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コーレル、日本法人の設立とペイント系グラフィックスソフト『Corel Painter IX』を発表


2005年1月20日
『Corel Painter IX』のパッケージ
『Corel Painter IX』のパッケージ。バージョンナンバーの“9”にちなんで、9人の趣向の異なるアーティストによるイラストがパッケージを飾っている

カナダ コーレル(Corel)社は20日、東京・青山のカナダ大使館にプレス関係者を集め、日本と韓国の事業展開を統括する日本法人“コーレル株式会社”の設立と、ペイント系グラフィックスソフトの最新版『Corel Painter IX(コーレル ペインター9)』を3月4日に発売することを発表した。合わせて、現在(株)イーフロンティアが販売・サポートを行なっているコーレル製品の流通・販売・サポート業務を3月1日にコーレル(株)へ事業移管することも発表された。



カナダ コーレルのイギリスインターナショナルヘッドクオーター 執行副社長のアマンダ・ベッドボロー氏
カナダ コーレルのイギリスインターナショナルヘッドクオーター 執行副社長のアマンダ・ベッドボロー氏

発表会にはカナダ コーレルのイギリスインターナショナルヘッドクオーター 執行副社長のアマンダ・ベッドボロー(Amanda Bedbrough)氏、Corel Painter製品企画部長のショーン・ヤング(Sean Young)氏、日本法人の代表取締役社長の下村慶一氏らが出席。さらに、古くからのPainterユーザーとしてイラストレーターの吉井 宏氏が新機能や使いやすく改良されたをデモンストレーションした。

コーレルの日本法人としては、2002年のコーレルによる米マイクログラフィックス(Micrografx)社買収によって、旧マイクログラフィックス(株)が社名変更した経緯はあるが、コーレル本社として日本法人を設立するのは今回が初めて。これまでコーレルブランドの製品は、住友金属工業(株)をはじめとした各ディストリビューター(販売代理店)が国内販売を担当していたが、「ようやくユーザーの皆さんに落ち着いて製品提供できる環境が整えられる。日本市場に合わせた製品作り/サービス提供を心がけていきたい」(下村氏)と話している。

Corel Painter IX起動直後のいわゆる“スプラッシュスクリーン”の画面
Corel Painter IXのデモンストレーションより。デモはすべてMacintoshで行なわれた。画面は起動直後のロゴ表示(いわゆる“スプラッシュスクリーン”)
起動後にはスタートアップスクリーンを表示
起動後にはチュートリアルやタブレットの調整機能などをまとめたスタートアップスクリーンが表示される

最初に挨拶に立ったベッドボロー氏は、日本法人を設立した理由について「2003年にコーレルが投資会社の米Vector Capital社に買収されたあと、経営の刷新をはかり5四半期連続で収益の向上を続けている。また、2004年10月に米Jasc Software社の買収を行ない、グラフィックスソフトの拡充を図ってきた。そして、次のステップとして戦略的な投資が必要と判断し、カメラ付き携帯電話の普及が進み、グラフィックスソフトユーザーも多い日本市場を最重要拠点と捉え、日本法人の設立を決めた。これが成長戦略の牽引役になると期待している。今後は高価なソリューションよりも、魅力ある製品、低価格で使い勝手のいい製品を提供していき、ユーザーが作業の効率化を体験してもらいたい」と話し、日本法人への強い期待感を示した。

コーレル(株)の会社概要
社名
コーレル株式会社
設立年月
2004年12月
資本金
1000万円
所在地
東京都港区虎ノ門1-16-4 アーバン虎ノ門ビル
事業内容
コンピュータのソフトウェアの企画、開発、販売、及び保守に関する業務
情報システムの企画、設計、販売並びに管理運営に関する業務
前各号に附帯関連する一切の業務
Corel Painter製品企画部長のショーン・ヤング氏
Corel Painter製品企画部長のショーン・ヤング氏

次に、新生コーレル(日本法人)の最初の新製品となるCorel Painter IXについて、ヤング氏が製品概要や特徴的な新機能を、イラストレーターの吉井氏がユーザーの立場からみた使い勝手や新機能/改良点に対する感想などを述べた。

Corel Painter 8とIXのレスポンスの比較、8の場合
Corel Painter 8とIXのレスポンスの比較。いずれもキャンバスは3000×2000ピクセルの高解像度では水彩ペンを使用。こちらは8の場合で、カーソルの動きを追従しきれずにゆがんだ多角形のように描画されてしまう
Corel Painter 8とIXのレスポンスの比較、IXの場合
IXでは角のない滑らかな丸が描けるのがわかる
筆圧機能を使って毛が生えているような効果をデモ
さらにワコムのタブレットによる筆圧機能を使って、毛が生えているような効果(圧力が高いほど毛足が長い)を見せたところ

