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マイクロソフト、Windows 2000/XP上で仮想マシンを動作させる『Microsoft Virtual PC 2004 日本語版』を発売

2004年04月19日 22時23分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は19日、1台のパソコン上に複数のパソコン環境を仮想的に作り出す仮想マシンソフトウェア『Microsoft Virtual PC 2004 日本語版』を5月に発売すると発表した。推定小売価格は通常版パッケージが1万5800円、ボリュームライセンスはオープンプライス。発売日は通常版パッケージが5月14日、ボリュームライセンスが5月6日。なお、英語版は2003年12月に発売済みで、日本語版と同時に、ドイツ語/フランス語/イタリア語/スペイン語のバージョンが発売される。

Virtual PC 2004で作成した仮想マシン上で実行中のWindows 98。Windows XP Professional上で動作しているプレスリリースにあわせて開催された説明会にて製品概要の説明を行なったマイクロソフトのウィンドウズビジネス本部Windows製品部クライアントグループ、中井陽子氏

『Microsoft Virtual PC 2004 日本語版』(以下、Virtual PC 2004)は、1台のパソコンで複数のOSを切り替えて使用できる仮想マシンソフトウェア。クライアントの移行時などのOS環境の切り替えの際、Virtual PC 2004で作成した仮想マシンに既存OSおよびアプリケーションを導入することで、既存アプリケーションの互換性を保ちかつ安全に稼動させることができ、最新のOS環境へのスムーズな移行が可能になるという。また、仮想マシン上でのOS切り替えの際にはパソコンの再起動が必要ないため、複数のOS環境を必要とする、ヘルプデスク業務やソフトウェア開発、トレーニングなどのシーンにも最適だという。Virtual PC 2004では、パソコン本体で動くOSを“ホストOS”、仮想マシン上で動くOSを“ゲストOS”と呼ぶが、ホストOSとゲストOSの間でデータ共有を行なうことも可能となっている。

Virtual PC 2004の構造。左側が実際のパソコンとホストOS、右側が仮想マシンとゲストOS仮想マシンのデバイスエミュレーションについての説明。スライド右側がエミュレーションで再現されるデバイス製品の技術説明を行なったマイクロソフトのウィンドウズビジネス本部Windows製品部パートナーグループ、長尾康氏

2003年2月の米マイクロソフト社による米コネクティクス社からの“Virtual PC”シリーズ買収後、同社から発売される初めてのWindows用“Virtual PC”シリーズとなる本バージョンでは、同社のセキュリティー基準を満たすためにアーキテクチャーの再設計が行なわれている。このほか新しい機能としては、

  • 仮想マシンごとに最大4つのネットワークアダプターをサポート
  • ネットワーク未接続/ローカルネットワーク/バーチャルネットワーク/共有ネットワーク(NAT)の4種類のネットワークオプションを装備
  • 仮想マシンの構成情報をすべてXMLフォーマットのファイルに格納する仕様に変更。このファイルを他のパソコンにコピーすることで、仮想マシンのコピーが可能
  • ゲストOSごとに最大3.6GBまで、全OS合計で最大4GBのメモリー割り当てが可能

が挙げられている。仮想マシン上でのデバイスの動作は、実際のハードウェアデバイスの振る舞いをエミュレートしたものとなるが、ここでエミュレートされるデバイスの仕様は、チップセットが440BX、インターフェース類はPCI/ISA/シリアル/パラレル、ビデオカードが米S3社のTrio64、サウンドカードが米クリエイティブテクノロジー社(クリエイティブメディア)のSoundBlaster、SCSIアダプターが米アダプテック社のAHA-2940、など。

Virtual PC 2004のネットワークオプションのうち、もっとも基本的な形態となるローカルネットワークのシステム構成図ネットワークオプションのひとつ、共有ネットワークの構成図。NATが介されるのが特徴

対応するホストOSは、Windows XP Professional/Tablet PC Edition/2000 Professional、パソコン本体の必要スペックは、CPUが400MHz以上(1.0GHz以上のPentium/Celeron/Athlon/Duronまたは互換性のあるCPUを推奨、任意のゲストOSをインストールするために、プロセッサーが最小要件を確実に満たすことが必要)、メモリーは同時に実行されるすべてのOSが必要とするメモリー容量、HDDは各仮想マシンごとに500MB~2GB(加えて、各仮想マシンにインストールするアプリケーションのための空き容量が必要)。仮想マシンで動作可能なゲストOSは、MS-DOS、Windows、OS/2など、x86環境で動作するほとんどのOSとなっている。

通常版パッケージ、ボリュームライセンスともにゲストOS付きのパッケージ、ライセンスは提供されない。ゲストOSとしてWindowsを利用する場合は、1つの仮想マシンを1台のスタンドアロンのパソコンとし、インストールされるOSごとにWindowsライセンスが必要となる。なお、Windows 95はパソコン付属のOEMインストールメディアの使用許諾条件によりプレインストールされていたパソコン以外にインストールすることが許可されているが、Windows 98以降のWindowsは、使用許諾条件上元々インストールされていたパソコンにはインストールできないので注意が必要。

また同社では、この日のプレスリリースに合わせ、同社Virtual PC製品情報ページにて45日間無料体験版の配布を開始している。

マイクロソフトのウィンドウズビジネス本部Windows製品部クライアントグループ、清水久裕氏

この日、同社新宿オフィスにて開催されたプレス向け説明会では、製品の解説のほか、Windows XPの企業導入状況とこれを考慮したVirtual PCの製品展開戦略の説明が行なわれた。同社ウィンドウズビジネス本部Windows製品部クライアントグループの清水久裕氏によると、Windows XP Professional発売から2年半が経過した現在、5000万ドル(約56億円)以上の売上規模の企業では、約62%がWindows XPをクライアントOSとして導入しており、導入スピードは過去のWindowsよりも速いという。しかし、特に日本では、依然としてWindows 98/NT 4.0を使い続けている企業も多く、Windows XPのライセンスを保有はしているもののアップグレードはしていない、という顧客もいるとしている。清水氏は、この傾向の要因として、

リース切れのタイミングでOSのアップグレードを行なうため
部門別のパソコン入れ替え、OSバージョンの混在が多い。また、諸外国に比べ、パソコンの使用期間が長い
既存アプリケーションの移行に関する問題があるため
新OS環境での既存アプリケーションの互換性検証に時間がかかり、検証が終わるまではアップグレードできないケースがある。また、一部の既存アプリケーションが新OS環境で動作しないためダウングレードせざるを得ない

の2点を挙げている。Virtual PC 2004はこのような要因の2つ目に対応するための製品と位置付け、「(最新OS上に仮想マシンを作成することにより)旧バージョンOS用アプリケーションが動作し、移行期間の短縮が可能」な製品だと述べた。

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