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マイクロソフト、車載情報端末向けプラットフォーム『Microsoft Windows Automotive 5.0』を発表――開発環境の強化が進む


2005年7月12日

Windows CE 5.0ベースに進化したWindows Automotive 5.0

マイクロソフト(株)は12日、パシフィコ横浜で車載情報端末向けソフトウェアの開発者向けカンファレンス“Windows Automotive Conference 2005”を開催し、この中で車載情報端末用ソフトウェアプラットフォームの新バージョン『Microsoft Windows Automotive 5.0』(以下Windows Automotive 5.0)を、同日から自動車メーカー、車載情報端末メーカー、開発者向けに提供を開始すると発表した。2004年9月発表のWindows CE 5.0をベースとしたプラットフォームで、車載端末向けユーザーインターフェースや開発ツール群の強化が行なわれている。

『Microsoft Windows Automotive 5.0』製品ロゴマーク
前バージョンのWindows Automotive 4.2からの変更点。AUIの強化とASTの追加が最大の特徴
“Windows Automotive”を採用した製品。アルパイン/クラリオン/ケンウッド/鳥取三洋電機/パイオニア/松下電器産業/三菱電機自動車といった国内車載端末大手7社をはじめとするメーカーから、自動車メーカーの標準装備品/ディーラーオプション品やアフターマーケット向け製品が登場している

“Windows Automotive”は、モバイル端末/組み込み機器用OSのWinodws CEと、車載情報端末(カーオーディオやカーナビゲーションシステムなど)向けのカスタマイズを施したコンポーネント類(Automotive Components)からなるソフトウェアプラットフォームで、コンポーネント化されたリアルタイムOSにより、1DINカーオーディオシステムから高機能カーナビゲーションシステムまで、あらゆる車載情報端末の開発が可能なことが特徴。従来バージョンは2003年4月発表のWindows Automotive 4.2(ベースOSはWindows CE 4.2)で、約2年ぶりのメジャーバージョンアップとなる(マイナーバージョンアップとして、Service Packのリリースが2度行なわれている)。

新バージョンのWindows Automotive 5.0は、Windows CE 5.0のリリースから約10ヵ月経過してのリリースとなるが、マイクロソフトによると、これは車載への適応の十分な検討と車載情報機器メーカーの開発サイクルへの適応を考慮して、約2年間隔でのメジャーバージョンアップを基本としているためだという。前バージョン以降は、車載情報端末の市場規模が大きく製品が進んでいる日本のチームが開発を主導し、自動車/情報端末/チップメーカーなどとの共同開発も行なっている。

Windows Automotive 5.0での大きな変更点は、車載情報端末用ユーザーインターフェース“AUI(Automotive User Interface)”の構築を支援する開発パッケージ“AUITK(Automotive User Interface Toolkit)”の強化と、Windows Automotive専用の開発支援ツール“AST(Automotive System Tools)”の追加、ベースOSであるWindows CE 5.0に先駆けた仮想メモリー空間の拡大(Windows CE 5.0が32MBなのに対し、Windows Automotive 5.0では96MBの仮想メモリー空間が使用可能)の3点。



“AUI”を組み込んだシステム構成図
AUIで作られたユーザーインターフェースの例

AUITKは、日本チームが開発したWindows Automotive専用のHMI(ヒューマンマシンインターフェース)開発ツール。パソコン環境ではアプリケーション機能ごとに独立したウィンドウを開いて表示するが、車載端末では複数のアプリケーションの情報を融合して1画面に表示するのが一般的。Windows Automotiveでは、ユーザーインターフェース部分をアプリケーションから分離(UIレス化)し、AUIでユーザーインターフェースの処理を一括して行なうため、アプリケーションの移植性が飛躍的に向上しているという。またAUIでは、ユーザーインターフェースの外観である“スキン”をXMLで記述したスキンファイルで定義しており、HMIのデザイン変更をアプリケーションの改造なしで行なうことができ、アプリケーション開発とHMI開発の工程を分離することが可能となる。

多くの車に車載情報端末が積まれるようになったことにより、車載端末には車の格付けや内装デザインにマッチしたユーザーインターフェース/画面デザインの差別化が求められているという。AUIでは、アプリケーション本体と独立した形でユーザーインターフェースの開発が可能で、アプリケーション部分では同じ機能(コンポーネント)を利用しつつも、スキンのみを変更してまったく別のデザインに見せることができる

Windows Automotive 5.0のAUI/AUITKの新機能は以下のとおり。

高品位HMI開発支援
半透過表示のサポート
アンチエイリアスフォント対応
描画機能の強化
スムースアニメーション、Direct3Dのモバイル版(年内リリース予定のService Pack 1で対応予定)
高速化/省メモリー化
起動高速化
描画高速化
ワークメモリーの改善
開発効率の向上
コンパイル性能の向上
エラー処理/デバッグの強化
スキン編集機能の強化
スクリプト仕様の強化
新ハードウェアのサポート
ルネサス テクノロジ“NaviCore”『SH7700』(車載情報端末向けプロセッサー)
松下電器産業“GRiTT2”『MN67762』(車載情報端末向けグラフィックスチップ)

スレッドごとのCPU処理時間を測定した結果。高機能な車載端末の場合、スレッド数が200を超えるものもあるといい、優秀なリソース監視ツールは必須だという
仮想メモリーをマッピングした画面

新たに搭載されたASTは、Windows Automotive 5.0向けアプリケーションの開発で利用するシステムリソース配分の最適化補助ツールで、スレッドごとのCPU時間使用量やメモリー使用量などの測定が行なえる。パソコンのようにハードウェアの強化/追加が容易ではない組み込み機器では、限られたリソースを的確に配分することがパフォーマンスや信頼性の向上につながることから、車載情報端末メーカー各社は、開発工数/時間の多くを割いて、リソース配分の設定/チューニングをシステムごとに行っているという。同社によると、現時点での技術ではリソースの最適な配分を完全に自動で行なうツールの実現は難しいというが、詳細な情報を得られるツールを用意することで、システムの安定性や信頼性の向上、リソース配分にかかる工程/時間の大幅な削減、ソフトウェア構成のフレキシビリティーの促進を可能にするとしている。

マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド ITS戦略統括部の平野元幹氏
Windows Automotive 5.0の開発目標と主な機能

この日のカンファレンスでWindows Automotive 5.0の概要を説明したマイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド ITS戦略統括部の平野元幹氏によると、現在の車載情報端末市場は、高機能化競争が小康状態になり「成熟期に入りつつある」といい、ラインナップの多様化(ハイエンド/ミッドレンジ/エントリーなど)と信頼性/品質感/使いやすさに対するニーズが高まっているという。このような市場ニーズの変化に伴い、開発者からは高信頼・高品質なプラットフォームの提供と、開発効率の向上が求められており、マイクロソフトでは、プラットフォームによるコンポーネント化/共通化、多機種同時並行開発が可能な環境の提供、ツール群の強化による開発の省力化を進めていくという。

統合開発環境“Platform Builder”の画面
Windows Automotive 5.0のInternet Explorer

なお、このほかの強化/変更点は以下のとおり。

  • 高速地図描画/高速起動/電源管理などを可能とする車載情報端末向けソフトウェアプラットフォームの強化
  • 統合開発環境“Platform Builder”の強化やWindows CE用開発ツール群の導入
  • DirectShow APIのフィルターをにより、各種マルチメディアファイルを再生可能なアプリケーションの作成が可能
  • Internet Explorer 6に相当するブラウザ・コンポーネントを搭載


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