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マイクロソフト、『Microsoft Windows Media 9 シリーズ』日本語版の提供を開始――会員制コンテンツサービスも

2003年01月29日 20時07分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は29日、次世代デジタルプラットフォーム『Microsoft Windows Media 9 シリーズ』日本語版の提供を開始した。またこれに伴い、国内の音楽/映像コンテンツサービス提供会社である(株)WOWOW、(株)エイベックス、(株)ショウタイム、(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズの4社と協力し、会員制課金コンテンツサービス“Windows Media 9 シリーズ プレミアムサービス”をWindows Media 9 シリーズ上で順次提供すると発表した。Windows Media 9 シリーズは同社ウェブサイトから無償ダウンロード可能。

古川氏
Windows Media 9 シリーズの製品発表イベントで基調講演を行なった米マイクロソフトバイスプレジデントの古川氏

Windows Media 9 シリーズは、デジタルメディア再生ソフト『Windows Media Player』、デジタルメディアの圧縮フォーマット“Windows Media Audio/Video”、デジタルメディアエンコードツール『Windows Media エンコーダ』、Windows Server 2003に標準実装される配信サーバー機能“Windows Media サービス”、デジタルメディアの著作権保護/管理技術“Windows Media DRM”、デジタルメディアツールの開発キット『Windows Media SDK』で構成されるデジタルプラットフォーム。

Windows Media Player 9は、前バージョンに比べ起動時間や再生のパフォーマンスが30%向上メディア再生能力が向上したほか、“ファストストリーミング”により即時再生が可能となり、バッファー処理による待ち時間のストレスがなくなり、TVのチャンネル切り替えのようにコンテンツを切り替えて再生できるという。さらに、“平日に聴く音楽リスト”など、ユーザー自身のお気に入りの音楽やビデオを好きなときに再生できる“自動再生リスト”や、ナローバンド向けの低ビットレートのコンテンツに対し、疑似フレームを補完して映像を滑らかに再生できる“ビデオスムージング”も備えている。また、Windows Media Audio 9 Professionalが5.1chサラウンドサウンドに対応する。そのほか、ストリーミング配信の際はサーバー側でコンテンツを編成できるため、ライブ中継の途中でCMを差し込むといったことも可能。その際、ユーザーのプロファイル情報とマッチングして、同じコンテンツを配信している最中に、それぞれのユーザーに合った異なるCMを配信できるという。

WM9対応DVDプレーヤー
イベント会場で展示された、Windows Media 9 シリーズの再生機能を搭載したプロセッサー(米Equator Technologies社のBSP-15)を備えたDVDプレーヤー。Windows Media 9 シリーズを利用することで、HD品質の映像をDVDに収録し、DVDプレーヤーで視聴できる

また同社は、Windows Media 9 シリーズに対応し、デジタルビデオカメラで撮影したビデオを編集できるツール『Windows ムービー メーカー 2』の無償提供も開始した。ムービー メーカー 2は“HighMAT”に対応しており、ビデオ編集後にHighM.A.T.形式でメディアに保存できる。さらに、Windows XPユーザーがWindows Media 9 シリーズを活用できる音楽/画像/ビデオ拡張ツール『Microsoft Plus! Digital Media Edition』を今春発売するという。

HighM.A.T.対応DVDプレーヤー
同じくイベント会場で展示された、米国で発売されているHighM.A.T.対応のDVDプレーヤー。画像、映像、音楽データが混在するCD-ROM等のメディアを挿入しても、それぞれのデータを判別して再生できる

また、今回発表された“Windows Media 9 シリーズ プレミアムサービス”は、Windows Media Player 9 シリーズの起動後に表示されるメニューから、上記4社の会員制コンテンツサービスに直接アクセスして申し込めるもので、申し込み後はWindows Media Player 9 シリーズのメニューから直接サインオンしてコンテンツを楽しめるようになる。利用できる4社のサービスは、“WOWOW Genetics”(WOWOW)、“PRISMIX.TV”(エイベックス)、“ShowTime9”(ショウタイム)、“スカパー! BB”(スカイパーフェクト・コミュニケーションズ)となっている。

WOWOWは2月3日より映画/スポーツ/アニメ/落語等のエンターテインメントコンテンツを月額500円でストリーミング配信する。エイベックスは2月20日正午より、アーティストのビデオクリップ等の映像を再生期限付きダウンロード形式で配信する。月額300円でビデオクリップを3回までダウンロード可能。ショウタイムは、ShowTimeで配信されているコンテンツの中から厳選したタイトルを3月6日より月額180円見放題で提供する。スカイパーフェクト・コミュニケーションズは今春にコンテンツを提供する予定で、価格は未定という。

本日都内で行なわれた製品発表イベントで、米マイクロソフト社アドバンスドストラテジー&ポリシー担当バイスプレジデントの古川享氏は、「Windows Mediaの世界はオーディオデバイス、ビデオデバイスなど200以上のデバイスに広がっている。Windows Media 9データを再生できるCDプレーヤーやラジカセ、DVDプレーヤー、STBなどが登場する。また、Windows Media 9再生機能をICチップに埋め込んだものもある」

「また、Windows Mediaが利用される領域も拡大している。パソコン上での安全で新しい音楽CDの楽しみかたとして、Windows Media Data Sessionの利用がある。Data Session CDは、内側のファーストセッションにCDプレーヤーやオーディオコンポ等の家電で再生できる領域、外側のセカンドセッションに一定の条件(2台までコピー可能等)を満たせば再生できるパソコン用データ領域を備えたものだ。これにより音楽業界へ新たなビジネス機会を提供する」

「Windows Media 9 シリーズが音楽家や映像作家などプロの目から見ても使いものになり、ビジネスも成り立つと理解した上で各社に賛同いただき快く思っている。少しずつ育てていかなければならないプラットフォームだ。人物の髪の毛1本1本が映っているという質感をパソコン画面で見られる。これが高精細ディスプレーやブロードバンドの更なる普及につながれば」と語った。

また、ゲストとして登場した音楽家の久石譲氏は、「臨場感だけではなく、そこで音が出ているという空気感を伝えたい。ステレオではそこまでできないが、5.1chのように立体的に音が出るのならこの音楽のニュアンスは伝わると思う。例えば弦楽は一見きれいに見えるが、実際は弦をこすっているわけで、そばで聴くときれいな音ではない。しかしそのこすっている音と楽器が奏でる音が一体となってリアリティーが生まれる。この音が生まれた瞬間のリアリティーが重要。5.1chの再生音はいいんじゃないかと思う。ここまできたのは大変なことだ」とコメントした。

またマイクロソフトは、Windows Media 9 シリーズの提供を記念したプロモーションオンラインイベント“Super 9 Weeks”を29日から4月2日までの9週間実施する。同イベント参加パートナーは、エイベックスネットワーク(株)、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドイニシアティブ(株)、GIZA studio、(株)サンリオ、(株)小学館、ショウタイム、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、全国朝日放送(株)、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティング(株)、(株)ツタヤオンライン、東京通信ネットワーク(株)、ドリームネット(株)、ニフティ(株)、日本電気(株)、(株)バンダイ、東日本電信電話(株)、(株)ポニーキャニオン、ヤフー(株)、WOWOW。

ユーザーは、Windows Media Player 9 シリーズをインストールすれば、Super 9 Weeksに参加可能。コンテンツは毎週木曜日に更新され、週ごとにSuper 9 Weeks参加各社のおすすめコンテンツ週間“フォーカスウィーク”が設定されている。なお、29日夜の製品発表イベントで開催されるアーティストの倉木麻衣、愛内里菜、GARNET CROWのスペシャルライブの様子も、フォーカスウィークのコンテンツとしてオンデマンドストリーミング配信される。

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