このページの本文へ

マイクロソフト、秋冬商戦におけるコンシューマー向けWindows関連製品の戦略説明会を開催――“ひとりにパソコン1台”時代の“デジタルライフスタイル”を提案

2005年10月21日 22時35分更新

文● 編集部 内田泰仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

マイクロソフト(株)は21日、この秋~冬商戦にかけてのコンシューマー市場を中心としたWindows製品の展開に関するプレスセミナーを開催し、“デジタルライフスタイルの実現”に向けた取り組みについて、同社Windows本部兼モバイル&エンベデッドデバイス本部 業務執行役員 シニアディレクターの佐分利(さぶり)ユージン裕氏が説明を行なった。

Windows本部兼モバイル&エンベデッドデバイス本部 業務執行役員 シニアディレクターの佐分利ユージン裕氏マイクロソフトのコンシューマー向け製品展開の基本戦略

現在では“家族に1台パソコンがある”という状態が一般的になりつつあるが、佐分利氏は“パソコン”という言葉の意味するところは「“ファミリーコンピューター”でも“シェアードコンピューター”でもなく“パーソナルコンピューター”」の意味だと述べ、今後はこの“本来の意味”を実現するべく、“家族に1台”ではなく“家族ひとりひとりに1台”を目標とした展開を推し進めていきたいとしている。同氏によると、コンシューマー向けパソコンの世帯普及率は65%を突破、さらに買い替え/買い増し需要が順調に伸びているといい(購読パターンの80%以上が買い替え/買い増し)、本格的な“ひとりに1台”の実現は、着実に近づいてきているとの期待を示した。

同社では、このような動きをさらに加速していくために、「生活をより楽しく、より便利にしていくための“デジタルライフスタイル”の普及」(佐分利氏)をコンシューマー向け戦略の基本として、“デジタルエンターテインメント(重点製品はMicrosoft Windows XP Media Center Edition 2005(以下Windows XP MCE 2005)およびMicrosoft Windows Media Player10(以下WMP 10))、デジタルワークスタイル、モバイルコミュニケーション(Microsoft Windows Mobile 5.0)、デジタルライフスタイルの4分野について、提供や提案を行なっていくとしている。

この基本戦略を踏まえて発表されたこの秋冬商戦向けの施策は次の4点。

Windows XP MCE 2005向けの新サービス“メディア オンライン”の提供開始
リモコン操作だけで、ストリーミング動画や音楽ダウンロード、オンラインショッピングなどのインターネットサービスを簡単に利用できるサービス。
26日から、“BANDAI チャンネル”((株)バンダイチャンネル提供。ストリーミング動画を配信)、“BIGLOBE ストリーム”((株)日本電気“NEC BIGLOBE”提供。ストリーミング動画を配信)、“GyaO”((株)USEN提供。ストリーミング動画を配信)、“ロイター”(ロイター・ジャパン(株)提供。ニュースコンテンツを配信)、“ヤマダ電機Web.com”((株)ヤマダ電機提供。オンラインショッピング)、“MSN ミュージック”(マイクロソフト(株)提供。音楽ダウンロードサービス)の6コンテンツの提供を開始。
 
WMP 10の普及促進に向けた“ネットで音楽スタートCD”キャンペーンの開始
WMP 10と入門ガイド、ボーナスコンテンツ(ビデオクリップ)などを収録したパソコンを使った“デジタル音楽”利用の初心者向けのCD-ROM。WMP 10対応音楽配信サービスや対応デバイスメーカー各社と連携して配布活動を展開。
 
Microsoft Windows XP Tablet PC EditionのDSP(Delivery Service Partner)版の提供開始
Windows XP MCE 2005などと同様に、システムビルダー向けOEMライセンスであるDSP版の提供を開始。従来のタブレットPCの枠だけにとらわれないデザインの製品のリリースを促進、タブレットPCの普及拡大を図るとしている。
現在のところは、ショップブランド製品などに組み込まれた状態での出荷を想定しているというが、OEM版Windows XPのような販売形態(CPUやHDDなどとのセット販売)が今後登場する可能性はあるという。
 
情報サイト“やっぱりmyPC”の開設
同日付で開設する“ひとりに1台のPCがある生活”を支援する情報提供サイト。URLはhttp://www.microsoft.com/japan/athome/mypc

“メディア オンライン”のメニュー。「テレビのチャンネルを変える感覚でインターネットが利用可能」(佐分利氏)なのが特徴“メディア オンライン”のサービスのひとつ“ヤマダ電機Web.com”にアクセスしているところ。操作はすべてリモコンで行なう
“ネットで音楽スタートCD”に収録されているWMP 10の入門ガイド

