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シックス・アパート、企業用ブログソフト『Movable Type Enterprise』を発表

2006年02月28日 15時28分更新

文● 編集部 小林久

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ミナ・トロット氏
創業者のミナ・トロット氏。夫のベン・トロット氏と2人でシックス・アパートを造った

シックス・アパート(株)は28日、企業向けのウェブログソフト『Movable Type Enterprise 日本語版』(以下MTE)を3月1日に発売し、10日から出荷すると発表した。価格は52万5000円(1サーバー/1ユーザー時)。同社のビジネスパートナー“ProNet”のメンバー企業やシステムインテグレーターを通じて販売される。ユーザーライセンスパックは既存製品の『Movable Type』と共通で、追加5ユーザーで2万6250円、100ユーザーで36万7500円、1000ユーザーで210万円などとなっている。

ブログは個人向けのツールとして普及したが、現在ではウェブサイトの更新や管理を手軽に行なえ、アイデアストーミングにも効果的なツールとして、企業のイントラネット内での導入も進んでいる。MTEは、昨年9月に発表した『Movable Type 3.2 日本語版』(以下MT)をベースに、こういった“ビジネスブログ”としての活用に必須の機能を追加。より大規模なユーザー数を想定した管理機能などが追加されている。

本日都内で行なわれた発表会には、日本法人の代表取締役・関信浩(せき のぶひろ)氏、技術担当執行役員の平田大治(ひらた だいじ)氏に加え、米国本社から共同創業者で、社長のミナ・トロット(Mena Trott)氏も出席した。冒頭で挨拶したミナ・トロット氏は「ブログのビジネス利用は米国でも進んでいるが、市場をリードしているのは日本であり、企業向け製品のMovable Type Enterpriseを世界に先駆けて投入することにした」と述べた。



MTEの位置づけ カスタマイズ ユーザー確認
MTEはMTの機能を包含設定によりウェブメールよりもシンプルな操作画面にできるユーザー管理画面
CSV LDAP対応 タギング
CSV形式でユーザー情報の一括読み込みが可能LDAPサーバーからユーザー情報を取得することも可能記事に検索用のキーワードを追加できるタギング機能も搭載

MTEに追加された具体的な機能としては“LDAP v3”(Lightweight Directory Access Protocol)に対応し、シングルサインオンやアカウントの共通化が可能になったこと、従来からサポートされてきたMySQL、PostgreSQL、SQLiteに加え、新たに『Oracle 10g』に対応したこと、CSV形式のファイルを読み込むことでユーザーの一括登録が可能になったこと、更新されたブログの情報などを集約したポータルサイトを作成する機能を持つことなどが挙げられる。機能面ではMTを包含しつつ、管理者にメンテナンスの負担をかけないようにする仕組みがいくつか追加された形となっている。

「業務アプリケーションやグループウェアといった企業システムはウェブブラウザーを経由して利用することが主流となっているが、その作成やドキュメント管理には時間と工数が必要であり、最終的な目標が曖昧だが価値を生み出しそうなアイデアを共有して、システムに落とし込むことも苦手」(関氏)。

「ウェブのコンテンツは雑多なものが増えることによって価値が上がる側面がある。しかし、HTML化には工数がかかり、ウェブに上げるほどの価値がないと思われるコンテンツや、ウェブに上げる価値はあると思うがコストの観点で断念せざるを得ないコンテンツも少なくなかった」(平田氏)

関氏 平田氏
代表取締役の関氏開発責任者で副社長の平田氏

こういった非定型でアドホックな情報を簡単に公開/シェアし、カジュアルで自由なディスカッションを通じて発見と創造に結びつけられるのが、イントラネット内におけるブログの長所だ。Movable Typeはすでに日産自動車(株)や(株)リコーがマーケティング活動や企業広報の一環として取り入れているほか、(株)日本総合研究所、カシオ計算機(株)、(株)ファーストリテイリング(UNIQLO)などが、社内の情報共有のツールとして導入しており、数百人規模での運用も行なわれているという。

シックス・アパートでは、今後Movable TypeのラインナップをMovable Type EnterpriseとMovable Typeの2つのラインに分けて提供していくが、既存製品のMovable Typeに関しても、個人あるいは企業の小規模導入向けの製品として、継続したバージョンアップを行なっていく。関氏は記者たちからの質問に対して「MTEとMTで来年度に500社程度の導入を目標としている」と答えた。

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