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マイクロソフト、中学生以上の学生を対象とした『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』の発売などを発表

2004年06月18日 21時10分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は17日、将来のIT技術者や開発者を目指す学生に向けた施策の強化を目的に、『Microsoft Visual Studio .NET』の学生向けパッケージの発売、学生向けコミュニティーウェブサイト“theSpoke Japan”の公開、同サイトのオフサイトコミュニティー“theSpoke実行委員会”の開設を発表した。新パッケージの『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』の発売日および“theSpoke Japan”の公開日は6月25日。『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』の価格は4830円。この日行なわれた記者説明会には、同社執行役最高技術責任者で米マイクロソフト社コーポレートバイスプレジデントを兼任する古川享氏らが登壇し、発表内容や背景事情の説明を行なった。

米マイクロソフト社コーポレートバイスプレジデント兼マイクロソフト(株)執行役最高技術責任者の古川享氏
現在、年間約3万人の学生がIT業界に就職しているという同社の教育分野に対するこれまでの取り組み

古川氏の解説によると、同社がこれまでに教育分野に対して

  • コンピューターを使う/学ぶ/教える環境の整備
  • 大学との共同研究
  • 学生向けコンテストの開催

といった取り組みを行なってきたとしている。

“Imagine Cup”アルゴリズム部門の上位211名の出身国。残念ながら、211名の中に日本人は含まれなかった同社の今後の学生向けの取り組み

しかし、日本の学生のITレベルは総合的に見て必ずしも高いとは言えず、例として挙げられた同社が行なった学生向け技術コンテスト“Imagine Cup”のアルゴリズム部門の結果を見ると、上位211名中に日本人学生はいない、という結果になっているという(古川氏は、言葉などのコミュニケーション能力や自己主張を行なう能力などで上位にランクインした国の学生と差があるのではないかと指摘している)。また、学生から寄せられた同社に対する要望の声としては、

  • 学生がもっとソフトウェア開発を始めやすい環境の提供
  • 学生のプログラミング学習をバックアップするシステム作り
  • プログラム学習者同士が交流できるイベントの開催
  • 開発環境の値下げ

などがあり、これらを踏まえたうえで、従来の教育分野向けの施策を強化するものとして今回の発表を行なったとしている。

『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』のパッケージと、価格や対象ユーザーの解説『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』の位置づけと製品概要

発表内容の解説を行なったマイクロソフト(株)執行役、デベロッパーマーケティング本部本部長の鈴木協一郎氏
今回新たに発表されたパッケージ『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』は、“次世代のIT業界を担う学生”に向けた製品。製品の構成は『Microsoft Visual Studio .NET Academic Version 2003』と同等で、パッケージにはVisual Basic .NET Version 2003、Visual C++ .NET Version 2003、Visual C# .NET Version 2003、Visual J# .NET Version 2003が含まれる。プロの開発者が使用する開発環境と同等のツールを通じて実践的なITスキルの取得を実現し、コミュニティーサイト“theSpoke Japan”を通じた情報交換や、本製品購入者向けサービス“theSpoke Premium”会員限定のイベントも行なわれていくという。

パッケージの対象となるのは中学校以上の学生で、パッケージの販売は全国の販売店店頭で行なわれる。正規利用には、まず“theSpoke Premium”のウェブサイトに登録し、事務局から送られてきた確認メールを受け取った後、このメールのコピー、パッケージ同梱の申し込み書類、学生証およびレシートのコピーを専用封筒で郵送、事務局側の確認後に発行されるプロダクトキーをウェブサイトより取得する、という手順が取られる。プロダクトキー取得までの間は“評価版”として利用することが可能。なお、今回発表された『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』は、日本で企画された日本独自のパッケージ製品で、「若いスタッフが米国本社を直接説得して実現」(古川氏)したものだとしている。



“theSpoke Japan”の主な機能

“theSpoke Japan”は、参加費用無償で提供される学生向けオンラインコミュニティーウェブサイト。取り扱われるテーマはプログラミング開発に限定されるものではなく、幅広い話題・テーマについて、学内という枠にとどまらず、学生同士で情報交換やコミュニケーションを図ることを目的とするという。機能としては、

掲示板
テーマ別にさまざまな掲示板を用意
“Webログ”
ウェブ上に公開する日記帳。興味のある“Webログ”(ブログ)を購読し、コメントや評価を行なうことも可能
“パブリックハブ”
“theSpoke Japan”付属のコミュニティー。プログラミング、音楽、スポーツなどといったジャンルごとに設けられ、ハブに所属するメンバーの“Webログ”や掲示板、メンバーの情報などを得ることができる。誰でも参加可能。
“プライベートハブ”
招待メンバーだけが参加できるコミュニティー。“theSpoke Japan”登録者ならば誰でも作成可能。ローカルコミュニティーの育成を目的とする。

などが用意される。また、『Microsoft Visual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003』と連携したプログラミング技術などに関する学生同士の議論の場も用意される。

“theSpoke実行委員会”は、“theSpoke Japan”における学生のリーダーとなり学生の意見をとりまとめ、オンラインで展開されるイベントやセミナー、各学校におけるITの活用を促進するなどの企画を学生が自主的に立案・実施するための組織。今後、学生のアイデアを募るコンテストの実施やITを活用した企画の実現を目指すとしている。同社では活動を通じて学生たちのリーダーシップ能力やコミュニケーション能力、企画遂行能力の向上などを積極的に支援し、次世代のIT技術者や開発者の人材育成につなげていきたいとしている。

同志社大学ローム記念館プロジェクト“MS CoLaBo”のメンバーと記念撮影を行なう古川氏。同プロジェクトでは、学生向けのOffice用テンプレートの開発、ヘルプデスクの運営などを行なっている。この中には“theSpoke実行委員会”のメンバーを務める方もいるとのこと
“若い世代の機会の創出”“コンピューターで人と人をつなぐ”“産学協力”などを地震の活動のテーマとしている古川氏は、特に今回の“theSpoke Japan”による新たなコミュニティー作りに強い期待感を示し、「昨今、インターネット上のコミュニティーというものの“暗い面”が強調される傾向にある中だが、このような取り組みをはじめることには意義がある」との発言の中では、涙を浮かべわずかに声を詰まらせるという一幕も見せた。



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