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東映アニメーション、新感覚エンターテインメントソフト“GA.ニメ”を開発――第1弾は『尾崎豊ヒストリー』


2004年2月19日
GA.ニメロゴ
“GA.ニメ”のロゴ。αを左右反転したデザインと、横に伸びた“X”のような文字が“ニメ”を表わす。なお、このロゴは合計6色デザインされており、今後登場する作品のカテゴリーに応じて使い分けるとのこと

東映アニメーション(株)は19日、東京・渋谷のアイビーホール青学会館内チャペルで記者会見を開催し、高精細な静止画と音声/音楽を組み合わせた従来のアニメーションとは異なる新感覚なエンターテインメント“GA.ニメ(ガニメ)”を開発、その第1弾タイトルとしてDVD-Videoタイトル『〜この支配からの卒業〜尾崎豊』を4月21日に発売すると発表した。価格は3800円。

GA.ニメ発表会の出席者
GA.ニメ発表会の出席者

記者会見が行なわれたチャペルは、今年4月25日に13回忌(まる12年)を迎える故尾崎豊氏が生前に通った青山学院大学に隣接しており、会見に出席した東映アニメーションの代表取締役社長の高橋 浩氏は、「GA.ニメは従来のアニメーションとは異なる、新機軸の事業として重要視している。その第1作を(尾崎豊氏にゆかりのある)この場所で発表できるのは幸せと思う」と挨拶した。

代表取締役社長の高橋 浩氏
東映アニメーションの代表取締役社長の高橋 浩氏

制限を設けることで
感情を伝える手法をアニメに

GA.ニメは、従来のアニメーション制作手法とは異なり、原画製作者自らがすべてのコマを仕上げることで、高画質な映像にこだわった作品作りができるという、新機軸のエンターテインメントソフト。GA.ニメプロジェクトプロデューサーの柴田宏明氏は、「GA.ニメのGAには2つの意味を込めている。ひとつはGlam Art(あやしいほどに魅力的な芸術)の頭文字。もうひとつは絵画/画用紙の画、1枚の絵を示す画(が)です。1枚の絵にとことんこだわって制作したエンターテインメント作品がGA.ニメ。日本のアニメーションは海外でも評価が高いが、最近は大作志向に走る傾向が見られ、1作品で(コマ数が)10万枚を超えるものも珍しくない。その真逆(まぎゃく)を行く作品が作れないか。俳句や短歌のように文字数に制限を設けることで、読み手の感情を伝える日本文学独特の手法をアニメに取り込んだのが、GA.ニメなんです」と開発の経緯を熱っぽく話した。

『〜この支配からの卒業〜尾崎豊』の一コマ
『〜この支配からの卒業〜尾崎豊』の一コマ。タイトルより (C)KARINTO FACTORY INC./ISOTOPE LTD.・TOEI ANIMATION CO.LTD
『〜この支配からの卒業〜尾崎豊』の一コマ
『〜この支配からの卒業〜尾崎豊』の一コマ (C)KARINTO FACTORY INC./ISOTOPE LTD.・TOEI ANIMATION CO.LTD
『〜この支配からの卒業〜尾崎豊』の一コマ
『〜この支配からの卒業〜尾崎豊』の一コマ (C)KARINTO FACTORY INC./ISOTOPE LTD.・TOEI ANIMATION CO.LTD

尾崎豊氏がテーマの第1作で原画を担当した、“北斗の拳2”“聖闘士聖矢(セイントセイヤ)“ジョジョの奇妙な冒険”などの作画監督・キャラクターデザインを担当したイラストレーターの羽山淳一氏は、「最初お話をもらったとき、労力がかかりすぎるので断ろうかと思った。が、うっかり尾崎豊が題材と聞いてしまい、それを聞いてすぐに引き受けてしまった。(尾崎氏とは)年齢が同じで、はまった世代だった」と現在も制作が続く中で、作品にかける意気込みを語った。作画の上での苦労は、「元来アニメーター(アニメーション制作者)なので、絵を動かすという最大の武器を使えないのが一番困った。絵のイメージが決まるまでに時間がかかる場合もあるが、決まってしまえば描くのは早い。ただ、普通のアニメとは違って、影の部分を鉛筆で描いているので、丸1日かかりっきりで描き続けると1日1本のペースで鉛筆がなくなっていきます」と述べた。ちなみに、第1作は35分の作品で、使われる静止画の枚数はまだ確定していないが150〜170枚になる予定。内容は5章仕立てで、楽曲は“ダンスホール”“15の夜”“シェリー”“太陽の破片”“卒業”の5曲が収録される。

原画担当の羽山淳一氏
原画担当の羽山淳一氏
カリントファクトリーの代表の須藤 晃氏
カリントファクトリーの代表の須藤 晃氏

また、尾崎豊氏に関する作品の使用許諾権を管理するカリントファクトリーの代表で、今回の作品の総合監修も務めた須藤 晃氏は、「これまでにも、(尾崎豊について)映像化したいという話はいくつかいただいたが、映画にすれば誰かが尾崎を演じることになる。それは遺された家族や関係者に迷惑をかけるかもしれないと断ってきた。今回の話は、実写とアニメーション(静止画)を組み合わせることで、尾崎豊の伝記的な物語を作りたい。そのためにGA.ニメという新しい表現方法で見せたい、と企画を持ちかけられた。見せにくい部分はデフォルメできるし、寡黙な人が魅力的に感じられるように、動きの少ないことでかえってインパクトのある表現ができるだろう、と思った。静止画を利用した映像表現というのは、最近の音楽制作(プロモーションビデオなど)の現場でも増えつつあり、興味を持ったので一緒にやりましょう、という話になった」と、開発に携わった経緯を語った。なお、須藤氏は監修の立場だけでなく、映像本編のナレーションとしても参加している。

第2弾としてホラー作品を今夏発売

会見では、GA.ニメの第2弾作品で今夏発売予定というホラー作品『現代畸聞録怪異物語(げんだいきぶんろくかいいものがたり)』も披露された。これは猿田 悠氏の原作『現代畸聞録 怪異百物語』(マイクロマガジン社刊)から、“踏み切り”“冷蔵庫”“お姫ダルマ”など6つの作品を映像化して、オムニバス形式で収録したDVD-Videoタイトル。ホラーアドベンチャーゲーム『弟切草(おとぎりそう)』などにも参加した木村俊幸氏を監督に迎え、“リング”“らせん”などの大ヒットホラー映画を手がけた実写映画制作会社のバサラ・ピクチャーズ(株)が制作を担当するという。

『現代畸聞録怪異物語』の一コマ。作品は“踏み切り”
『現代畸聞録怪異物語』の一コマ。作品は“踏み切り” (C)猿田悠/マイクロマガジン・東映アニメーション
『現代畸聞録怪異物語』の一コマ。作品は“踏み切り”
『現代畸聞録怪異物語』の一コマ。作品は“踏み切り” (C)猿田悠/マイクロマガジン・東映アニメーション

会場に列席したバサラ・ピクチャーズの取締役 プロデューサーの陶山明美氏は「静止画による映像ゆえに、視聴者には想像が重なり、恐怖感がますます高まる印象を受ける。日本的な怖さ、恐怖のバリエーションが広げられるだろう。細部に恐怖が隠れた、見る人事に異なる怖さを感じるような表現にしたい。ホラーだけでなくGA.ニメがエンターテインメントの表現手法として定着することで、海外にも通用する作品が生まれてくるだろう」と期待感を表わした。

最後に、東映アニメーションのGA.ニメプロジェクトリーダーの小西岳夫氏が今後の展開について、「第1弾/第2弾に続いて、ハウツーものなど、いくつかの商品化を検討している。ウェブサイトも立ち上がっているが、今後はそこを通じてファンの要望に応えていけるような、ウェブサイトとの連動を考えていく。また、プロアマを問わず積極的に参加してほしい。将来アニメーターを目指している人が、“自分の絵”で勝負できる場としても広く提供していきたい」と語った。

(編集部 佐久間康仁)


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