説明会の中ではこれらの発表内容のほか、Windows XP MCE 2005やWindows XP Tablet PC Editionなどの機能強化に関連した話題も紹介された。

“Media Center Extender”を利用したWindows MCE 2005搭載パソコンと『Xbox 360』の接続イメージ

Windows MCE 2005は、17日に大規模バージョンアップ『Windows XP Media Center Edition 2005 用 Update Rollup 2(ロールアップ修正プログラム 2)』の無償ダウンロード提供の開始が発表されている。今回のバージョンアップの最大の目玉は、次世代ゲーム機『Xbox 360』(12月10日に発売予定)などの対応機器からWindows MCE 2005搭載パソコンにLAN経由でアクセスし、Windows XP MCE 2005の機能やパソコン内のコンテンツを利用可能にする“Media Center Extender”。同社ではこの機能により、リビングでのパソコン利用をより手軽にするとしている。

Media Center関連の今後の展開として、“メディア オンライン”コンテンツの充実、『Xbox 360』とのコラボレーションによるユーザー層の拡大、具体的な用途提案を量販店で行なう“デジタル ライフ スポット”の設置などを行ない、Media Centerの周知とサービス/デバイスの充実を進めていくという。

なお佐分利氏は、記者からの日本市場におけるWindows MCE 2005の展開状況を問う質問に対し、「(DSP版の提供開始以後)自作パソコンやハイエンドユーザー向けに普及は拡大しているが、規模としては細々と、と認識している」と述べ、現状では海外市場ほどの成功は果たしていないとの見方を示した。また同氏は、デジタル家電分野での技術革新で世界市場をリードする日本市場の意見や反応は今後の展開に向けて重視である」としており、「日本のユーザーやメーカーからのフィードバックを取り入れたイノベーション」を進めていくと述べた。また同社では、Windows MCE 2005の地上デジタル放送への対応作業を現在進めているというが、デジタル放送への対応は「かなり重い開発」(佐分利氏)にあたることから、ハードウェアメーカーとも協力し、プラットフォームとしての対応を検討していきたいとしている。



『インクデスクトップ』実行中の画面。デスクトップ上にメモ用紙を置いておくこともできるが、基本的にどこにでも書ける

Windows XP Tablet PC Editionでは、ペン入力/操作に最適化したユーティリティーおよびデスクトップテーマを追加する『拡張パック for Tablet PC Edition』を11月11日から提供(ダウンロード提供およびプレインストール)。同梱ユーティリティーは、デスクトップにペン入力でメモ書きができる『インクデスクトップ』、ペン入力したデータをMicrosoft Office OneNote 2003に送る『Send to OneNote 2003』、ペン操作でプレイするパズルゲーム『Hexic Deluxe』など。

タブレットPCの展開拡大に向けては、DSP版や拡張パックの提供開始のほか、デスクトップパソコン版タブレットPCを新たに提案し、グラフィックスユーザー、企業ユーザー、ヘルスケアおよび教育分野などへの普及拡大を目指していくとしている。

また佐分利氏は、これらの各Windows関連製品の展開拡大に向けた展開におけるハードウェアメーカーとのパートナーシップの重要性も強調。説明会では同社のパートナー企業が登壇し、それぞれ製品を紹介した。



(株)東芝 モバイルギガ事業部 モバイル営業部 部長の福島昌登氏は、同社のポータブルHDDオーディオプレーヤー“gigabeat”を手に登壇。「コンペティターである“Aから始まる会社”(アップルコンピュータのこと)は、1社単独で一貫したビジネス(ハードウェア、ソフトウェア、配信サービス)を展開しているが、我々は、ハード/ソフト/コンテンツメーカーがそれぞれ協力してこれに対抗していく」と述べた
富士通(株)パーソナルマーケティング統括部 クライアントPCグループ プロジェクト部長の牧野陽一郎氏は、13日に発表したタブレットPC“FMV-LIFEBOOK”『FMV-P8210』を紹介。『FMV-P8210』は、Windows XP Tablet PC Edition 2005搭載製品として初めて感圧式タッチパネルを採用するコンバーチブル型のタブレットPC
佐分利氏は、Windows Mobile 5.0の搭載製品の例として、この説明会の前日に発表された(株)ウィルコムの『W-ZERO3』を紹介。今後のモバイル端末/携帯電話市場での展開の強化をアピールした


マイクロソフトはこのほか、秋冬商戦向けのキャンペーンとして、“冬の「スタートしよう。」キャンペーン”を展開。テレビCMなどでおなじみの“スタートしよう。”をテーマとした広告展開、キャンペーンサイトや展示会(WPC Expo 2005)を通じた実際の製品を提示したシナリオ訴求、懸賞企画や店舗展開などのセールスプロモーションを一連の流れとして実施していくという


カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン