このページの本文へ

ボーランド、UMLを統合したJava開発ツール『Borland Together Edition for JBuilder X Developer』を発表

2004年02月26日 22時37分更新

文● 編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ボーランド(株)は25日、“UML(Unified Modeling Language)”モデリング機能を統合したJava開発ツール『Borland Together Edition for JBuilder X Developer(ボーランド・トゥゲザー・エディション・フォー・ジェイビルダー・テン・デベロッパー)』日本語版の出荷を3月26日に開始すると発表した。同製品は、ウェブアプリケーションやJavaアプリケーションの開発に利用されている『Borland JBuilder X Developer(ボーランド・ジェイビルダー・テン・デベロッパー)』にUMLモデリング機能を統合したもので、“Borland LiveSourceテクノロジー”により、プログラムのコードとモデル図がリアルタイムで同期するのが特徴。これにより、従来のコード指向の開発と、モデル指向の開発を使い分けられるようになるため、生産性と品質の向上を図ることができるという。価格は9万8000円。

“LiveSource”画面イメージ
『Borland Together Edition for JBuilder X Developer』の“LiveSource”画面イメージ

『Borland Together Edition for JBuilder X Developer』は、Javaに対応したアプリケーション開発環境『JBuilder X Developer』用のプラグインソフト。『JBuilder X Developer』の環境にインストールすることで“UML 1.4”仕様に準拠したUMLモデリング機能が追加統合される。コードとモデル図が“LiveSource”テクノロジーによりリアルタイムで同期するほか、既存のソースコードからモデル図を作成する“リバースエンジニアリング機能”を搭載するのが特徴。ただし、J2EEのモデリング機能は含まれない。

動作環境は、対応OSが、Windows XP Professional/2000 Professional(SP2)、Red Hat Linux 7.3、Red Hat Enterprise Linux WS 2.1、Solaris 8など。対応機種が、Pentium III-500MHz以上、UltraSPARC II-500MHz以上。メモリーは256MB以上(推奨512MB)、760MB以上のHDD空き容量が必要。

同社では“JBuilder X Developer「UML+Java」推進キャンペーン”を9月15日まで実施としており、『Borland Together Edition for JBuilder X Developer』を6万8000円、『JBuilder X Developer』を3万円、『Borland JBuilder X Developer Together Edition Bundle(ボーランド・ジェイビルダー・テン・デベロッパー・トゥゲザー・バンドル)』を9万8000円で提供することでUMLモデリングツールの導入を促進する。

製品パッケージ 画面イメージ
『Borland Enterprise Studio 7 for Java』J2EE対応の“UML”モデリング機能を搭載した『Borland Enterprise Studio 7 for Java』

併せて、大規模システム向けのJ2EE開発プロジェクトを支援するための統合型開発ソフト『Borland Enterprise Studio 7 for Java(ボーランド・エンタープライズ・スタディオ・7・フォー・ジャバ)』日本語版の出荷を3月15日に開始する予定であることも発表した。同製品は、アプリケーション開発のライフサイクル管理(ALM)をサポートするのが特徴。JBuilderの統合開発環境に、J2EEを利用する開発の各フェーズをサポートするツールとして『Borland CaliberRM』と『Borland StarTeam』が統合されているほか、『Borland Enterprise Server』も統合されている。

動作環境は、対応OSが、Windows XP/2000(SP4)、Red Hat Linux 7.3、Red Hat Enterprise Linux 2.1、Solaris 8など。対応機種が、Pentium III-500MHz以上、UltraSPARC II以上。メモリーは512MB以上(推奨768MB)、900MB以上のHDD空き容量が必要。価格は65万円。別途、年間保守費用(Standard Support:テクニカルサポート、 年間バージョンアップ)として価格の20%相当が必要。

同社では、今回発表した製品を、全国の主要量販店、ビジネスパートナー“Borland Solution Partner”各社を経由して販売する。オンライン販売サイト“ボーランドストア”でも販売する。法人向けは見積もりとなる。

また、『Borland JBuilder X Foundation(ボーランド・ジェイビルダー・テン・ファウンデーション)』を4月下旬にリリースする予定であることも発表した。従来のPersonal版と異なり、商用の開発にも利用できるのが特徴。申し込みは専用ウェブサイトで受け付け、先着1万名に同製品を収録したCD『Borland JBuilder X Foundation CD』を無償提供するとしている。