Corel Painter IXは、Windows 2000/XPおよびMac OS X 10.2.8以降に対応するハイブリッド版で提供されるペイント&ドロー系グラフィックスソフト。価格は通常版が6万2790円、アップグレード版(Painter 6/7/8が対象)は3万1290円、など。(株)ワコムのタブレット製品群に対応し、筆圧やペン種を切り替えながら手書きイラスト風のCGを作成できるほか、写真を下地に使ったイラスト制作、パス(オブジェクトの輪郭線)を自動抽出して、それに沿って配色することでドロー系イラストの作成などが可能。インクのにじみやかすれ具合を油彩/水彩の描画種別および色の混ざり具合(1%単位)で切り替えられるほか、キャンバスの影響や絵の具の重なり立体的に表現することができる。主なターゲットは、アニメーションやCG制作を行なうアーティストデザイナー、商業デザイナー、写真をレタッチして絵画やイラストなどに仕上げるプロの写真家、などだという。

クイッククローン機能を使ったデモ
クイッククローン機能を使って、写真を素材に手書き風イラストを作っているところ。カーソルでなぞった場所の色だけが浮かび上がり、下地の写真を除くとしゃれたイラストができあがるという
表現力の向上を示すデモ
絵の具の立体表現や、絵の具を混ぜ合わせての色の作成、複数の色をひとつの筆に載せての描画など表現力は大きく向上している

IXでは新たに

  • 9人のアーティストの手によるチュートリアルを収録し、手書きしたような作品を順番にトレースすることで作り出せる学習機能を収録
  • パフォーマンスを向上し、3000×2000ピクセルのような広いキャンバスで水彩ペンなどを描画する際にもすばやいレスポンスを実現
  • 写真などを下絵として取り込み、上に新規レイヤーを載せて描画する一連の作業を1ボタンで実現する“クイッククローン”機能など、クリエイティブツールの充実
  • 周辺機器や他社製グラフィックスソフトとの互換性を向上し、ファンクションキーや5ボタンマウス機能を持つワコムの最新タブレット“Intuos3(インテュオス3)”に対応したほか、Adobe Photoshopのレイヤー付き画像の読み込みをサポート

などの新機能搭載と機能強化が図られた。

吉井氏の即興によるイラスト、その1
吉井氏の即興によるイラスト、その2
吉井氏の即興によるイラスト、その3
吉井氏は使い慣れたタブレットを使って、即興でPainter IXの機能をデモしつつイラストを作成。同氏は付属ペンのゴム(接触部分)をナイフで細く削って使っているという。「標準のゴムは自分には太すぎるので、こうしてカスタマイズしている」と話しながら、数分で犬のイラストを仕上げた

吉井氏はこれらの新機能を使いながら即興でイラストを作成し、使い勝手のよさを強調していた。特に絶賛していたのが水彩機能で、「Painter 6までは用意されていた、先に塗った色を押しのけつつ新しい色を載せるような表現が、7と8では省略されていた。しかし、9で復活して使いやすさはぐんとよくなった。何時間描いていても気持ちいい。もうこの機能がないペイントソフトは使えない」と話した。

吉井氏の即興によるイラスト、その4
吉井氏の即興によるイラスト、その5
吉井氏の即興によるイラスト、その6
続いて渦巻き模様を描くデモ。以前はタブレットに雲形定規を載せてペンでトレースして下書きたり仕上げていたそうだが、IXではベジェ曲線によってパスを作成し、そのパスをなぞるように指定したペン種で描画する機能が用意されたため、ストレスなく描けるようになったと喜ぶ。デモ中にも「描いていて、気持ちいい」を連発していた

また、レスポンスのよさやパスをトレースするペイント機能の便利さを紹介するデモとして、渦巻き模様をモチーフにした手書きイラストを描いてみせた。従来はカーソルの動きを飛び飛びに追いかけるため曲線が滑らかにならず、ゆがんだ折れ線のようになってしまったという。そこで吉井氏は「苦肉の策としてタブレットに雲形定規を載せて、それをトレースしながら書いていたが、(IXによって)そんな手間がなくなった」と喜びの表情を見せた。

吉井氏の即興によるイラスト、その7
吉井氏の即興によるイラスト、その8
吉井氏の即興によるイラスト、その9
最後に油彩風のタッチで犬のイラストを仕上げた吉井氏。油彩ではパーツごとに絵の具をフラットに載せ、その後で境界線の色を混ぜ合わせるようにして仕上げていく。吉井氏は1992年ごろに発売された、Painter 1.2からのユーザーだという

最後に、昨年10月にそれまで代表取締役社長を務めていたユーリードシステムズ(株)を退社し、コーレル(株)の代表取締役に就任した下村氏が、「吉井さんをはじめとして、(日本には)Painterのファンが多いことを改めて実感した。ユーリードでの7年間で日本市場はかなり理解している。そうした経験を生かして“信頼あるコーレル”といわれるようなサービス、製品展開を行なっていきたい。今年はPainter IXを皮切りに、現在イーフロンティアが取り扱っている製品をリニューアルして4〜5タイトルの販売を予定している。また、今日から2005年3月31日までにPainter 8を購入した方への無償バージョンアップキャンペーンを実施するほか、詳細は決まっていないものの自社の他製品(“Corel Draw”など)からのクロスアップグレードといった日本ではよく行なわれているサービスも本社に提案していく」と抱負を述べた。

デモンストレーションを行なう吉井 宏氏
デモンストレーションを行なう吉井 宏氏(右)
コーレル(株)の代表取締役に就任した下村慶一氏
コーレル(株)の代表取締役に就任した下村慶一氏

(編集部 佐久間康仁)


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