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筆跡で本人認証するシステム──オランダ企業が開発

2000年09月07日 23時09分更新

文● 編集部 小林久

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オランダのLCI Technology Group N.V.は、7日、都内で記者発表会を開き、ペン型の本人認証デバイス『SMARTpen』を紹介した。SMARTpenは、一種のバイオメトリクス(生体)認証デバイスで、筆跡や筆圧、字を書く際のスピードやペンの角度など、人間が署名(サイン)する際の微妙な癖を内蔵のセンサーで検知する。その情報を有線または無線で接続したパソコンを介して、インターネット上のサーバーに転送。事前に登録しておいた筆跡情報と照合する仕組みだ。

SMARTpen

人間の身体に固有の情報を利用するバイオメトリクス認証のデバイスでは、すでに指紋や網膜の色(虹彩)を利用する方式が実用化されている。LCI Technologiesは、これら既存の技術に対し、“サイン”という多くの人が違和感なく利用できる方法を用いているのが特徴。人間の筆跡が常に同一ではない点を逆手にとって、一度用いたデータで再度認証できない仕組みになっているため、送信時にデータが盗用されてもなりすましを防ぐことができる。

発表会に出席した同社の担当者は「指紋認証は1台あたり数百円と低コストだが、セキュリティーも価格なみ。指紋情報は奪いやすく、一度奪われたら自由自在に盗用できる」と自信を示した。SMARTpenの応用分野は、面識のない人間同士やクレジットカード使用時の本人認証などが考えられる。また、筆跡が人間の心理状態によって微妙に変わることを利用して、脅迫された際の署名を無効にする技術の開発なども行なっているという。

同社の説明によると、技術開発は約5ヵ月前に完成したばかりで、現在は提携先を通じてその普及を進めている段階。具体的な製品/サービスの登場には、まだ時間がかかるという。製品販売に関してはサービス利用者が製品/アプリケーションを使用する際の手数料から数パーセントを得る従量課金または、ペンメーカーやクレジットカードメーカーへのライセンス供与を検討している。ペンデバイスを個別に販売する際の価格は50~500ドル(約5250~5万2500円)程度を想定しているとのことだ。

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