米ボーランド・ソフトウェアの社長兼CEO、デール・フラー氏が来日

同社は、27日までの3日間、東京全日空ホテルにおいて、開発者向けのカンファレンス“Boland Conference 2003-2004 Tokyo”(BorCon)を開催しており、ホテル内で、今回の新製品を含む製品と戦略に関する“Java関連新製品・新戦略発表会”を開催した。

デール・フラー(Dale L.Fuller)氏
米ボーランド・ソフトウェア社社長兼CEOのデール・フラー(Dale L.Fuller)氏

記者発表会では、最初に、“ボーランドのJava開発市場に対するミッション、ビジョン”について、米ボーランド社の社長兼最高経営責任者(CEO)のデール・フラー(Dale L.Fuller)氏が話した。同社が設立20年目を迎えたことや、業界で唯一の独立系ソフト企業であることなどを紹介したのち、よりよいソフトをより速く提供することで、ユーザーが競争で優位に立てるようにサポートするという、同社の設立当時からの姿勢は変わっていないとし、マルチパス/マルチプロセッサー/マルチプラットフォームの技術を提供することで、ユーザーが世界の進歩に取り残されないようするという戦略を紹介。単なる開発に焦点をあてるだけでなく、“アプリケーション・ライフサイクル・マネージメント(ALM:Application Lifecycle Management)”のソリューションを導入したことに触れ、ここ1年の間に日本でも日本電気(株)やアサヒビール(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)などを代表的なユーザーとして挙げた。そして、今後も、過去20年間と同じように引き続きすぐれた製品を提供していくと述べ、あらゆるプラットフォームに対応できる、選択の自由があることも強調した。

ジョージ・パオリーニ(George Paolini)氏
バイスプレジデント Javaビジネスユニット・ゼネラルマネージャーのジョージ・パオリーニ(George Paolini)氏

次に、米ボーランド・ソフトウェアのバイスプレジデント Javaビジネスユニット・ゼネラルマネージャーのジョージ・パオリーニ(George Paolini)氏が今回発表した新製品について“ボーランドのJava開発市場へのリーダーシップ”として説明を行なった。最初に、現在の市場について触れ、Javaによる開発というと、サーバーベースのEJBやJ2EEについてよく言われるが、ネットワークベースのアプリケーションのほとんどが、実際はServletやJSPを利用していることを示し、ネットワークベースのアプリケーションのデフォルトの技術となっていることを示した。そして、Javaを採用している日本のデベロッパーのうち、約33%が設計ツールを利用しており、約40%が導入を検討しているという同社の調査結果から、世界で最も“UML”を必要としている日本のデベロッパー向けに、世界で最初に新製品『Borland Together Edition for JBuilder X Developer』を投入することにした経緯を説明した。また、これまでUMLツールが大規模システム向けで高価だったため、コストの面から中規模以下の開発では利用が難しかったが、新製品を9万8000円で提供することにより、デベロッパーがUMLを容易に導入できるようにしたことを強調した。

設計ツールの必要性
年々高まる設計ツールの必要性
図1 図2
全体の約60%をウェブアプリケーションが占めるというこれまでUMLを導入できなかったセグメントでもUMLを利用できるようになる
新製品でカバーできるセグメント

続いて、アプリケーション・ライフサイクル・マネージメント(ALM)の重要性について説明し、コミュニケーションの機能などを統合したJ2EE開発ライフサイクルソリューションとして『Borland Enterprise Studio 7 for Java』を提供すると述べた。完全にサポートしている製品は他社にはないと述べた。

藤井等氏
ボーランド(株)営業本部マーケティング部部長の藤井等氏

最後に、ボーランドの営業本部マーケティング部部長の藤井等氏が『Borland Together Edition for JBuilder X Developer』のデモを行なった。従来のUMLツールでは最初にモデルの設計を行なう必要があったが、中小規模の開発では直接コードを書いてしまうことも珍しくない。新製品では、コードとモデルをリアルタイムで同期できる“LiveSource”技術により、コードベースでもUMLベースでも利用できる特徴を紹介し、コードから図を作成するといったことも可能になることをメリットとして挙げた。そして、いよいよ“UMLを道具として使う”ことが可能になったとし、UMLにとって2004年が転機になるのではないかと、話を締めくくった。

デモ画面
デモでは、実際のコードなどを基に、コードベースとUMLベースを自由に切り替えて開発が行なえることを示した

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン