換されている。下の誤用指摘の強化では、“無尽蔵に使う”という文に対し誤用指摘を提示している

住所入力支援機能も強化され、郵便番号を入力確定後に住所の最初の数文字を入力すると、その郵便番号に対応した住所表記を推測変換候補として表示する。さらに、同じ住所で都道府県名を省いた表記も展開して提示できる。

住所入力支援
住所入力支援の強化例。郵便番号入力後、住所の最初の数文字を入力すると、郵便番号に対応した住所が候補表示される

今度は北海道/東北と九州の方言に対応

前バージョンのATOK15で搭載された“話し言葉関西モード”に続き、ATOK16では方言対応第2弾として新たに“話し言葉北海道東北モード”と“話し言葉九州モード”を搭載する。北海道東北モードでは、“一緒に行がねが”“湯っこさ入るべか”、九州モードでは“どげんやったと”“合格したばい”といったそれぞれの地域特有の言葉を一発変換できる。

北海道東北
話し言葉北海道東北モードのデモ。方言がすらすらと一発変換されていく
九州
こちらは話し言葉九州モードのデモ

また、表現の多様性への取り組みの一環として、一般モードにおいて古風な慣用表現への対応を強化、“夏は来ぬ”“若かりし頃”といった表現を一発変換できるようになった。さらに、百人一首や徒然草等に登場する文語の入力をスムーズに行なえる“文語モード”も新たに搭載する。

文語モード
文語モードのデモ

他のアプリケーションとの連携も強化された。“Office連携ツール”では、“標準モード”のほかに、アプリケーション別モードのプリセット“Excelモード”“Wordモード”“メールモード”が用意されている。Excelモードは、テンキーで数字を入力する場合は確定文字列として自動的に数字を入力できる。メールモードは、メール文書では好ましくない機種依存文字や半角カタカナを入力できないような設定になっているという。

ふりがな対応辞書引きソフト『ドクターマウス』とも連携し、単語にマウスカーソルを合わせるだけで英和/和英/国語辞典を参照できるほか、変換候補選択中に単語の意味や読みかたを表示する。日英翻訳ソフト『一発! 翻訳マスター』(別売、ATOK16と同時発売予定)とも連携を図り、変換中の文字列に対して日英翻訳を行ない、その翻訳結果を表示、確定文字列として入力できる。文節ごとに確定して入力した文章も、文章全体を範囲選択すれば再翻訳が可能となっている。

ドクターマウス
ドクターマウスとの連携例。入力した言葉の意味を表示できる
翻訳マスター
一発! 翻訳マスターとの連携例。変換に応じた翻訳文を表示、確定できる

そのほか、ウェブ上の辞書サーバーで公開されている“ATOK辞書”に直接アクセスして変換できる“Web辞書変換”や、ATOK辞書のダウンロードや設定を自動で行なえる専用ツールを搭載する。

ATOK16は2003年2月28日発売で、価格は8000円。バージョンアップ版が5000円。また、ATOK16と『ドクターマウス』をセットにしたパッケージ『ATOK16 for Windows [電子辞典セット]』も同時発売される。価格は1万1000円、バージョンアップ版が8000円。いずれも対応OSはWindows 98/Me/2000/NT4.0/XP。

また同社は今後、専門用語辞書の個別ダウンロードサービス(有償/無償含む)を予定しているという。さらに、既存の全国方言サイト“ほべりぐ”を発展させた言葉の総合サイト“ATOK.com”を2003年1月上旬にオープンするとしている。

同社代表取締役社長の浮川和宣氏は、「人々の中で日本語に対する意識が高まっている。質の高い日本語を表現できるよう支援したい。目標はユーザーひとりひとりに満足してもらえること、ユーザーの日本語を支えるATOKになりたい」としている。

浮川社長
ジャストシステムの浮川社長

Palm OS 5版とPocket PC版も発売

『ATOK for Palm OS 5 日本語グラフィティ対応版』は、既存の『ATOK for Palm OS 日本語グラフィティ対応版』をPalm OS 5に対応させた製品で、Graffitiエリアの2つの枠にひらがなや記号などを直接入力して変換できるPalm OS用日本語入力システム。ユーザー独特の筆跡や認識しにくい手書きパターンなどを自動的に学習する機能を搭載し、使うほど手書き文字の認識率が向上するようになっている。また、複数文節に対応した推測変換機能も搭載しており、最初の数文字を入力すると、それまでの履歴データから推測した変換候補を提示、タップすると確定できる。

Palm OS 5
『ATOK for Palm OS 5 日本語グラフィティ対応版』のパッケージ

対応OSは日本語版 Palm OS 5のみで、Palm OS 5未満では動作しない。また、英語版 Palm OSは動作保証外となっている。よって、Palm OS 5を搭載したソニー(株)の携帯情報端末“CLIE”『PEG-NXシリーズ』のATOK登録ユーザーを対象とした優待版のみの発売となる。発売日は22日。同社のショッピングサイト“Just MyShop”での製品版の直販、および大手ダウンロードサイトからのダウンロード販売のみで提供され、価格は製品版が4800円、ダウンロード販売が3800円。

『ATOK for Pocket PC』は、Pocket PC用の日本語入力システム。AI変換エンジンと、10万語を収録したAI辞書を搭載している。話し言葉対応エンジンを採用し、単語登録も可能。また、“ひらがな/カタカナ”“英数”“手書き”“定型文入力”“文字一覧”の5つの入力パネルを装備しており、それぞれ切り替えて利用できる。ひらがな/カタカナパネルでは、同パネル使用時でも別のパネルを小さく表示して数字や記号を入力できるサブパネル方式を採用し、切り替えの手間を軽減している。

Pocket PC
『ATOK for Pocket PC』のパッケージ

さらに、ひらがな/カタカナパネルと英数パネルには、文字ボタンを上下左右にドラッグすることで入力や変換作業を容易に行なえる“ジェスチャー機能”を搭載する。文字ボタンを上にドラッグすると、英数パネルでは大文字表記(ABC等)に、ひらがな/カタカナパネルでは小字表記(ゃゅょ等)になり、下にドラッグするとEnter(確定)、左にドラッグすると後退(バックスペース)、右にドラッグするとスペース(変換)となる。ひらがな/カタカナパネルのキー配列は“縦並び、あ行左”“縦並び、あ行右”“横並び”の3種類から選択可能。そのほか顔文字なども入力できるようになっている。

Pocket PC画面
ATOK for Pocket PCのデモ。上が標準IMEで変換した文章。その下がATOK for Pocket PCで変換した文章

手書き入力には、Windows版ATOKの手書き認識エンジンを採用、画数や書き順を多少間違えても認識できるようになっている。漢字/かな交じり入力にも対応しており、例えば“こうじ町”と入力しても“麹町”と変換できる。さらに、推測変換機能も搭載しており、最初の1〜2文字を入力すると、ユーザーの入力履歴とあらかじめ用意されている語彙から候補を提示する。なお今回のPocket PC版では、ビジネス用語や挨拶語など約1500語を収録したプリセット語彙集を用意しているという。

対応OSはPocket PC/Pocket PC 2002で、対応CPUはXscale/StrongARM/MIPS/SH3。発売日は22日。Palm OS 5版と同じく“Just MyShop”での製品版の直販、および大手ダウンロードサイトからのダウンロード販売のみで提供される。価格は製品版が6800円、ダウンロード販売が5800円。ATOKユーザーを対象とした優待版は、製品版が5300円、ダウンロード版が4300円。

(編集部 桑本美鈴)




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